アヘン王国潜入記 の商品レビュー
ミャンマーの北部、反政府ゲリラの支配区であるワ州。そんな地域のとある村で、著者が半年間村の人々と一緒にアヘンを作りながら生活するお話。 歴史や文化などについて人類学者かと思うくらいきちんと書いてあるので、勉強になるルポです。 そしてそこで起こる出来事がほんとうに奇抜で著者の書く文...
ミャンマーの北部、反政府ゲリラの支配区であるワ州。そんな地域のとある村で、著者が半年間村の人々と一緒にアヘンを作りながら生活するお話。 歴史や文化などについて人類学者かと思うくらいきちんと書いてあるので、勉強になるルポです。 そしてそこで起こる出来事がほんとうに奇抜で著者の書く文章も面白い!引き込まれます。 高野さんの勇気、行動力、頭の良さ、言語能力の高さ、人づきあいのうまさにびっくりです!尊敬!!
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ミャンマー奥地のワ州で村人と共にくらし、アヘン栽培を手伝って最終的に自分がアヘン中毒になってしまう衝撃の潜入ルポです。世界は広い!そして辺境は面白く、深い世界です。TIMEでも紹介された傑作です。
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筆者が阿片栽培して、しっかり中毒になるのが素敵です。 突飛で支離滅裂な潜入ルポに見えますが著者はあり得ないくらい真面目。知りたいものはしょうがないんだし、やりたいんだからしょうがない。 大仰な思想はなく、ジャーナリズム的な目的意識もない。ただ、知りたいという衝動。だから本書は告発...
筆者が阿片栽培して、しっかり中毒になるのが素敵です。 突飛で支離滅裂な潜入ルポに見えますが著者はあり得ないくらい真面目。知りたいものはしょうがないんだし、やりたいんだからしょうがない。 大仰な思想はなく、ジャーナリズム的な目的意識もない。ただ、知りたいという衝動。だから本書は告発でなく、現地の人たちのありのままの暮らしと、そのミクロな視点の徹底。そこからワの社会全体の仕組みを見ていく。それだけで、世界で最も困難な秘境に行く。だから読みやすい。名著になるのでしょう。 ワの宗教文化的にすごく面白いのが、死にそうな人に対して、こいつは死にたがっている、死んでしまえと叱咤して、逆に生きる気力を鼓舞する声かけ。
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著者の最高傑作ではないかと思う。正直云って、UMA物なんかは読んでいて面白いけれど、ただ面白いだけのものなのだが、本書はミャンマーのワ州の政治的状況とその実態を知るうえでの貴重な資料としても価値もあると思う。実際には様々な危険も伴ったと推測され、ルポルタージュとしての価値も高いと...
著者の最高傑作ではないかと思う。正直云って、UMA物なんかは読んでいて面白いけれど、ただ面白いだけのものなのだが、本書はミャンマーのワ州の政治的状況とその実態を知るうえでの貴重な資料としても価値もあると思う。実際には様々な危険も伴ったと推測され、ルポルタージュとしての価値も高いと思う。
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高野秀行2冊目。これまた面白い。気負わずFW、は研究者の端くれとしては目指したい姿である。 黄金三角地帯のど真ん中に入った外国人って、ほとんどいないのではないだろうか。そういった意味で貴重な資料でもある。しかも面白い。 題材がいいのもあるけど、語り口がいい。 いずれにせよ、ミャン...
高野秀行2冊目。これまた面白い。気負わずFW、は研究者の端くれとしては目指したい姿である。 黄金三角地帯のど真ん中に入った外国人って、ほとんどいないのではないだろうか。そういった意味で貴重な資料でもある。しかも面白い。 題材がいいのもあるけど、語り口がいい。 いずれにせよ、ミャンマーにこんなアヘン産地があるとは知らなかった。今もあるのだろうか。
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ルポとして秀逸。ただの読み物としても十分面白い。 アヘンが麻薬であることはもちろんだが、同時に農作物である事を理解した。
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誰も行かないであろう土地に行くという発想が面白い。 あとがきを読んで時代は常に変化しているのだと感じた。 そういう意味でも価値のある取材であったと思う。
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高野氏の著書は初めてだけど、面白かった。ミャンマーにあるケシ栽培ゴールデントライアングルに潜入したルポ。ミャンマーって複雑すぎて読んでもよくわからない部分はあったけど、興味が持てた。
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高野秀行4冊目。 しばらく本が読めなかったけど、リハビリにはちょうどいい簡単さでした。 読みかけの本たちはもう少し待っててね。 この人が行く辺境にはだいたい世話焼きの優しい人がいるけど、 そうじゃない人々がいる場所で、文明は発展していくんだなぁと思う。 報酬を求めない、須く...
高野秀行4冊目。 しばらく本が読めなかったけど、リハビリにはちょうどいい簡単さでした。 読みかけの本たちはもう少し待っててね。 この人が行く辺境にはだいたい世話焼きの優しい人がいるけど、 そうじゃない人々がいる場所で、文明は発展していくんだなぁと思う。 報酬を求めない、須く平等っていうのは、共産主義なのか。 商売以外では、その精神でいいのではと思うのだけど、何事も商売になり得るのだから、そうはいかないのがわたしの暮らす資本主義なんだなぁ。 いつかまた筆者がワ州に行って懐かしい人に会えたらいいなと思う。 ワ州の現在については気になるのでゆっくり調べてみよう。
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いつか別のレビューでも書いたが、探検物や旅行記など旅系の本が好きでよく読む。 旅系の本でも、いろいろな系統や分類に分けることができるが、高野秀行氏の作品はそんなカテゴライズさえ非常に難しい、強いて言えば辺境ジャーナリズム系、といったところだろうか。 本書の舞台は麻薬ヘロインの原...
いつか別のレビューでも書いたが、探検物や旅行記など旅系の本が好きでよく読む。 旅系の本でも、いろいろな系統や分類に分けることができるが、高野秀行氏の作品はそんなカテゴライズさえ非常に難しい、強いて言えば辺境ジャーナリズム系、といったところだろうか。 本書の舞台は麻薬ヘロインの原料である、ケシの世界最大生産地ゴールデントライアングル。そのゴールデントラアングル地帯も3カ国にまたがっているのだが、中でもミャンマー国内の自治区である、ワ州への潜入取材を試みているのだ。 しかも取材といいながら、高野氏曰く「善悪の彼岸」に7ヶ月も滞在し、少数民族であるワ人たちと一緒に、ケシの種まきからアヘンの収穫までを行なっている。 ふつう旅系の本といえば街から街へ、または国境を越えての移動、そして行く先々での新しい出会い、なんかに興味を惹かれるものだ。 しかし、本書の場合ほぼ同じ村に長い間居座り、やっている事といえばケシ畑の草むしり、地元民との果てしない宴会、しまいには高野氏自身が軽くアヘン中毒になってしまうなど、失礼を承知で言わせてもらえればグータラの極みなのである。 まあ、でもそこが高野氏の魅力でもある。グータラと書いてしまったが、実は滞在中にアヘンからヘロインではなく、医療用モルヒネを作る事を思いつき、ワ州を統治しているワ州連合軍というゲリラの幹部に、「アヘン=モルヒネ化計画のすすめ」という提案書まで提出しているのだ。 もしこれが実現されていたらミャンマーの歴史、いや世界史は変わっていただろうと思う。 あとがきに書かれていたが、高野氏が帰国してからこの体験を原稿に起こし、出版各社へ持ち込んだ時の反応はあまり良いものではなかったそうだ。が、しかし国内での反応とは間逆で、海外ではかなりの反響を呼び、ある協会からは推薦図書に認定され、某誌のジャーナリストからは「古典になる」とまで賞賛されたようだ。まさに世界を舞台とする辺境ジャーナリストの面目躍如である。 最近は著者が滞在した1995年当時とは、ワ州を取り巻く環境も大きく変わり、ケシ栽培はほとんど行なわれておらず、同地域への立ち入りも難しいらしい。 決して肯定するワケではないが、現地で栽培を行なっていたワ人たちにとって、ケシはヘロインの原料という認識はなく、ただの農産物であり貴重な収入源だったのだ。そのことを考えると少し複雑な気持ちである、彼らにしてみれば彼岸も此岸も、遠い世界の話なのだ。 「文明度は低いが、文化度は決して低くない」という高野氏の言葉がとても印象に残った。 またいつか、高野氏があの村に訪れ、愉快な住民たちと再会できる日が来る事を心より願いたい。
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