殺人の門 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書を読み終えて、昔読んだ小説をいくつか思い出した。 ひとつは、20年くらい前に読んだシドニー・シェルダンの『ゲームの達人』だった。 人の心理を巧みに操る達人が出てくる点が同じだったからだ。 ただ決定的に違う点はその達人技の使い道だ。 本書の達人は、技を妬み嫉みを晴らすために使った。一方、シドニー・シェルダンの描いた達人は、一族の繁栄、存続のためにその能力を発揮した。 光と影。正と負。アメリカではハッピーエンドが好まれると聞く。日本はそうとも限らない。だから、本書はこういう展開の話なのだろうか。アメリカ人が本書を読んだとしたらどんな感想を抱くのだろう。そんなことを思いながら読んだ。 この物語にはジメッとした不快さがある。ただ、見方を変えれば文学的とも思える。『白夜行』にも通じる独特の陰湿さは、東野さんという達人の達人たる所以のひとつである。人間の持つ業(ゴウ)だとか性(サガ)だとか、よくはわからないものの、人間という動物が元来持っている本能とか感情について考えさせずにおかない力(チカラ)を感じる。その力が負のエネルギーになったとしたら、どんなことが起こるのか。そのひとつの例がこの物語ともいえる。この部分には、夏目漱石の『こころ』が脳裏を過ぎった。人間は、どうすれば自分の心を理想に近づけるべくコントロールできるのだろうか。できないからこその人間なのか。 好きな映画にブルース・ウィリス主演の「キッド」がある。 主人公がタイムスリップして幼いころの自分に会う。しかし、子供の自分に非難されてしまう。「こんな大人になりたくない!」と。
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この本から東野圭吾読み始めました。 分厚っ!って思ったけど読み始めたら止まらない。 殺人者側の心理が伝わってきて面白かったです。
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後味が悪いけど、殺人に至るまでの状況や心境が語られていて興味深かった。最後までどうなるか気になって一気に読んでしまった。
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(「BOOK」データベースより) 「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために、私に欠けている...
(「BOOK」データベースより) 「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なのだろうか?人が人を殺すという行為は如何なることか。
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これについてはもう大激論を繰り広げ済みなので、一週廻って愛しい思い出の本です。 「オレ違う論」が悪く作用してしまった結果というか、鵜呑みにしてたら頭の中ハテナだらけになって溺れました。でもこういう友情の形もあるのかな、これはこれで成立しているのかもね、って思えてきたところでまさ...
これについてはもう大激論を繰り広げ済みなので、一週廻って愛しい思い出の本です。 「オレ違う論」が悪く作用してしまった結果というか、鵜呑みにしてたら頭の中ハテナだらけになって溺れました。でもこういう友情の形もあるのかな、これはこれで成立しているのかもね、って思えてきたところでまさかのラスト。なんて美しくないのかしら、とがっかり。 まず倉持の事が全然理解できないんだもん。それは登場人物が皆彼の事を理解していないからなんだろうけど、彼がもうちょっと愛着の持てる人間だったら違った気がする。まあだからこそ主人公の恐怖と憎悪の対象になったんだろうけどさ。只、彼の言う所の友情論は真理かなって思った。絶対評価より相対評価の方が分かりやすく安心できるもんね。
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やっぱりすごいよ。 圭吾はすごい。 けど、、、 な〜〜〜んか、殺人までの過程をあんなに長く書いてるのに 最後はあっけない。
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タイトルからして重いです。 重松清先生の「ナイフ」から続けて読みました。 いじめのくだりなどはかぶる内容が多くて恐ろしかったです。 悪魔のような人間(倉持)に魅入られた者の懊悩の物語です。 堕落への道だと分かっていても踏み込み続ける主人公にやきもきしました。 人間の弱...
タイトルからして重いです。 重松清先生の「ナイフ」から続けて読みました。 いじめのくだりなどはかぶる内容が多くて恐ろしかったです。 悪魔のような人間(倉持)に魅入られた者の懊悩の物語です。 堕落への道だと分かっていても踏み込み続ける主人公にやきもきしました。 人間の弱さというのは愚かさであり、時には悪にもなりうるのだと思います。 堕ちてゆくひとびとを俯瞰することにより、読みながら倉持への憎悪を深めました。 殺人の門を潜るか否かの主人公の葛藤には心が重なります。 読者の精神に仕掛ける作者の罠に陥り、一息に読了。 楽しい話ではありませんが、インパクトのある作品だと思います。
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悪意の見え隠れするキャラクターである倉持修が主人公に影響を与えていく様は正に『白夜行』『幻夜』と通じるものがある. ただ,ヒール役とも言える倉持が『白夜行』の雪穂や『幻夜』の深雪よりはずっと人間臭く,不完全であるように感じる. 主人公も,他の二作に比べて思慮に欠けていて,読者...
悪意の見え隠れするキャラクターである倉持修が主人公に影響を与えていく様は正に『白夜行』『幻夜』と通じるものがある. ただ,ヒール役とも言える倉持が『白夜行』の雪穂や『幻夜』の深雪よりはずっと人間臭く,不完全であるように感じる. 主人公も,他の二作に比べて思慮に欠けていて,読者を苛立たせる.
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兎角、東野作品の重たくドロドロしつつ奥の深い展開が詰まった作品。正直辛いです、が停められません。この辛い展開を最後まで読ませてしまうところは流石としか言いようが無い。
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殺したいくらいに嫌いで憎い相手に付きまとわれ、人生が台無しになっていく話。 最後についに相手を殺そうして・・・どうなったんだっけ?
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