羅生門・鼻・芋粥 の商品レビュー
芥川龍之介の作品を初めて読んだ。 羅生門をはじめに読んでまずびっくりしたことは、作品の短さですね。 人間の本質を考えさせられる本です。 なんとも言えない気持ちになりますね。 短い作品で多くの事を考えさせてくれる良い作品だと思う。
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羅生門に関しては、人間の本質を突いていて面白かった。下人の勇気の方向性が変わる瞬間が印象的だ。 鼻は終始、笑える内容だった。また、人間が他人へ抱く感情が生々しく描かれており、魅力的であった。
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名前だけ知ってても一度も手にしたことがない、 歴史的文豪、芥川龍之介の世界に触れてみよう。このたびやっと決心致しました。 短編集で各々、読みやすいものから難解なものまで 用意されていて、出し手の波長の変化を受け取りつつ、 そして、どれも内容は違うようで横文字混じりの『芥川節』が随所に込められていて、 それが全体を束ねる、いわゆる芥川色の紐として機能してると思いました。 表題にもなっている有名な『羅生門』ですが、一見して、 正直なところ自分には、これの何がそんなにいいのかがわかりかねましたが、 落ち着いていま考えるとこれは、老婆の言葉尻を捕らえて、 食うに困るなら相手の道理にならって追い剥ぎやればいーやんとなる、 この短絡的な思考能力の非を問われて、下人が勤め先を失って羅生門に辿り着く前の 過去が見えないといけないわけで、冒頭で述べられた、下人の失職は必ずしも 世の中が悪いせい、これだけの問題ではとてもあり得ないという点は 間違いないかと思います。 物事には必ずとはいわずとも因果関係は少なからずあり、 舞台の羅生門のような、生死を問わず人間の掃き溜めのような場所に 当たり前の人が寄り付くはずもなく、よしんばそこで少しの銭を手にしたとしても、 先に繋がるはずが無い←ってメッセージがこめられてるのかな、と、 勝手に解釈したところです。 それを踏まえて考えてみると、いまの自分の居る場所って、 羅生門なのか?それとも羅生門ではないのか? 羅生門が近づいてきているのか?遠ざかっているのか? 考えだすと眠れなくなさそうです。難しいです。 自分の好みとしては、芋粥、手巾、大川の水の3作で、 芋粥の、バカバカしい事に豪快に取り組まれ、密かな願望が 叶ってしまうことに対して蛙化する五位の揺れる精神状態に、 普遍的な人間心理は今も昔も大した変化はないなと感じた点、 手巾では夏目先生よろしくの、西洋ドラマツルギー(作劇法)への 皮肉を感じてちょっとニヤニヤしてみたり、 大川の水は、徹底して自然に対する観察眼により出来ていて、 人間関係や何かのこじれに疲れたそこまでの脳を、いい感じに リセットする効果があるように思いました。 葬儀記は、自らの師である夏目漱石を弔った、 当時の芥川龍之介の気持ちがにじみ出ていて、 師と彼の絆の深さを表現するものである事は当然として、 それがずっと後世において見ても歴史の大事な1ページであることを 全身で受け取ったもののことばとして重く印象に残ります。 1冊読んだだけですから、自分には芥川龍之介のことは ハッキリしたシルエットとしてはまだ見えてきませんが、 彼は歴史的文豪でありつつ、偉大なる歴史的文豪の『影』にも 苛まれていたのではないか?と、このたび勝手に思った所で、ひとまず中断です。 また他の作品を読んで自分なりの答えを出そうと思います。
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「芋粥」と、「父」は、とくに面白かったです。どのお話も「人」に触れられていて、心情表現などが、精巧に書かれていて、読んでいてワクワクしました!
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短編がたくさん載っていて読みやすい。 『鼻』をはじめ、『芋粥』、『煙管』なんかは執着していたものが、ある出来事を機に全く別のものの見方になるところが興味深い。 『大川の水』は隅田川沿いの地名、橋の名前なんかが具体的で、私も縁がある場所なので楽しかった。川の場所によって水の色が違う...
短編がたくさん載っていて読みやすい。 『鼻』をはじめ、『芋粥』、『煙管』なんかは執着していたものが、ある出来事を機に全く別のものの見方になるところが興味深い。 『大川の水』は隅田川沿いの地名、橋の名前なんかが具体的で、私も縁がある場所なので楽しかった。川の場所によって水の色が違うかなあ?今度見てみよう。
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「鼻」ーこの話の何がおもろいって鼻が長いのを嘲笑していたモブたちが、短くなったらなったでまた笑うのよ。他人の不幸がおかしくて、その不幸を切り抜けられるとなんだか物足りないんだろうなあ。所詮ヒトなんて他人の不幸が嬉しくて仕方ないんだ!かなしいけどだってきっとみんなそれが本心。わたし...
「鼻」ーこの話の何がおもろいって鼻が長いのを嘲笑していたモブたちが、短くなったらなったでまた笑うのよ。他人の不幸がおかしくて、その不幸を切り抜けられるとなんだか物足りないんだろうなあ。所詮ヒトなんて他人の不幸が嬉しくて仕方ないんだ!かなしいけどだってきっとみんなそれが本心。わたしは本心に蓋をする方が苦手で。綺麗事を麗事として並べたがっている時の方が健全で、心の底からそう思っていることにしている時の方が怖いぜ!!だから年に一回、それまでものすごく仲良かった人やお世話になった人と縁が切れる時も「お互いの世界で幸せになろうな」とは到底思っていない、「どうか不幸になってくれ」と思っている。自分の悪人気質に嫌気がさしながらも、最近はその本心を打ち明けることでちょっとだけ楽になろうとしている、なってないけどレヒトに「ことば」が与えられたのはなぜだろうか、「思想」が与えられたのはなぜだろうか、ちなみに私はとんでもなく悪人気質だけど明日を笑顔で生きてもいいのだろうか、ちゃんちゃんっ!
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初めて芥川龍之介の作品をちゃんと読んだ。高校の現代文に出てきた羅生門で少し知ってたくらい。結論めちゃくちゃ面白かった。 短編だから読みやすい。 初めの「老年」が難しすぎて自分には合わないかな〜と思ってたけど、それ以降は面白いもの多くて、芥川の世界に引き込まれていった。 特に...
初めて芥川龍之介の作品をちゃんと読んだ。高校の現代文に出てきた羅生門で少し知ってたくらい。結論めちゃくちゃ面白かった。 短編だから読みやすい。 初めの「老年」が難しすぎて自分には合わないかな〜と思ってたけど、それ以降は面白いもの多くて、芥川の世界に引き込まれていった。 特に仙人、羅生門、鼻、野呂松人形、芋粥、大川の水、葬儀記が好きだった。 文章そのものや言葉の使い方、表現の上手さは去ることながら人物の心情を描くのが本当に上手い。100年以上前の作品なのに情景がぱっと浮かんでくるし、人物の喜怒哀楽がひしひしと伝わって感情移入出来る。 作風は今昔物語とか宇治拾遺物語とかの歴史ものを題材にしているのが多かった。羅生門や鼻など、時代は平安時代を舞台にしているものが多かった。 他にも芥川自身の体験した日常や出来事をそのまま題材にしたり、同じ作家の友達を登場させたりしていて、多彩だなと思った。それと外国の思想家とか芥川の尊敬する文豪も沢山出てきて、芥川自身かなりの読書家なんだなと感じた。 芥川の生まれ育った故郷に対する愛や思いをつらつらと書いた「大川の水」、自身の小説家としての不安を正直に綴った「野呂松人形」、夏目漱石の葬儀の日を日記形式で淡々と書いた「葬儀記」などは、芥川自身の不安や気持ちを素直に文章にしていて、それがなんか良いなと感じた。こんなに赤裸々に自分の不安や思索や気持ちを文章にすることがすごいし、感情的で主観的でありながらも、とても読みやすい。これらの文章の構成や表現、気持ちの書き方などは、自分がエッセイや文章を書く上でも参考にしようと思った。 昔の言葉とか注釈が多くて読むのには時間かかったけど読んでよかったなと思う。そこら辺の現代文学の何倍も面白い。難しそうだからって理由でずっと避けてきたけど、もっと早くから読んでおけばよかったな。もうすぐ没後100年になるけど、これからも色褪せることなく読まれ続けると思う。
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芥川龍之介の初期短編集。 「ひょっとこ」「鼻」 生きていく中でどうしたってつきまとう他人から見られているということへの意識。本当の自分はどれ?
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生きていれば誰もが直面する苦しさ、やり切れなさ、物悲しさ、切なさ、侘しさ、そういったものを鮮やかに切り取っている。文体やスタイルが多様であることにも驚かされるが、モチーフに自身のテーマを綺麗に乗せて展開する手腕、そしてこのような人生の一側面を優しさと共に見つめて切り取る眼差しに感...
生きていれば誰もが直面する苦しさ、やり切れなさ、物悲しさ、切なさ、侘しさ、そういったものを鮮やかに切り取っている。文体やスタイルが多様であることにも驚かされるが、モチーフに自身のテーマを綺麗に乗せて展開する手腕、そしてこのような人生の一側面を優しさと共に見つめて切り取る眼差しに感嘆する。
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人の口から手を突っ込んで、腹わたを掴み出し、これがこいつの人間性だと、突きつけてくる。そんな、人間とは何かをとことん知らしめようとする作品もあれば、さらっと肌に触れるだけのものもありました。 今はもうない物や風景、知らない言葉を調べながら、あるいは想像しながらの、時間のかかる...
人の口から手を突っ込んで、腹わたを掴み出し、これがこいつの人間性だと、突きつけてくる。そんな、人間とは何かをとことん知らしめようとする作品もあれば、さらっと肌に触れるだけのものもありました。 今はもうない物や風景、知らない言葉を調べながら、あるいは想像しながらの、時間のかかる難しくも楽しい読書でした。
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