真鶴 の商品レビュー
不安定な人の話は久しぶり。悲しい、辛い、怖い。とても直感的。私は幸せなお話が好き、だって持っていかれてしまうから。こうして書いていないと、落っこちてしまいそう、と、暫くぶりに思う。
Posted by
私のなかの真鶴といえば、東京から近いのに、まったく商売っ気のない琴が浜でのダイビング。あのひっそりとした感じが、よくでてる作品だった
Posted by
延々と続く美しい絹織物を眺めるような作品。 つらつらとあまり波風が立たずに物語が続いていく。 物語の中では色々な出来事があるけど主人公はあまり 感情の起伏がないので実際は波風あっても読んでいる 自分もするすると単調に物語をよんでいる。 それが心地よい時もしんどい時もある...
延々と続く美しい絹織物を眺めるような作品。 つらつらとあまり波風が立たずに物語が続いていく。 物語の中では色々な出来事があるけど主人公はあまり 感情の起伏がないので実際は波風あっても読んでいる 自分もするすると単調に物語をよんでいる。 それが心地よい時もしんどい時もある作品。 いつもの川上作品にある少し異様でも陽気という雰囲気は 今回はない。好みは別れるけど、全体的に綺麗な作品でした。
Posted by
川上弘美は大きく分けて2パターンの作風があるように思う。 1つは古道具中野商店やセンセイの鞄にみられる、ほのぼのとした人間模様。もうひとつがこの真鶴のような叙情的な純文学。後者の方は読み終えた後にじわじわと何か感じ取れる気がする。
Posted by
てっきり昔、川上作品にはまっていた時代に読み終わったと思っていた。得した気分。 それにしても。礼、だったか、浮気にしろなんにしろ、突然消えてはいけない。久しぶりに悲しい本を読んだ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おぼろげで、見えそうで見えない怖い真実。それが真鶴という場所と結びつき、主人公はそこを何度も訪れながら、自分の中の忘れてしまっていることに近づこうとする。 全体として雨が降りそうな日曜の夕方という雰囲気だった。 決定的な何かは起こらないが、うっすらと絶望が透けて見える、そんな作品だった。
Posted by
買ったことも、読んでしまったことも「後悔」させられる作品。 かけがえの無いものを唐突に失うことほど苦しい事は無い。なぜ失われたのか、生きているのか、死んでしまっているのか。それすら解らないままであったならば、苦しみはどれほどであろうか。 「解らぬ」苦しみを知らしめるこ...
買ったことも、読んでしまったことも「後悔」させられる作品。 かけがえの無いものを唐突に失うことほど苦しい事は無い。なぜ失われたのか、生きているのか、死んでしまっているのか。それすら解らないままであったならば、苦しみはどれほどであろうか。 「解らぬ」苦しみを知らしめることは殆んど不可能だ。拉致被害者の家族の苦しみとは異質であろう。憎むことも諦めることすらも出来ぬ苦しみなのだから。 著者はその不可能を見事にやってのけた。 13年前に失踪した夫の影を求めて、主人公は真鶴をさまよう。妄想なのか、幻聴なのか、あるいは自らの心の声なのか、ワケのわからぬものがとり憑いて絶えず囁く。 あるときは、自分が殺してしまったのかのような妄念が浮かぶ、だが主人公にも読手にも、そうかどうかは最後まで判然としないままだ。解らぬ苦しみを主人公と共有するしかない。スッキリした救いは無い。 高い単行本は買わぬ。文庫化まで待つという日ごろの禁を犯して、また買ってしまった。 「歩いていると、ついてくるものがあった」 という書き出しの一行のせいだった。 また、手に取ったとき感じた装丁の素晴らしさのせいでもあった。 箱型カバーの背表紙のところが筒抜けになっているのが古くて「新しく」感じた。表紙の装画も古くて新しいと感じた。 テーブルクロスの上に並んだ多数のりんごの絵だ。背景のクロスは、空のようで大地のようで落ち着いてはいるが斬新な色使いだ、「新しい」と感じたのはこの色だ。 りんごはなぜか「古めかしい」色だ。例えて言うなら、岸田劉生が麗子のほほを染めたような色使いである。多分、描かれた瞬間から「古めかしい」深さを持った赤だ。 文庫でこの素晴らしさを味わうことは出来ない。 ともかく、買ってしまった。読んでしまった。 やり場のない気持ちを味わってしまった。もはや救いは無い。 ああ、苦しい。 後悔したくなければ、この傑作は読んではならない。
Posted by
ふと我に返ると曇天であった。 厚い雲が幾重にも連なり、日の差す隙間もない、かといって雨が降る黒い雲でなく、風で流される軽い雲でない、心の曇天。 人は去る。 そして残されるものもいる。 近しい人に残されたものの空は、年月をかけて雨から曇へと変わり、うっすら晴れ間が見えてくることもあ...
ふと我に返ると曇天であった。 厚い雲が幾重にも連なり、日の差す隙間もない、かといって雨が降る黒い雲でなく、風で流される軽い雲でない、心の曇天。 人は去る。 そして残されるものもいる。 近しい人に残されたものの空は、年月をかけて雨から曇へと変わり、うっすら晴れ間が見えてくることもある。 でもその後やっぱり雨は降るし、生が終わらない限り、残されるものを繰り返さなくてはならない。
Posted by
良かった。味のある文体、吸い込まれる雰囲気、独特の感性。京の言葉が物書きらしさを出して、また、危うさがいい。「、して」「したあと」って、あまりに素っ気ない言葉に、深さを感じた。逆の艶めいた感じに思えた。私の中では、かなりのおすすめ!!
Posted by
いないのにいる人、いるのにいない人。 どっちも切なかった。 大人になってからの別れはどのくらい応えるんだろ、なんてことを考えた。何歳からが大人なのかはわからないけど。
Posted by