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真鶴 の商品レビュー

3.6

106件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    33

  3. 3つ

    33

  4. 2つ

    12

  5. 1つ

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2013/11/22

こわいと思った。 ずっと灰色の寒い港町のイメージで読んでいたから、箱根旅行に行く途中に真鶴の駅を通りかかって、あれ、綺麗な所だなと思って少し安心した。 不安定な人から見た世界を体験することもおもしろい。でもやはり少しこわい。

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2013/09/25

手探りであてどなく歩いているような気分になる。 つかみ所がない、美しくて、こわい。 登場人物の名前がきれい。京、百、礼、青慈。 しん、とした気持ちで眠る。

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2013/09/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

つきまとう透明な女に導かれるかのように、東京から電車で真鶴へ。 どうやらそれは、幼い娘と自分を置いて、10年以上前に突然失踪した夫をきちんと思いきる旅だったようだ。 突き抜けて愛していた夫。でもその夫には女がいた。それは目撃した事実だったはずなのに、彼女のなかではあいまいなものとなっていた。 今、彼女はそれを思い出す。 真鶴で、幻想の中に夫と女の目合いを見る。 しかし、彼女は嫌でもなく、驚きもない。平坦でつまらないとさえ思う。 きもちの中には、あらゆるものがあり、この目で見たことのないもの、決して、想像さえしたことのないものさえ、在る、と思う。 想像の中にはなんでも在る。実際は平坦で、いつかみな似たものに収束していく。 娘が子どもから抜け出ていくこの時期に、彼女は彼女なりのけじめをつける必要に迫られていたのだった。 それが、彼女を真鶴へ向かわせ、幻想の中に「現実」を見させたのではないか。 最後に、「今ある現実」と彼女がちゃんと繋がっていくので、ほっとします。 そして、「きもちの中にはなんでも在る」のだから、きもちを大切にしすぎるのもよくないなと思ったのでした。

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2013/05/21

にじむ。 自分の輪郭が溶けた気になって、あなたの輪郭に混じりたくなる。 一緒にいないともちろん淋しいけれど、一緒にいてももっと淋しい。 くっついていてももっと淋しい。 別の人間だとはっきりわかるから。 くっついてもくっついても1つにはなれないから。 どうしようもなく一人だと...

にじむ。 自分の輪郭が溶けた気になって、あなたの輪郭に混じりたくなる。 一緒にいないともちろん淋しいけれど、一緒にいてももっと淋しい。 くっついていてももっと淋しい。 別の人間だとはっきりわかるから。 くっついてもくっついても1つにはなれないから。 どうしようもなく一人だと感じて、すぐ横のあなたがもっと恋しい。

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2013/03/03

この本を読んでから、 母につよい言葉を浴びせてしまったあと、 母は娘にやわらかい部分しか晒せない、 防御することができないんだってことが、 頭をよぎるようになりました。 母と、娘と、 それ以外のもの、 それが世界。

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2013/01/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夫は死にたいと患ったのだろうか。 それとも、生きたいと患ったから失顔したのだろうか。 世界が変わった、というのではない。でもちがう場所に行ってしまった。 時々刻々と、いる場所は変化した。まわって、変わって、どこまで行くの かとおののいて、それからまたここに戻ってきた。けれどまだ、東リきれ ていない。 まだいないもの。いつか.あらわれるかもしれないもの。 過去の中に峯を消すことのできるものは、今あるものばかりだ。今ないも のは、過去の中に消すことはできない。どこに消すこともできない。不在 なのに.いつまでたっても、なくならない。 百に.もっとふれたいのね.あなた。 母がしすかに言った。 でも.人は、そんなにかんたんに、人にふれさせてもらえないのよね。 つづけて、育った。 わけもわからぬままぞくりとして、母の顔を見た。ふつうの顔をしている。 子供でも?血をわけて腹を痛めた子供でも?いそいで開いた。 あら慕ったら、あなたこそ子供になってるわよ.今。母はまた実った。どう しちゃったの。あなただって、昔は、あたしに、おなじだったでしょう。 「どうしたの? 」青磁に開かれた。 わからない。答える。 「なにを.怖がっているのJ こわがっているの、わたし? 「ちがう?」

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2012/12/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

東京と真鶴を女性が往復するだけの小説であるはずなのに何か深いな、というものを感じました。 失踪した夫がいて、恋人がいて、娘がいて。 取り立てて事件が起こるわけではないものの、幽霊のような、亡霊のような存在は確かにある、という状況。 何も解決しているように感じないところに味があるなあ、とは思います。

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2012/11/20

正直序盤はよくわからなくて、苦手かも?と思ってましたが、後半のせつない感じがよかったです。神様のボート?と似た空気を感じたから苦手だったのかも。こっちのほうが救いはないのにどこかすっきりしていて、読後感がよかったです。京、礼、って名前がすき。むむむ、思っているよりこの本のことをわ...

正直序盤はよくわからなくて、苦手かも?と思ってましたが、後半のせつない感じがよかったです。神様のボート?と似た空気を感じたから苦手だったのかも。こっちのほうが救いはないのにどこかすっきりしていて、読後感がよかったです。京、礼、って名前がすき。むむむ、思っているよりこの本のことをわたしは好きかもしれない。

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2012/09/19

「センセイの鞄」を川上さんの作品で一番初めに読んで感動したんですが、この「真鶴」はそれを上回る感動でした! この作品が芥川賞じゃないんだ!と驚いたので、芥川賞作品も読んでみたいと思います。 この装丁、三島由紀夫の「金閣寺」をはじめとしたシリーズに似てますよね♪

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2012/08/06

夫が失踪して10年。残された妻、京の日常、「女」の部分。 残された夫の日記に「真鶴」の文字を見つけ、吸い寄せられるように真鶴に行く京。妻がいる人と交際したり、仕事をしたり、子供の成長を見守りながらも、なぜか夫の足跡をたどってしまう。 つかみどころが無く、着地点が見えない物語で少々...

夫が失踪して10年。残された妻、京の日常、「女」の部分。 残された夫の日記に「真鶴」の文字を見つけ、吸い寄せられるように真鶴に行く京。妻がいる人と交際したり、仕事をしたり、子供の成長を見守りながらも、なぜか夫の足跡をたどってしまう。 つかみどころが無く、着地点が見えない物語で少々不安にさせられるが、読んでいくうちにこの物語の意味がわかった気がする。 それは「さみしさ」だと思う。突然自分を子供を置いていなくなってしまった人に対してのさみしさ、そして怒り。 それを一言に表わさず、あらゆる言葉を尽くしてでも心の中をさらけ出し、本来の物語の役目を果たすとはこういうことかと思った。

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