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さよなら妖精 の商品レビュー

3.6

381件のお客様レビュー

  1. 5つ

    53

  2. 4つ

    143

  3. 3つ

    107

  4. 2つ

    30

  5. 1つ

    7

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2024/07/23

もともとは古典部シリーズを締めくくる作品として執筆されるもレーベルの廃止で日の目をみなかったところを東京創元社から出ることになって人物造形をやり直して出版されたという曰く付きの作品。古典部シリーズがこれで終わらなくてよかったとしみじみ。 本筋の謎である「マーヤの出身地」もそうだし...

もともとは古典部シリーズを締めくくる作品として執筆されるもレーベルの廃止で日の目をみなかったところを東京創元社から出ることになって人物造形をやり直して出版されたという曰く付きの作品。古典部シリーズがこれで終わらなくてよかったとしみじみ。 本筋の謎である「マーヤの出身地」もそうだし、ところどころで差し挟まれる、もちつき、墓参り、命名といった「日常の謎」も謎解きとしては全体的に弱いし、甘さがある。それが本作のテーマといえばそうなのかもしれないが。。。 本筋の謎についてはこれが短編だったらいくらか読めたろうが、長編の主題的な謎にしてはやはり満足できない。米澤穂信ならもっと魅せてくれるはずだという期待の裏返しでもあるのだろうが。

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2024/07/21

読了後、いてもたってもいられずユーゴスラビアについて調べることに。 自分が生まれる前の他国の歴史、自分に関わる世界の外で起こったこと、マーヤの言わんとすること、考えさせられる。

Posted byブクログ

2024/07/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初は、海外から来たお客様と高校生の交流の物語かと。切れ者の女の子と真面目でちょっと鈍い男の子の組み合わせには既視感があるけど、安定感があるし、お話しのテンポもよく読みやすい。特に弓道の試合の章は青春そのもの。試合中の描写は流れるような様子が目に浮かび、とても好きだった。 それが、すこしずつ、物語の空気感が変わっていく。舞台は1991年、ユーゴスラヴィアは確か内戦がひどかったはず…と、少し気になることも。 それでも異文化の交流は面白かったし、主人公がマーヤのおかれている環境やそれでも将来政治家になりたいという強い思いと、自分の環境を比べてしまい焦る気持ちを青春だな、なんて読んでいた。 後半、そんな日常が急に破られ、ユーゴスラヴィアの内戦のニュースが入ってくる。そこからマーヤの送別会までの主人公の気持ちは、青いけれどとても熱く、だけど一高校生の力ではどうしようもないことだけに、いたたまれない気持ちになった。 最後、主人公がじりじりと暑い中、マーヤの残した言葉からマーヤの故郷を推理するところは、こんな断片をつなぎ合わせていくなんて!と頭では面白いと思いつつ、だんだんと、いけない、そっちに行ってはいけないと心がざわつき始める。落ち着かない気持ちで読み進めるとやはり、マーヤは激戦地に帰っていっていた。 そこから後のセンドーとの話はただただ淡々と読むしかなかった。せめて、マーヤの家族も含め残された人たちに救いがありますように。 読み終わった後、決してすっきりした気持ちではないけど、心に思いが残る作品でした。すっきりしなかったこともあり、なんで、「さよなら妖精」なんだろう?と考えました。直接的には、妖精はマーヤだとするとお話そのままの意味になりますが、マーヤの「哲学的意味がありますか?」という言葉を受け少し考えてみることにしました。 いろいろ紆余曲折したのですが、最後の言葉、見えるものも見えないものもマーヤはなくした、主人公には目に見えるものも見えないものもまだ残されているとのに、信じることができないと言っています。今は信じられないから残されたものが分からないけど、信じることができるようになると、妖精と同じで主人公に残されたものが見えてくるということなのかなと。主人公には時間がかかっても、まだ自分にはすべて残されていると気がついて立ち直ってほしいと思います。と、考えました。これから他の方の考察を探すのが楽しみです。 「哲学的意味がありますか?」という、マーヤの言葉はとても好きだったので、常日頃から心にとめておきます。

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2024/06/16

2016年に、東京創元社から刊行されたもの(ボーナストラック付)で再読。 ユーゴスラビアから来たマーヤと過ごした2ヶ月間の記憶。 ミステリーと言うより、切ない青春小説として読んだ。

Posted byブクログ

2024/03/06

「さよなら妖精」(米澤穂信)を読んだ。 
実は「王とサーカス」を読もうとしたのだが、主人公がこの「さよなら妖精」の登場人物であると書いてあったので、息子の本を借りて先に読むことにしたのだ。 
太刀洗万智がいいね。
(「映像研には手を出すな!」の金森さやか的なのが好みなので) 
物...

「さよなら妖精」(米澤穂信)を読んだ。 
実は「王とサーカス」を読もうとしたのだが、主人公がこの「さよなら妖精」の登場人物であると書いてあったので、息子の本を借りて先に読むことにしたのだ。 
太刀洗万智がいいね。
(「映像研には手を出すな!」の金森さやか的なのが好みなので) 
物語は爽やかな読みごごちで進むが、事が起こった後(旧ユーゴスラビアとマーヤに関して)の物語はズッシリと重たい。
昔読んだ「「サラエボのチェリスト」(スティーヴン・ギャロウェイ:佐々木信雄 訳)を思い出したりしつつ。
この世の戦争という悲劇をいかにとやせん。 
『哲学的意味がありますか?』(本文より)というマーヤの口癖も何気に胸に残る。

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2024/01/31

マーヤとの出会いと思い 彼女の祖国で戦火が始まった帰国後に、彼女の消息を心配する主人公は、その思い出と共に、彼女の無事を祈り推理する 平和な日本とマーヤの祖国との違いに、何かをしなければとの思いを持つであろうことも共感する 米澤穂信の初期作のようだか、最近の黒牢城や、可燃物よりも...

マーヤとの出会いと思い 彼女の祖国で戦火が始まった帰国後に、彼女の消息を心配する主人公は、その思い出と共に、彼女の無事を祈り推理する 平和な日本とマーヤの祖国との違いに、何かをしなければとの思いを持つであろうことも共感する 米澤穂信の初期作のようだか、最近の黒牢城や、可燃物よりもずっと好き

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2023/12/24

静かな街に現れた外国から来た少女。仲良くなった普通の高校生たちとの交流とその後のお話。途中からそんな感じかなと思っていた通りに話が進んでいった。

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2023/11/06

 『王とサーカス』『真実までの10メートル』の主人公 太刀洗万智(たちあらいまち)が高校生の時の話で、彼女の友達が主人公。  ある日彼らが住む街に現れたユーゴスラビアの女の子。彼女との交流を通してユーゴスラビアや世界について学んでいきます。  こんな高校生いるかな?って気にな...

 『王とサーカス』『真実までの10メートル』の主人公 太刀洗万智(たちあらいまち)が高校生の時の話で、彼女の友達が主人公。  ある日彼らが住む街に現れたユーゴスラビアの女の子。彼女との交流を通してユーゴスラビアや世界について学んでいきます。  こんな高校生いるかな?って気になったし、なかなか入り込めなかったけど、こんな世界情勢の今だからこそ読んで良かった。    ユーゴスラビアの女の子は日本の高校生に比べると精神的に大人で、大人にならざるを得なかったんだろうな、それに比べていつまでも子どもらしくいられるって幸せな事なんだなとありがたく思いました。

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2023/10/30

昨今の世界情勢を重ねてしまう 違う世界から見る景色と 理解の放棄、知ろうとする気持ち どうしようもない大きなうねり 変わらず続くと思っている日常の不安定さと 傍観者でしかない自分の小ささに気付かされる 最後の謎解きが一層苦しい

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2023/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

気軽に読み始めて後悔した。。 可愛くて無邪気なマーヤと愉快な仲間たちの青春かと思いきや 後半からの不穏な空気、、そして最後のどうしようもない悲しみ。 ましてやこんな世界情勢のときに読んでしまったのを後悔しつつも、、、 本としてはめっっちゃ良かったですー(´;ω;`) 儚い羊たちの祝宴とか、満願とか そっちを先に読んでいるから 米澤先生の物語で泣くと思わんかった やっぱ作家先生の引き出しはすごいや、、

Posted byブクログ