真鶴 の商品レビュー
2010/12/25 真鶴が地名だと知らなかった。反復する夢のような繰り返す情景。ついでに真鶴町のサイトがきれいで、Googleマップ使用が好感。
Posted by
川上さんの作品はいくつかのカテゴリーに分けられると思うけど、これは幻想的な雰囲気がたっぷりの「蛇を踏む」カテゴリーの作品。 川上さんの文体は、短くまとまっているはずなのに、ずーっとひらがなで絶え間なく話しかけられているような、独特のしっとりぞくぞくとした妖しさを感じることがある。...
川上さんの作品はいくつかのカテゴリーに分けられると思うけど、これは幻想的な雰囲気がたっぷりの「蛇を踏む」カテゴリーの作品。 川上さんの文体は、短くまとまっているはずなのに、ずーっとひらがなで絶え間なく話しかけられているような、独特のしっとりぞくぞくとした妖しさを感じることがある。 この作品ではその雰囲気が全開で、夢と現の間がとてもうまく描かれていたと思う。
Posted by
10年前に夫が失踪してしまった京(けい)。 思春期にさしかかった娘と実母と女3人で暮らしている。 妻子ある男性と関係を続けているが、心の中ではいつもいなくなってしまった夫、礼(れい)を求めていた。 夫の日記の中にあった「真鶴」の文字。 京は何かにひかれるように、導かれるよ...
10年前に夫が失踪してしまった京(けい)。 思春期にさしかかった娘と実母と女3人で暮らしている。 妻子ある男性と関係を続けているが、心の中ではいつもいなくなってしまった夫、礼(れい)を求めていた。 夫の日記の中にあった「真鶴」の文字。 京は何かにひかれるように、導かれるようにその海辺の町を訪れる。 結構、抽象的な世界です。こういうの苦手な人はだめかもしれない。 描こうとしている内容も、ことばも、揺れるようににじむようにつづられていく。 慣れるまでやや時間がかかりましたが、この作家は基本的にどこかきちんと筋が通っているところがあるので慣れてしまえば問題なし。 男女の愛、母娘の愛、その不確かさ、定まらなさがとてもリアルです。 好みが分かれるところ。 私は結構好きです。
Posted by
『忘れてしまった。』 本のデザインに惹かれて。 ・・・上のと違うんですけど★果物の絵ですね。。 見えるモノと見えないモノ。 あいまいな空間。 忘れたのか、忘れたかったのか。 短い文で、時にひらがなで、 埋められている文章が美しく流れる。 激しい心情が溢れだす。 人を愛するの...
『忘れてしまった。』 本のデザインに惹かれて。 ・・・上のと違うんですけど★果物の絵ですね。。 見えるモノと見えないモノ。 あいまいな空間。 忘れたのか、忘れたかったのか。 短い文で、時にひらがなで、 埋められている文章が美しく流れる。 激しい心情が溢れだす。 人を愛するのはステキで残酷で、もしかしたら 愛し合うのは想い出を作っていく作業なのかもしれない。 終わりに向かって。 まなづる。 なんだったのだろう。
Posted by
殺した?失踪?? 時々ひやっとさせられるんだけど 捕まえる前に逃げられる感じ。 だめだ、意味分からん;;
Posted by
川上さんの文体はやっぱり落ち着く。 水の中でゆらゆら、たゆたっているような。 ぐらりぐらりと揺れるままに、ラストまで。 ・・でもちょっと冗長かなーこれは。 個人的には、彼女の描く、もっと現実的な話のほうが好き。
Posted by
丁寧で正確でそれでいて理屈くさくない。 いきなり感覚の奥底にうったえかけてくるような文章の積み重ね。 その分残酷さも際立っていた。
Posted by
初川上作品。文章のリズムが独特でちょっととっつきにくかったけれど、時折きれいな表現が出てきて引き付けられた。 失踪した夫、同居する母と娘、妻子ある恋人、それぞれとの距離感が近づいたり離れたり、近くにいても遠かったり、いないのに近かったり、不思議なんだけどわかる感じ。
Posted by
(2006.11.20読了)(2006.11.12購入) 表紙が、今年話題になった画家高島野十郎の「すもも」と言う絵が使われています。明治初期の油絵の先駆者高橋由一の鮭や焼き豆腐と同様の真に迫るすももが描かれています。但し、視点がセザンヌのりんごを描いた静物画と同様、何処から見た...
(2006.11.20読了)(2006.11.12購入) 表紙が、今年話題になった画家高島野十郎の「すもも」と言う絵が使われています。明治初期の油絵の先駆者高橋由一の鮭や焼き豆腐と同様の真に迫るすももが描かれています。但し、視点がセザンヌのりんごを描いた静物画と同様、何処から見たらこんな絵になるのと言う写真ではありえない構図になっています。 主人公は、柳下京(やなぎもとけい)と言う女性。百(もも)という16歳の娘と母親と3人で暮している。夫の礼(れい)は、失踪して行方が分からない。 京には、青茲(せいじ)という妻子のいる恋人?がいる。京は、物書き?で青茲は、編集者。 これって、川上さんの私小説?とか考えてしまう。 川上さんが真正面?から人生について考察した本という雰囲気です。誕生、成長、老い、死、・・・。この世とあの世、肉体がある存在と肉体のない存在?、色んな切り口で、人間について考察しています。 書き出しは、「歩いていると、ついてくるものがあった。」です。最初は、単に誰かが同じ方向に歩いていると言うことだと思って読んでいたのですが、そうではありませんでした。 いわばあの世のものです。あちこちで現われて、気配だけのこともあるし、京に対して明確な形を現したり、会話を交わしたりします。そして、真鶴へ盛んに誘うのです。 夫の礼は、真鶴で死んだのでしょうか?京についてくるあの世のものは、礼と何か関係があったのでしょうか?誘われるまま、あの世のものについていってしまえば、あの世行きです。 ●からだ(17頁) 「頭とからだが別なのかと思っていたが、ほんとうは、からだだけなのだった。頭はからだの部分なのだった。」 ●出産(77頁) 「百が生まれるときは、ものすごく痛かった。痛みというものを、それまで知らなかった。知っていたと思っていたのは、違うものだった。しびれたり、気を失いそうになったり、そのような瞬間のものではなく、ただべったりと痛みがあった。」 「あんなに、激しい怒りのように痛くて、ぶつけどころのないものをからだじゅうに漲らせ、人のかたちをもう保っていられないとまで思った」 「それなのに、生みおえてしまうと、忘れた。きれいさっぱり、忘れた。」 ●川上さんの文体 「帰りたい。思う。」(144頁) 「戻りたくない。つぶやく。」(147頁) ●電車(204頁) 「東京駅までの電車は、ひどく混んでいた。からだを斜めにもってゆかれ、動けぬまま駅から駅まではこばれた。木の枝の一本になったような、あたりをみまわすと、どの人もやはりてんでに枝やらからみついた蔦やらヤドリギやらになって、渾然とまじりあっていた。」 ●虫の卵(204頁) 「これからしなければならない仕事や、たくさんの予定や、会うべき人が、ぎっしりと産みつけられた虫のたまごのように、体の中にたくわえられていたならば、・・・」 川上さんの今まで蓄えたすべての人生経験を作品に投入した渾身の力作と言えるのではないでしょうか!人生のことを考えるのが面倒な方には、お勧めできません。 ☆川上弘美さんの本(既読) 「光ってみえるもの、あれは」川上弘美著、中央公論新社、2003.09.07 「ニシノユキヒコの恋と冒険」川上弘美著、新潮社、2003.11.25 「古道具 中野商店」川上弘美著、新潮社、2005.04.01 「東京日記 卵一個ぶんのお祝い。」川上弘美著・門間則雄絵、平凡社、2005.09.23 「此処彼処」川上弘美著、日本経済新聞社、2005.10.17 「夜の公園」川上弘美著、中央公論新社、2006.04.25 「ざらざら」川上弘美著、マガジンハウス、2006.07.20 「ハヅキさんのこと」川上弘美著、講談社、2006.09.29 著者 川上 弘美 1958年 東京都生まれ お茶の水女子大学理学部卒業 1996年 「蛇を踏む」で第115回芥川賞を受賞 2001年 『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞を受賞 (「BOOK」データベースより)amazon 12年前に夫の礼は失踪した、「真鶴」という言葉を日記に残して。京は、母親、一人娘の百と三人で暮らしを営む。不在の夫に思いをはせつつ新しい恋人と逢瀬を重ねている京は何かに惹かれるように、東京と真鶴の間を往還するのだった。京についてくる目に見えない女は何を伝えようとしているのか。遙かな視線の物語。
Posted by
10/02/10読了。 読んでいると、いつのまにか意識が別にいってしまって全然頭に入ってこなかった。そのせいもあってなんだか理解がしづらい。
Posted by