アヘン王国潜入記 の商品レビュー
20年前に高野氏がビルマ(ミャンマー)のアヘン生産の本場(変な言い方ですが)ワ州という辺境の地で数ヶ月アヘンを共に作りながら一緒に生活をするというありえない体験をした記録です。どの本も抜群に面白いですが、これは結構ハードで読み応え満点でした。村人たちと友人になり、諍いや喜び悲しみ...
20年前に高野氏がビルマ(ミャンマー)のアヘン生産の本場(変な言い方ですが)ワ州という辺境の地で数ヶ月アヘンを共に作りながら一緒に生活をするというありえない体験をした記録です。どの本も抜群に面白いですが、これは結構ハードで読み応え満点でした。村人たちと友人になり、諍いや喜び悲しみ分かち合い。そして自分がアヘン中毒になってしまうという体たらく。しかしそれがいい!この村はただ単にアヘンを作物として栽培しているだけなので基本的に気のいい農村部の人々でしかなく、次第に彼らが愛おしく思えてきます。高野氏でしか書けない貴重な一冊だと思います。
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2016.4.5 アヘンと人は実は相互に依存しているという考察が面白かった。 ルポ。面白い。命懸けの潜伏期を800円で共感できるのは素晴らしい。
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一面のケシ畑で自動小銃を抱えて白い歯をみせるワ州の男性3人。驚きなのはこれは小説の表紙絵ではなく、ノンフィクションでしかも写真であるということ!アヘンの産地に潜入し、現地の人と半年過ごし、種まきから収穫までして、アヘン中毒にもなっちゃう高野さん。高野さんの本はそれぞれ面白いし、ど...
一面のケシ畑で自動小銃を抱えて白い歯をみせるワ州の男性3人。驚きなのはこれは小説の表紙絵ではなく、ノンフィクションでしかも写真であるということ!アヘンの産地に潜入し、現地の人と半年過ごし、種まきから収穫までして、アヘン中毒にもなっちゃう高野さん。高野さんの本はそれぞれ面白いし、どれが1番とも言い難いけど、やはりこれ。高野さんといえば『アヘン王国潜入記』でおなじみの、となるだろう。なってるのだろうか。なってほしい。なんで、こんなに面白い作家の本が知られてないんだろうという感じ。ミャンマーのニュースも世間を賑わせていることだし、ぜひに。さらには、解説が高野さんの先輩で、本年お亡くなりになられた船戸与一さん。思わぬ文体との再会に熱くなる。
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さすが高野秀行の本にハズレはない。笑わせるし考えさせる。ここまで体を張り、さらにそこに住む人々に共感して視点が同じくできる人はなかなかいないのでは。
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図書館で予約して読んだのだが、偶然、時を同じくして、ミャンマー政権移譲約束とのニュースが報じられている。 ここで「偶然」というあたりが、私の国際感覚の貧しさを示しているのだが・・・。 今、この本に出てきた人達、その末裔たちは、どこでどのような暮らしをしているのだろうか。まるで...
図書館で予約して読んだのだが、偶然、時を同じくして、ミャンマー政権移譲約束とのニュースが報じられている。 ここで「偶然」というあたりが、私の国際感覚の貧しさを示しているのだが・・・。 今、この本に出てきた人達、その末裔たちは、どこでどのような暮らしをしているのだろうか。まるで、私たちのご先祖様のように、生きて、畑に出て、宴会を開いて、先祖に祈り、そして死んでいく、文明度は低いかもしれないけど、文化度は低くはない人達。
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アヘン栽培を生業とするミャンマーのワ州へ著者が赴き実際に村で生活してその実態を記した作品。最初はワ軍の事情や大量の人名のせいでなかなか読み進められなかったが、ムイレ村での生活を始めた辺りからぐいぐい高野節が炸裂して、村人とのエピソードなどは最高に面白かった。著者自身がアヘン中毒に...
アヘン栽培を生業とするミャンマーのワ州へ著者が赴き実際に村で生活してその実態を記した作品。最初はワ軍の事情や大量の人名のせいでなかなか読み進められなかったが、ムイレ村での生活を始めた辺りからぐいぐい高野節が炸裂して、村人とのエピソードなどは最高に面白かった。著者自身がアヘン中毒になってしまう所など笑いなくしては読めない…。 ミャンマーのアヘン事情についてほとんど知識がなかったためこの本を読んで多少なりともイメージが湧けた。
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“読書”の醍醐味の一つである、「未知の世界を体感できる」点を見事に堪能できる一冊。 文字通り現場に溶け込んでの体験記は、気負いが無いだけに非常に読みやすく、まさに自分がその場にいるかのように身近に感じられました。
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感想:ビルマのワ州に7ヶ月潜り込んでアヘンの生産について調査をした高野さんの本。誰もやったことがないことをやって書くっていうこの人のスタンスはやっばり面白い。 前に読んだ本から比べるとちょっと背景が難しかったり、登場人物が多かったりでわかりにくいところもあるけど、全く知らない世界...
感想:ビルマのワ州に7ヶ月潜り込んでアヘンの生産について調査をした高野さんの本。誰もやったことがないことをやって書くっていうこの人のスタンスはやっばり面白い。 前に読んだ本から比べるとちょっと背景が難しかったり、登場人物が多かったりでわかりにくいところもあるけど、全く知らない世界を知れるのはこの人が書く本の魅力の一つ。
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文庫版のあとがきでこの本のことを「「自分はあれを書いたのだ」と心の支えになるような仕事」、つまり「背骨」と呼ぶべき仕事だと自己評価する。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろおかしく書く」という著者の一貫したスタンスをハードに貫いたのが本書、ということ...
文庫版のあとがきでこの本のことを「「自分はあれを書いたのだ」と心の支えになるような仕事」、つまり「背骨」と呼ぶべき仕事だと自己評価する。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろおかしく書く」という著者の一貫したスタンスをハードに貫いたのが本書、ということだ。(この「背骨」とスタンスは後にさらなる傑作『ソマリランド』にも結実する) ミャンマーと中国・タイとの国境に位置するアヘン生産の「ゴールデントライアングル」に行って、現地の人と一緒にアヘン栽培を種まきから体験すること、それが著者の目的だ。ジャーナリスティックな意図も多少はあっただろうが、それよりもまずは誰もやらないこと、にとことんこだわる。そのためには滞在する村も可能な限り舞台となるワ州でもありふれた農村であることにこだわる。そして、その村の人間に徹底してとけ込む。あまりにもとけ込みすぎて、ほとんどアヘン中毒になるし、信州土産を東京に持って帰るくらいの気持ちでアヘンの塊をポケットに入れてタイに再入国したりする。面白くて、そしてぐっとくる。 村で滞在の対価というわけではないが、学校を開いて授業をする経験を通して、「学校」とはそもそもが「管理」であることを改めて発見し、文字を教える過程で標準語を「標準語」として教えるようになるところは社会学的観点からも面白い。 著者がワ州で過ごしたのは、1995年から1996年にかけて。その後にも状況は一変してワ軍の立場もまずいものになっていった。1997年に、TV制作クルーを連れて再入国をしようとするもできなかったという。著者が面倒を見てもらったワ軍のスポークスマンも暗殺された。日本統治からの解放、ビルマ共産党の支配からクーデターによる軍政への移行、小さな農村は、その流れから取り残されているように見えつつも、大きな流れに翻弄されている。 ミャンマーは長く続いた軍政のため、現在携帯普及率が10数%にとどまる。携帯最後の未開の地とも呼ばれている。著者でなくても今ゴールデントライアングルがどうなっているのか知りたくなる。
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高野さんの著作の中で最も強烈なタイトルと表紙を持った代表作。アヘン製造の世界的中心地、ミャンマーはワ州の村での7ヶ月間の滞在記です。アヘン王国の実態やミャンマー反政府ゲリラの関係も面白いのですが、本書一番の読みどころは滞在したムイレ村の秘境っぷりでしょう。 以前、私がボリビアを旅...
高野さんの著作の中で最も強烈なタイトルと表紙を持った代表作。アヘン製造の世界的中心地、ミャンマーはワ州の村での7ヶ月間の滞在記です。アヘン王国の実態やミャンマー反政府ゲリラの関係も面白いのですが、本書一番の読みどころは滞在したムイレ村の秘境っぷりでしょう。 以前、私がボリビアを旅行した際に、田舎に行くほどアスファルトがなくなり、携帯電波がなくなり、電気がなくなっていく様子にちょっと感動したのですが、ムイレ村の秘境っぷりは、ただ事ではないですね。 文字がない、学校がない、病院がない(呪い師はいる)、上水も下水もない、当然トイレも風呂もない、電気も電波もないからテレビもラジオもない、主食はあっても野菜がない(野草はある)、驚くべきことに炭もない。(これでもまだ、原始共産制ではないというのだから、ポルポトという人は本当にハードコアだぜ。。。) 著者はそんな村の中で、村人の結婚、葬式、喧嘩に立ち会い、喜怒哀楽を観察します。日本と違って超閉鎖的かつ、あっさり人が死ぬ社会なので、人類学者でなくても興味深い描写になっています。 タイトルに負けない、すごく面白い本で、実際にかなり有名な本です。この本が日本語で出版されたことを喜びましょう。
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