メタボラ の商品レビュー
タイトルの「メタボラ」=「メタボランティア」(多分)のことだと、読み終わったあと調べました。タイトルの意味を知って読むのとそうでないのとでは、読後の気持ちに大きな差が出てきますね。記憶喪失になって沖縄の山から這い出てきたギンジと、宮古島から出てきたお坊ちゃん育ちの昭光(ジェイク)...
タイトルの「メタボラ」=「メタボランティア」(多分)のことだと、読み終わったあと調べました。タイトルの意味を知って読むのとそうでないのとでは、読後の気持ちに大きな差が出てきますね。記憶喪失になって沖縄の山から這い出てきたギンジと、宮古島から出てきたお坊ちゃん育ちの昭光(ジェイク)。助け合って友情(?)を育みながら、やがて別々のルートで那覇にやって来る。ドミトリー「安楽ハウス」でスタッフになるギンジ。容貌を生かしてホストになるジェイク。二人を待ち受けていた結末は?!ネット自殺に行き着くまでのギンジの生き様とは?!そういう視点で読んだ方が、この小説は楽しいと思います。政治資金がナイチャーもウチナーも超えた目的の為に使われることは、小気味よかったです。
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記憶を失ったギンジと宮古島出身の昭光の出会いから始まる、魂の漂流記。 自分探し宗教、家庭崩壊、偽装請負、ネット心中などの陰惨な社会的疲弊てんこもり。 今は安穏と生きている自分と、ギンジの絶望世界とは薄皮一枚隔てているにすぎないと慄然とさせられる。 キリノさんは人間の悪意や嫉妬心を...
記憶を失ったギンジと宮古島出身の昭光の出会いから始まる、魂の漂流記。 自分探し宗教、家庭崩壊、偽装請負、ネット心中などの陰惨な社会的疲弊てんこもり。 今は安穏と生きている自分と、ギンジの絶望世界とは薄皮一枚隔てているにすぎないと慄然とさせられる。 キリノさんは人間の悪意や嫉妬心をあぶり出していくのがうまい。 誰もが抱えるそれを鼻先に突きつけられ、思わず目が離せなくなりどんどんページを繰ってしまう。 誰もがその汚感情から逃れることはできないと痛感させられる。 ひりつくような現実感覚は癖になる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
持ち運びに苦労するくらい分厚い本。 でも一気に読めました。 主人公が記憶を失っているところから話がスタート。 普通、記憶喪失の話って、「記憶がない…」ってなっても、周りの恋人とか家族とかが「あなたの名前は○○よ」とか、最低限の情報は教えてくれるものだけど、これはそんな風に教えてくれる人が周りにいないものだから、私も主人公も一緒になって「アンタ(僕は)誰?」状態で話が進んでいくので、だんだん明かされてくる過去にドキドキしながら読めた。 続きが読んでみたいような終わり方だった。 ほんのちょっとだけだけど、私が昔大好きだったバンド名と曲名が出てきたのがなんか嬉しかった。
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出だしは、記憶喪失の青年と、宮古青年の出会い。何?何?って興味がそそられた。沖縄弁も面白いノリだ・・・なんて思ってたけど、後半はその逆で面白さ激減。結末は尻切れって感じ。 '07.12.27読書完了
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2007.12. 桐野さんは、こうでなくっちゃ。記憶喪失の男が、陽気な宮古弁(これが楽しい)をしゃべる男と出会い沖縄でどうにか暮らしていく・・・。途方もない暗い過去を抱えて。この、過去を一気に思い出して語るシーンが、しんどいけれど好き。嫌だけど、好き。人間の黒い面やどうしようもな...
2007.12. 桐野さんは、こうでなくっちゃ。記憶喪失の男が、陽気な宮古弁(これが楽しい)をしゃべる男と出会い沖縄でどうにか暮らしていく・・・。途方もない暗い過去を抱えて。この、過去を一気に思い出して語るシーンが、しんどいけれど好き。嫌だけど、好き。人間の黒い面やどうしようもなく染み出してしまう毒を、見事に描ききるその筆力。圧倒される。人間ってどうしようもない。でも、生きていけると思えるラストは、スカッと爽快なくらい。ズミズミ、上等だ。
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昭光、磯村ギンジこと香月雄太、そしてその家族、銀治と愛、過酷な労働に耐えながらも明るい中国人。息つく暇もないほど、この本に引き込まれてゆく。終わる事のない心の葛藤を抱えながら、自分の道を切り開き、強く生きてゆく者、最後、死を選ぶ者、決断のタイミングがもう少しずれていれば、また、違...
昭光、磯村ギンジこと香月雄太、そしてその家族、銀治と愛、過酷な労働に耐えながらも明るい中国人。息つく暇もないほど、この本に引き込まれてゆく。終わる事のない心の葛藤を抱えながら、自分の道を切り開き、強く生きてゆく者、最後、死を選ぶ者、決断のタイミングがもう少しずれていれば、また、違ったかもしれない。家族崩壊、ネット自殺、DV(ドメスティックバイオレンス)、同性愛、ホストなど飽きる事ない題材を散りばめられた、まさに、現代を象徴するかのような作品であった。これほど、勢いよく読み進めたのは実に久しぶりである。
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去年あたりに新聞連載でちょこちょこ見てたのだけど 抜けた部分を補完の意味を込めて購入。 名前も生きていた場所も空白状態の主人公。 まっさらのの主人公に重ねられる記憶。 その主人公の実の自分探しな旅でもあるのだが、 彼に絡む脇役達もさまよいながら自分探しを続ける。 見つかるかどう...
去年あたりに新聞連載でちょこちょこ見てたのだけど 抜けた部分を補完の意味を込めて購入。 名前も生きていた場所も空白状態の主人公。 まっさらのの主人公に重ねられる記憶。 その主人公の実の自分探しな旅でもあるのだが、 彼に絡む脇役達もさまよいながら自分探しを続ける。 見つかるかどうかはさておき、ラストは苦しいの 一言につきるのかもしれない。 人生はたのくるしい。 でも、絶望の中にも何かはある。
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集団ネット自殺、環境問題、ワーキングプアなど現在問題になっているものをたくさん集めて小説にし、それを一気に読ませる力はさすがです。 心が痛くなりました。
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久しぶりのフツーの小説。嬉しい。嬉しさのあまり一気読み。相変わらず女性が強い。頑強というのではなく、実にしなやかでしたたか。そして男は踊らされる。OUTの弁当工場を少し思い出した。
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一ヶ月ぶりの久しぶりの読書は桐野夏生さん『メタボラ』。桐野さんの本は初めてで、テスト問題になっていたとこから読んでみようと思い。すごく文章自体は読みやすく。どんどん先へ先へという感じですぐに読み終わった。内容は前半は記憶のないギンジ(雄介)の必死に生きる姿に感銘を受けて勢いよく読...
一ヶ月ぶりの久しぶりの読書は桐野夏生さん『メタボラ』。桐野さんの本は初めてで、テスト問題になっていたとこから読んでみようと思い。すごく文章自体は読みやすく。どんどん先へ先へという感じですぐに読み終わった。内容は前半は記憶のないギンジ(雄介)の必死に生きる姿に感銘を受けて勢いよく読んだが、後半の記憶回復後の彼の回想部分はちときついものがありましたね。また最後が最後で昭光のバカが・・・彼らのこの先を考えると胸が・・・・。
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