ようちゃんの夜 の商品レビュー
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思春期の女の子の危ない心性を美しく描き出した作品だと思う。ようちゃんという存在のあぶなっかしさ、それに惹かれていく主人公の揺れる気持ち。二人の間には多分決定的な違いがあって、(ようちゃんは自分を傷つけることができるけれど亜紗子はできない)亜紗子はいつまでもようちゃんにはなれないんだと思う。ラストは意外な終わりかただったけれど、良かったなあと思った。憧れていた女の子に近づきたくても近づけなかった、個人的な思春期の記憶も思い出しながら読みました。
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内容のつかめないタイトルと表紙の素敵さに惹かれました。ヨシエの刺繍はこの物語の世界観によく合ってる。 10代の学生の頃の友達関係は大人よりずっと密接で濃いと思う。「ようちゃん」に対する「アサコ」のここまでの強い憧れもそうだ。大人になるとこういうふうな憧れかたはしないと思う。 だんだん壊れてゆく友人を前に戸惑い、恐怖を覚え、助けたい!と思う気持ちに強く共感した。 ラストにアサコがようちゃんに送った詩。これによってようちゃんの「遮光カーテン」が 閉じられそうな曇った目に再び光がさしたと思う。ようちゃんの心に届く詩が書けたのも、アサコがいつもようちゃんに寄り添っていたから。救うことができてよかった。 大人になった私にはこの頃の友達との距離の近さがうらやましい。離れていては異変にすら気づけない。 同時収録の「あたしをみつけて」も泣いてしまった。終盤の「あたしはママに会いたいの。」という言葉があまりに救いがなくて。ワンフレーズでちぎれそうな気持ちになった。
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普通じゃないのに憧れてしまう、思春期に多くみられる気持ちを作品にしたと思います。逆に普通に憧れてるということもあるんですが、それは作品を最後まで読んで下さいとしか言えないです。 ボリュームがそんなに無いので、1日で読めます。読んでいて、自分も少し学生時代を思い出しました。
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高校生のアサコとようちゃん。 色白でいつもふふふと笑うようちゃんは、アサコにとって憧れで大好きな存在だけど、 ようちゃんの瞳は日に日にレスカーテンがかけられていくように、灰色になっていって発言も不安定なものばかりだった。 隣に座ってアイスを食べたり、河原でのんきに目の前に見えるものについて話したり、ようちゃんの部屋でようちゃんが絵具で描いているようちゃんのあとを一緒に見たり 傍にいれるだけでよかった。 大切で、失いたくないからこそ壊れていくようちゃんを突き放したくなくてでも怖くて不安で、ようちゃんになりたくてなれなくて、好きだった。 特別な存在の友達って、いるよね~。 心配だけど自分には何がしてあげられるのかわからずに 途方に暮れてしまう日々はもどかしいね。 ようちゃんとアサコが大人になっても仲良しでいられるといいね~)^o^(
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不思議で危うい「ようちゃん」と私の物語。ようちゃんはどうなってしまうのか、ドキドキしながら読み進めた。装丁が可愛い。
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高校生の時の友達と私を書いた本じゃないか?と思うほど似ていて驚きました。 なんとなく息苦しくて、どこへも行けない。狭い世界に二人きり。 そんな思春期の想いを上手く描いた作品です。
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ようちゃんとアサコの話。フェンスの外側で足をぶらぶらさせるのって、案外こわくない。ぶらぶらさせてるときより、そっから内側に戻るときがこわい。でも、こわくないと思えるときの精神状態はやばい。
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10代の女の子が、エキセントリックなことに憧れる気持ちがあるのは分かります。しかし不思議不思議の連続。おなかいっぱいです。 あと「ようちゃん」という単語がひっきりなしに出てくるのも苦しい。そんなに固有名詞を繰り返さなくても、表現できそうな気がします。 若いときに読めばよかったの...
10代の女の子が、エキセントリックなことに憧れる気持ちがあるのは分かります。しかし不思議不思議の連続。おなかいっぱいです。 あと「ようちゃん」という単語がひっきりなしに出てくるのも苦しい。そんなに固有名詞を繰り返さなくても、表現できそうな気がします。 若いときに読めばよかったのか。吉本ばななとか江国香織とかは人並みに楽しく読んでいたのですが。
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女性特有の感情だと思う。賛否がわかれそうな本。目の前にあるとても珍しいもの(そして自分には一生手が届かないと本能的に悟っている)を独占したい、さらにはそのものになりたいという強い欲求がふわふわとした文体で描かれているため、ドロドロ感はあまり感じなかった。幼いともとれるけど、子供と...
女性特有の感情だと思う。賛否がわかれそうな本。目の前にあるとても珍しいもの(そして自分には一生手が届かないと本能的に悟っている)を独占したい、さらにはそのものになりたいという強い欲求がふわふわとした文体で描かれているため、ドロドロ感はあまり感じなかった。幼いともとれるけど、子供と大人の中間期って現実と非現実を行ったり来たりできる最後の期間だと思うし、アサコの感情も、ようちゃんの妄想(?)も少し理解できた。今の時代にはアサコやようちゃんみたいな子結構多いと思う。
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霞んでいて視界がはっきりしない、でもそれが心地いい。 そんな印象を持つ文章。 「変わっている」子に憧れて、その「変わっている」がどんどんおかしくなっていく過程が淡々と進んでいくのに胸がきゅうとなりました。 最後に詩がようちゃんに「世界で一番好きな詩人の詩だよ」と言われたことを聞いた場面では私も主人公と同じように嬉しくて泣き出しそうな感覚になりました。 終わり方が素敵。
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