闇の守り人 の商品レビュー
前作『精霊の守り人』がトラブル巻き込まれ型なのに対し、今回はバルサが最初から積極的モードなのが嬉しい。 なにしろ自分から望んで、故郷へ帰るのだから。それは困難な過去と向き合うことでもあるのだけれど。 善意ある人々の中にもある憎しみ、あざけり、ねたみの心。どこにでも潜む大人たちの...
前作『精霊の守り人』がトラブル巻き込まれ型なのに対し、今回はバルサが最初から積極的モードなのが嬉しい。 なにしろ自分から望んで、故郷へ帰るのだから。それは困難な過去と向き合うことでもあるのだけれど。 善意ある人々の中にもある憎しみ、あざけり、ねたみの心。どこにでも潜む大人たちの影の部分も、正直に描いています。 児童文学だけど、こういう所を隠さない、むしろ書いて子供に知らせるのって難しいだろうと思います。それをちゃんと書く姿勢が、人を惹きつけるのかもしれません。 伝説がただの言い伝えじゃなくて、ちゃんと現実だってところがスゴイ!
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満を持して、上橋菜穂子が日本本屋大賞に選ばれた。本屋さんの気持ちはよくわかる。そして、こんなにも紹介のしがいがある作家も珍しい。煽り文句や「上橋菜穂子の世界」と称してビジュアル紹介や、本屋さんじゃないけどやりたいことはいくつでも思い浮かぶ。とりあえずは、この一ヶ月で読んできた本の...
満を持して、上橋菜穂子が日本本屋大賞に選ばれた。本屋さんの気持ちはよくわかる。そして、こんなにも紹介のしがいがある作家も珍しい。煽り文句や「上橋菜穂子の世界」と称してビジュアル紹介や、本屋さんじゃないけどやりたいことはいくつでも思い浮かぶ。とりあえずは、この一ヶ月で読んできた本の紹介。 闇の守り人 [ 上橋菜穂子 ] 「去年の秋に、不思議な運命を背負った子の用心棒をたのまれましてね」 バルサは〈水の守り手〉と呼ばれる精霊の卵を守る、〈精霊の守り人〉にされてしまった新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムを、どうやって守ったかという話を、叔母に話して聞かせた。その少年を、バルサは今も母親のような気持ちで、いとおしく思っていた。 「あの子の用心棒をしているうちに、わたしは、ふしぎなことに気がついたんですよ。自分の命さえあぶない、恐ろしい仕事だったのに、チャグムを守っているあいだ、わたしは、幸せだったんです。…ほんとうに幸せだった」 バルサはかすかな笑みを浮かべた。 「あんなふうに、自分の人生を使うのも、わるくないんだと、わかったんです」(118p) 女用心棒バルサは25年ぶりに生まれ故郷カンバル国に戻り、父親を殺した陰謀の顛末を知り、国と〈山の王〉との関係を知る。 アフリカやアジアの中世の小国を思わせるような世界観、国の創世記伝説のリアルさ、伝統料理やお菓子の存在、そして現世のすぐ隣にもう一つの「世界」があることの不思議。これらの世界観を背景に、娘であり、少年であり、母性も持ったバルサの彷徨記が展開される。 驚くのは、バルサのアクション描写の確かさである。これがしっかりしているので、頭でっかちにならないエンタメ作品として多数の支持を得たのだろう。 たいへん面白い。なかなか止められない。こまったものだ。 2015年3月20日読了
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精霊の守り人で少しだけ語られた、バルサの過去。ジグロとの出会いやその後について書かれています。 同じ兄弟でも性格が違うとこうも人生は変わるんですね。バルサやジグロの強さに涙。です。話は人間の嫉妬や権力争いが中心です。今の世の中でもありますよね。ありそうでない、そんな奥深いファンタ...
精霊の守り人で少しだけ語られた、バルサの過去。ジグロとの出会いやその後について書かれています。 同じ兄弟でも性格が違うとこうも人生は変わるんですね。バルサやジグロの強さに涙。です。話は人間の嫉妬や権力争いが中心です。今の世の中でもありますよね。ありそうでない、そんな奥深いファンタジーです。守り人シリーズはまだまだ続くので幸せです。バルサが次はどんな人に出会い、冒険するのか楽しみです。
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すごいなぁ。 精霊の守り人の中で、チャグムにふいに語ったあの物語が、こんな壮大な業になっていくとは! 闇の守り人ヒョウルという大きな存在やその盗掘にある不思議な宝ルイシャ、そんなことをどうやって思いつくのかしらとドクドクと読み進むと、バルサの故郷の悲しい政と、貧しくとも美しい景...
すごいなぁ。 精霊の守り人の中で、チャグムにふいに語ったあの物語が、こんな壮大な業になっていくとは! 闇の守り人ヒョウルという大きな存在やその盗掘にある不思議な宝ルイシャ、そんなことをどうやって思いつくのかしらとドクドクと読み進むと、バルサの故郷の悲しい政と、貧しくとも美しい景色に魅了されてます。 不思議な、小さな牧童たちが現れるともうなんとも言いがたく楽しくなってしまう! 私はバルサがドムの毒槍をうけ、気を失った後の小人達とのやりとりが大好きです。バルサの過去を振り返る辛い旅の中、いつも守られている暖かさ、はぁ、上橋菜穂子さん、ティティ・ランなんて、いったいどこから浮かんだのですか!山の王の姿の形容も、文句のつけどころなく素敵でした! 束の間の幻想と勇者との旅、心から楽しみました。
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バルサの過去。 途中で、人間関係(血筋)が分からなくなり、混乱したけど、ちゃんと人物設定のところに系図があったからわかりやすかった。 バルサの故郷が舞台ということで、チャグムは出てこないけど・・・バルサが自分の過去と向き合おうと思ったのは、間違いなくチャグムと出会ったから。 ...
バルサの過去。 途中で、人間関係(血筋)が分からなくなり、混乱したけど、ちゃんと人物設定のところに系図があったからわかりやすかった。 バルサの故郷が舞台ということで、チャグムは出てこないけど・・・バルサが自分の過去と向き合おうと思ったのは、間違いなくチャグムと出会ったから。 魅力的な人物が多いのもこのシリーズのいいところ。
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守り人シリーズ第2弾。第1弾を受けて、主人公バルサの生い立ちや、育て親ジグロの愛情や悲しみや苦しみが絡み合い、泣けた。命が紡がれていく生と死がテーマでありながら、最後の清々しさには感動を覚える。マジ泣けた。第1弾以上に、大人こそジンとくるものがあるストーリーじゃないかな。泣くよ。
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正に一気読みです。ジグロとバルサの哀しみ、苦しみが昇華されたようなそんな終わりに晴れ晴れとした気分になりました。バルサは本当に強いんだろうな…槍舞いの姿を見てみたいです。舞いながら待っていたジグロと心を通わせ、心臓を貫かれながらも死ぬことはなく、弔うことができた。そりゃバルサ以外...
正に一気読みです。ジグロとバルサの哀しみ、苦しみが昇華されたようなそんな終わりに晴れ晴れとした気分になりました。バルサは本当に強いんだろうな…槍舞いの姿を見てみたいです。舞いながら待っていたジグロと心を通わせ、心臓を貫かれながらも死ぬことはなく、弔うことができた。そりゃバルサ以外にそれができる人はいないでしょう。トト長老も役者ですな♪時折タンダを思い出すバルサにニヤニヤ。はよ帰ればいいのに…とは思いますが、そう簡単にはいかないんでしょうね、バルサの場合は。カッサの成長、頼りない現王の成長も楽しみです。
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読み始めたら止まらなかった。悲しみ、楽しみ、苦しみ、愛情、怒り、慈しみ、…これほど一度にたくさんの感情を沸き起こしてくれる話もなかなかない。それって、一言でいえば、感動した、ということなのかも。
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バルサの過去を描く。故郷カンバル王国に帰ったバルサは洞窟の中で闇の守り人と槍舞いをする。やがて35年ぶりに山の底の扉が開く。養父ジグロの弟ユグロの野望を防ぐため、牧童たち山の民と儀式の真の姿を知るものがバルサと少年カッサを送り出す。そしてバルサは闇の守り人の正体を知る。バルサとジ...
バルサの過去を描く。故郷カンバル王国に帰ったバルサは洞窟の中で闇の守り人と槍舞いをする。やがて35年ぶりに山の底の扉が開く。養父ジグロの弟ユグロの野望を防ぐため、牧童たち山の民と儀式の真の姿を知るものがバルサと少年カッサを送り出す。そしてバルサは闇の守り人の正体を知る。バルサとジグロの物語。
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守り人シリーズの2巻目。 チャグムとの旅を終えたバルサが、祖国であるカンバルに戻り自らの過去と向き合い清算するまでを描いている。 前作に続き、素晴らしいのひとことに尽きる。 上橋菜穂子さんの小説は人物の造形の奥深さはもちろん、国や民族、平等、生と死とは何か戦争とは何かということに...
守り人シリーズの2巻目。 チャグムとの旅を終えたバルサが、祖国であるカンバルに戻り自らの過去と向き合い清算するまでを描いている。 前作に続き、素晴らしいのひとことに尽きる。 上橋菜穂子さんの小説は人物の造形の奥深さはもちろん、国や民族、平等、生と死とは何か戦争とは何かということにまで深く掘り下げられている。 こうしたあたりも児童文学にとどまらず、大人も惹きつけている要因の一つなんでしょう。いや、もちろん純粋にお話としても面白いけど。 青い宝石の秘密、相変わらず追われる身となるバルサ、氏族たちの間の階級格差、人間の見栄、、前作を超える面白さに感服。 正月から良いものを読ませていただきました。
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