下流志向 の商品レビュー
なぜ今の子どもたちが勉強しなくなったのか 若者が働かなくなったのか を等価交換や消費者の概念を用いて説明する。 納得させられる事多し。
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子供の学力低下とニート化に関する、他の人とはひと味違う考察が行われている。ひと味違うが故に、これまでの論考にもう一つ納得いかなかった私も腹に落ちた感があり。彼らにとっての最適解が行動に現れているとするならば、確かに功利主義的な説得では彼ら以上の理屈を振り回す事が出来ないがゆえに、...
子供の学力低下とニート化に関する、他の人とはひと味違う考察が行われている。ひと味違うが故に、これまでの論考にもう一つ納得いかなかった私も腹に落ちた感があり。彼らにとっての最適解が行動に現れているとするならば、確かに功利主義的な説得では彼ら以上の理屈を振り回す事が出来ないがゆえに、全く通用しない。まさに「働いたら負け」の世界。しかしこの消費社会に浸かりきった現代の親達に、子供の理屈を超える何かを提示できるだろうか。
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本の中には、同意しやすい記述もあれば、同意しにくい記述もあります。 内田樹の本は、それらがうまく混ざっていて、しかも、同意しにくい内容であっても、「そういう考えもありかも」と思わせてくれるのがよいところだと思います。 格差社会と言われてしばらく経ちますが、その原因を考える上で、...
本の中には、同意しやすい記述もあれば、同意しにくい記述もあります。 内田樹の本は、それらがうまく混ざっていて、しかも、同意しにくい内容であっても、「そういう考えもありかも」と思わせてくれるのがよいところだと思います。 格差社会と言われてしばらく経ちますが、その原因を考える上で、参考になる本です。
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今までの価値観を大きく変えてくれるような本に出会った瞬間は、なんとも言えない愉悦に浸れる。この本がそうだ。教育を消費者感覚で考えることは、教育の自殺行為である。そもそも教育が子どもの「何で勉強しなきゃいけないの?」という問いを想定していない、という導入から、この本ヤバイなって感じ...
今までの価値観を大きく変えてくれるような本に出会った瞬間は、なんとも言えない愉悦に浸れる。この本がそうだ。教育を消費者感覚で考えることは、教育の自殺行為である。そもそも教育が子どもの「何で勉強しなきゃいけないの?」という問いを想定していない、という導入から、この本ヤバイなって感じがビンビンした。教育内容の価値の無時間性、等価交換の不成立など、本当に面白い。この理論は、ぜひ自分のものにしたい。これほどまでに思考回路の吸収を貪欲に求めたことはなかった。きっと、二度三度読んで、はじめて馴染んでくるんだろうな。
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感想を書くのにかなりの間が空いてしまったのですが… これは過去の私の話。というか、今まさに変えようとしている私の像がここに全て表されている気がしました。さすがに授業態度を指摘されて怒るような子ではなかった(はずだ)けど、思い当たる事のありすぎる事例。たまに読み返して自分を戒めるの...
感想を書くのにかなりの間が空いてしまったのですが… これは過去の私の話。というか、今まさに変えようとしている私の像がここに全て表されている気がしました。さすがに授業態度を指摘されて怒るような子ではなかった(はずだ)けど、思い当たる事のありすぎる事例。たまに読み返して自分を戒めるのにいいかもしれません。
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教育の等価交換。消費者としてのマインドを学校に持ち込む。苦役、我慢見合った価値があるのか。何の役に立つのかという質問。 大学は学びと労働の喫水域。 実学とは実際に役立つことを高校生でも知っている知識や技術。そうでない授業は選択されない。 シラバスは大学と学生が取り交わす労働契約で...
教育の等価交換。消費者としてのマインドを学校に持ち込む。苦役、我慢見合った価値があるのか。何の役に立つのかという質問。 大学は学びと労働の喫水域。 実学とは実際に役立つことを高校生でも知っている知識や技術。そうでない授業は選択されない。 シラバスは大学と学生が取り交わす労働契約である。
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「何で勉強しないといけないの?」 うーん確かにわたしも中学生のときに一度母に聞きました。 いい大学に入って、いい仲間と出会って、いい職場で働くためよ、みたいなことを言われたと思います。その時はふうんと思ったので、勉強やめた!と放り出すことはしませんでした。が、この本を読んで、そん...
「何で勉強しないといけないの?」 うーん確かにわたしも中学生のときに一度母に聞きました。 いい大学に入って、いい仲間と出会って、いい職場で働くためよ、みたいなことを言われたと思います。その時はふうんと思ったので、勉強やめた!と放り出すことはしませんでした。が、この本を読んで、そんな理由納得できない!ともし当時思ってたら...と恐ろしくなった。 どうして勉強しないといけないの?なんの意味があるの? なんの疑問も持たず、多くの人がしてしまう質問だと思うのだけど、それの何が間違ってるのか、どこがおかしいのかを教えてくれる本。以前読んだ池上さんの「教養のススメ」と通じるところもある本だと思う。
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生まれてはじめての社会活動が労働ではなくて消費であった。 消費主体からはじまった僕らの社会生活にとって、「学びは何の役に立つのか」という問いも理にかなっていたなんて、、、 外界の変化に即応して自らを変えられる能力を学ぶ。その本質に市場経済や等価交換の原理を入れ込んでしまった。 ...
生まれてはじめての社会活動が労働ではなくて消費であった。 消費主体からはじまった僕らの社会生活にとって、「学びは何の役に立つのか」という問いも理にかなっていたなんて、、、 外界の変化に即応して自らを変えられる能力を学ぶ。その本質に市場経済や等価交換の原理を入れ込んでしまった。 そして、学ぶ意味を知らず大人になってしまうから労働することにも意味を見出してしまう。 自分もその当事者だと思うと、本当に耳が痛い。 でもこの当事者意識は忘れずに上昇気流にのっていきたい。
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大変論理的でその論旨も解りやすく展開され、かつ何故にこれまで世間の数多偉そうにのさばっている教育関係者がこのような考察に及ばなかったのかと感じるほど、いくつもの確実に正しかろう視点がある。一点だけ何故昨今の就学前の児童がすでに消費主体になってしまうのか、その原因の説明が薄い。じじ...
大変論理的でその論旨も解りやすく展開され、かつ何故にこれまで世間の数多偉そうにのさばっている教育関係者がこのような考察に及ばなかったのかと感じるほど、いくつもの確実に正しかろう視点がある。一点だけ何故昨今の就学前の児童がすでに消費主体になってしまうのか、その原因の説明が薄い。じじばばからお年玉いっぱいもらっているからとかの説明では到底納得しかねるからね。そこが残念。
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様々な文献や教育界の方々の論文等を参考に、現在20〜30代となっている若者の志向変化をまとめた本。志向変化そのものはなるほどと思えるが、私はこの本だと若者に該当する世代のため、正直「旧世代の人が現場の若者のインサイトをとらえずに頭でっかちに出した考察」のように思えてしまった。 例...
様々な文献や教育界の方々の論文等を参考に、現在20〜30代となっている若者の志向変化をまとめた本。志向変化そのものはなるほどと思えるが、私はこの本だと若者に該当する世代のため、正直「旧世代の人が現場の若者のインサイトをとらえずに頭でっかちに出した考察」のように思えてしまった。 例えば、「子供達は、なぜ勉強する必要があるの?」という問いを持つ。これは旧世代には無かった問いであるとのこと。これに対する弁論は、「そもそも教育とは、受けてから初めて価値が見出せるものであり、その問いをまともな教育者なら答えられるわけがない」といった内容だった。 これは本当か?むしろ、自分が教えていることの価値を言語化できない教師とは、本当に教育者として良いと言えるのか? ひとつこの本の考察でなるほどと思ったのは、若者は労働より消費体験を先にしているので、投資対効果、つまり等価交換に対する感度が高くなっているという。だとしたら、得られる可能性を知りたいという知的欲求である。完璧に正しい答えを必要としているのではなく、あくまで体験談として何を得られるのか聞きたいだけなのではないだろうか。これがいわゆる世の中のレビューのようなものが流行る基盤のひとつだと思うし、そこには子供なりの「失敗しないためのリスクヘッジ」を求めているのだと思う。まだ教育を受けていない子供がそれを「不要だ」と感じるのだとしたら、それは逆に教育者が子供達の目線に立てていないという事実ではないか。 一方、現実として過去より日本は豊かになり、さらにオンラインのみでつながりながら1人で過ごす時間が増えている。これにより起きるのは、想像力の欠如ではないだろうか。深いコミュニケーションや自分と異なる属性と触れることで知る価値観や世界を知らぬまま大人になる若者が増えているため、自分の今がいかに恵まれているかを捉えられない人も多い。「労働から消費の主体者になった」子供達の外部要因としてこのような環境変化も著しく影響しているように思う。 この本は時代の変化をゆるく捉えながら、現状の教育をどう変えるべきかということを何も語っていないのは残念。 唯一、非常に面白い傾向だとこの本から思えたのは「勉強をして未来に努力するより、今を楽しんでいる方が自己評価が高い」という子供達の価値観変化の兆しだ。私は沢山の若者と話す中で、特にフリーターなどのような層はまさに「今しか見ていない」パターンが多く、それは逆説的にこういった価値観から生まれているのか、と参考になった。 未来ではなく今だけをみて嫌なことから逃げた結果、自ら社会的階層を下げていくという下流志向の要因となっている。これは本人や家族の自己マネジメント能力にも起因していると思われる。アメリカなどのレポートでは、低所得者層の子供ほどゲームなどで遊んでしまい、親がインターネットでの子供の遊びをマネジメントできないという調査結果も出ている。 私が思うに、 ・生活レベルが上がり、一定層以上は普通に学校へ行けるようになったため、そもそも教育を受けられるということそのものは差別化できる価値ではなくなった ・子供達が触れられる娯楽は増加し、労働する時間は減ったが、オンラインでの遊び、友達との密な連絡、習い事など、彼らを取り巻く他にやることは実は増加している ・時間が無くなった中で、何に自分の時間をあてがうかを選択するが、その選択肢は、実は本人や家族のとりまくマネジメント能力により、短期的に見るか長期的に見るかが異なる ・結果として、自らが望んで選択したタイムマネジメントが本人にとって最も自己満足度が高い状態になり、勉強しない層が増加 ・やりたくないことをやらずに逃げて大人になることが出来た結果、労働市場に出ることを拒む層がニート化 私自身はこの本でいうような、ニートは等価交換の考え方の極み、というのはさすがに違うのではと思っている。 とにもかくにも、私自身もこの本の中では新世代に近い志向性であったことは事実だし、旧世代から見るとそう見えるのか、という気づきと、そして色々論じたくなる内容であったことは良かった。
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