重力ピエロ の商品レビュー
ひとつの「家族」のかたち。 当の春が1番、血縁がある人物を葬ることにこだわっていたんだな。 「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ。」 重力に逆らうピエロのように生きたい。
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結構考えさせられる作品だった。 逆をいうと考えないとこの家族の状況や成り立ちが入ってこない。 春はもちろん、父親、母親、和泉の三人も過去のレイプ事件が大きな節目でありながらの家族としての人生の選択なのだろう。 形としてはレイプ事件を中心にみれば被害者の母親、受け入れた父親、生ま...
結構考えさせられる作品だった。 逆をいうと考えないとこの家族の状況や成り立ちが入ってこない。 春はもちろん、父親、母親、和泉の三人も過去のレイプ事件が大きな節目でありながらの家族としての人生の選択なのだろう。 形としてはレイプ事件を中心にみれば被害者の母親、受け入れた父親、生まれてきた春、兄弟として暮らしていく和泉という構成になる。 ストーリーに沿ったとしても、もっと重い話になりかねない。 またもっと暗くて陰湿な話になってもおかしくない構成だと感じた。 それを愉快にポップに知的にしている父母の存在はとてつもなくデカイと感じた。 母亡き展開の中、父親は和泉と春を我が子として、仲間として、同士として、家族として、一人の人間としてきちんと向き合っている。素晴らしく素敵だと感じた。 抱える苦悩は例え家族だろうと共有できない所も絶対にあるからこそ、父親も和泉も理解し、受け入れ、思いやった。 それは春に対し一人の人間としての尊重だろう。 親兄弟がそういう事ができるのは人間的に大人で、他者に対して秀でた感性と感覚があるからだろうと感じる。 非暴力が強さならば、それは優しさも弱さも色んな感情を含めた行動としての強さなのだろうと感じる。 最後、父親の葬儀の中、兄弟は火葬される父親の煙を見つめながら「イケ!イケ!」と叫んでいる。 この家族。 父母は嬉しいだろう、この二人が息子でよかったと思っているだろう。息子達も父母が自分達に与えてくれた出生からの数々に本当によかったと思っているだろう。 本当に素敵だな、そう感じた。
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「春が二階から落ちてきた」 この最初と最後の文章に、ぶわっと鳥肌が立った。この作品は、家族小説の最高峰なのかもしれない。 父親、母親、泉水、春…彼らはたった一つの出来事に対して、それぞれの苦悩を抱えてる。特に、春の気持ちを考えただけで苦しくなった。どんなに眠れない夜を過ごしたのだ...
「春が二階から落ちてきた」 この最初と最後の文章に、ぶわっと鳥肌が立った。この作品は、家族小説の最高峰なのかもしれない。 父親、母親、泉水、春…彼らはたった一つの出来事に対して、それぞれの苦悩を抱えてる。特に、春の気持ちを考えただけで苦しくなった。どんなに眠れない夜を過ごしたのだろう、そして葛城を殴り殺した後、どんなにスッキリした気持ちになったのだろうと考えてしまった。 だけどそれ以上に、父親はすごい。正解なんてないけれど、この家族は、彼らならではの「正解」という名の幸せを作り出したんだなと思った。 好きな言葉は、2つ。 一つ目。 「楽しそうに生きてれば、地球の重力なんてなくなる」 どんなに重い過去があったとしても、夜中に怒りに任せてゴミを蹴り潰していても、それをなくさせるピエロになればいい。今を生きる。それだけのことなのだ。 二つ目。 「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」 この言葉には、「おまえたちは何があっても俺の息子だ」という父親の強い気持ちが込められているように感じ、彼らの家族の絆が、私の胸にも響いた。
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こんなもん出だしの一文を思いついた時点で勝ち確 この一文だけで文学しちゃってるし、もはや自由律俳句では? ずっとこの本を知りながら前評判の良さでハードルが上がりなかなか手を出さず今更読了。 文学的な言い回しがザ小説って感じで楽しい 村上春樹とかと近い気がする 種明かしパートまで...
こんなもん出だしの一文を思いついた時点で勝ち確 この一文だけで文学しちゃってるし、もはや自由律俳句では? ずっとこの本を知りながら前評判の良さでハードルが上がりなかなか手を出さず今更読了。 文学的な言い回しがザ小説って感じで楽しい 村上春樹とかと近い気がする 種明かしパートまでが長くてじれったくなってしまうとこだけが難点。
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久々の男性作家、はじめての伊坂幸太郎。 いつも女性作家の作品ばかりを読んでいるせいか、 なんか説明くさくて気取ってる感じ、、、 と勝手にアレルギーを感じてぽつぽつ呼んでいたが、いつのまにかこの軽快さがクセになってました。 呼応する構成とか、 引き出しの多さとか、 なんというか...
久々の男性作家、はじめての伊坂幸太郎。 いつも女性作家の作品ばかりを読んでいるせいか、 なんか説明くさくて気取ってる感じ、、、 と勝手にアレルギーを感じてぽつぽつ呼んでいたが、いつのまにかこの軽快さがクセになってました。 呼応する構成とか、 引き出しの多さとか、 なんというかとってもクレバー。 たしかにこの登場人物たちに感情の噴出は似合わない。 はるくんは苦しかったよね。。 彼は強い。 解説が良きでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
血の繋がってる子供を血の繋がった親が育てることによって、その血の特性が現れたりするのだと思うから、春の場合は血と育ての親が違うから特性が現れてない、だから凶悪な行動も繋がらない。 とはいえ、あの行動力はDNAなのかなとも思ってしまう。思考が曲がった方向だったり、それこそ精神状態によっては危ないのかなと思うけど、そんなの誰でも危ないからね。 血の繋がりがあっても結局人は個人だから、などと思いました。 途中でレイプ犯と放火犯を察してしまうのが残念だったけど、長い本の割には退屈が少なかった。
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春が二階から落ちてきた。 有名な書き出しに惹かれて読んでみた。 一番突拍子もないことをしていたのは母で、競馬場のエピソードが良い。 遺伝子配列のこじつけはやりすぎかなとも思うけど春の性格から説明がつく。 ミステリーとしてより家族の物語として読めた。
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重い運命を背負った家族なのに淡々としていて懐が深い。最強の家族に出会った感じ。伊坂作品にお馴染みの方々も楽しませてくれるのは、やはり嬉しいのです。 この始まりと終わりがすごく私好で、始まりに戻る感じ…?わかってくれる方いるかな?
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伊坂幸太郎の好きなところは 作者のバックグラウンドが主に仙台という舞台を通して透けて見えること そのバックグラウンドにすごく強い感情を持ってるんだろうと伺えること そしてだからこそできる別の作品同士の連関
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良かった! 伊坂幸太郎の名作!期待を裏切らない! 会話が軽妙でいいよね。飾らない文体で、だけどちょいちょいでてくる画家とか遺伝子とかの幅広い知識が読み応えを持たせてくれる。 落書きの謎解きも、複雑だけどロジックパズル解いてるような面白さがあってよかった。 ただ伊坂作品でよく見...
良かった! 伊坂幸太郎の名作!期待を裏切らない! 会話が軽妙でいいよね。飾らない文体で、だけどちょいちょいでてくる画家とか遺伝子とかの幅広い知識が読み応えを持たせてくれる。 落書きの謎解きも、複雑だけどロジックパズル解いてるような面白さがあってよかった。 ただ伊坂作品でよく見るどんでん返しとか、華麗な伏線回収を望んでたけど、そこはあまりなかったなぁという印象。 良くも悪くもストレートに面白いエンタメ小説。
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