空白の叫び(上) の商品レビュー
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フツーの男子校生工藤は女性教師を。金持ちの葛城は幼馴染みを。母親に捨てられた神原は母を。3人の中学生が身近な人物を殺害し、少年院で出会う。共通しているのは、殺人を犯したことを少しも後悔していないということ。卒院後も社会復帰できなかった3人は銀行強盗を実行。しかしー。敢えて大人からの思考は挟まず、あくまで3人の視点で描き続ける。そうすることで、大人からは不可解でも彼らなりの理屈と、言ってもわかってもらえないだろうという諦めが見えてくる。最後、葛城と神原、殺した英生との関係が明らかに。ミステリ的要素もあり、出来すぎ感はあるが面白い。
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ひりひり感が好き。 少年の気持ちがわかる自分がこわい。 人を殺す人 殺さない人 どこで分かれるのか考えさせられる。 結論は出ないが。
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ふつうの少年がなぜ人を殺すのか。世の中への違和感を抱え、彼らは何を思い、どんな行動に出るのか――やがて殺人者になる三人の心の軌跡をたどった戦慄のクライム・ノベル。 何かを鬱陶しく思う。 その何かが人であり、それを排除したいと思う。 そこまでならきっとセーフで、排除してしまったら...
ふつうの少年がなぜ人を殺すのか。世の中への違和感を抱え、彼らは何を思い、どんな行動に出るのか――やがて殺人者になる三人の心の軌跡をたどった戦慄のクライム・ノベル。 何かを鬱陶しく思う。 その何かが人であり、それを排除したいと思う。 そこまでならきっとセーフで、排除してしまったらもう既にアウトなんだ。
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テーマソングはTHE BACK HORNの「扉」。読後聴くと心臓痛い。「告白(湊かなえ)」で読後感が最悪って言ってる方には是非読んでほしい。最悪、というより、やりきれなさと悲しさが胸に溜まる。少なくとも3日は消えないと思う。「永遠の仔」を読んだ後以来の虚無感。 以下下巻のネタバレもあり。 久藤美也、葛城拓馬、神原尚彦。1人1人のキャラクターがしっかりしていて、各自の心の動きや自分なりの定義なども不自然ではなく物語に(感情移入ということではなく客観的にだけども)入り込めた。胎動→接触の流れも良かったし、そこからの発動もボリューム満点だった。 久藤は完全なる悪党とは言えない。でも瘴気に取り込まれないように適度に心を開くべきだった。水嶋も、下巻で良い味を出したと思う。 葛城みたいな人が周りにいたら、その徹底された人格を少し崩すぐらいに近づいてみたい、なんて思ったけど実際いたら怯んじゃうのかな。途中で壊れたのは当然だったのかな。 全編を読み終えた後、神原……尚くんの部分だけ「ぼく」という一人称だったのはこういうわけだったのかと思った。この子が一番変化があって、それも悪い方へ悪い方へ、なのに本人はいたって無邪気。その崩壊の過程は一人称の方がわかりやすいし気味が悪い。 上下巻を読み終わって。 3人は殺人犯だし、自分達の罪を心から"反省"はしていない。それでも彼らに少しでも良い結末を、と思っていたら……そりゃそうだよねと言う感じ。尚くんが死んだ時は「やっぱり」と目をギュッとつぶってしまった。久藤もこれから、幸せにはならなくていいから、少なくともひとりの人間として生きていってほしい。葛城の、実は英之と、というのは予想がついていたから衝撃は少なかった。彼はきっと生きていけるんだろうな。瘴気のことばかり考えることは少なくなるんだろう。 ところで本当の終わりに佳津音が出てきたのは、読んでいる時はそうでもないが、後々、秀逸だったなあと思えてきた。最後の台詞にいたっては「よく読者の気持ちをわかっていますねー」と皮肉をこめて言いたくなるぐらい。 少年をテーマにしているにしても、結局は大人の行動がその影、瘴気を生みだし育ててしまったも同然。3人のことを責められず、寧ろ辛い目に遭ったら胸が痛くなったのは、3人も被害者だからだろうか。 「永遠の仔」と同じで、いつか絶対再読したいけれど、今すぐに読み返す気力がない。しばらくはこの虚無のような余韻が残っているだろうし。いやあ、すごい作品だった。
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久藤、葛城、神原は中学生ながら人を殺めて少年院にはいることに、そして3にんはそれぞれ嫌がらせに遭うこととなるが
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三人の中学生の殺人者たち。それぞれがそれぞれの理由で殺人を犯してしまうんだけど、原因が全て被害者のせいになっている。 そのため、自分の犯した犯罪を悪いとは思わず、少年院でも全く反省をしない。 実際にあり得そうな話で、怖い・・・。 下巻はまだ未読だけど、少しでも反省の色が見...
三人の中学生の殺人者たち。それぞれがそれぞれの理由で殺人を犯してしまうんだけど、原因が全て被害者のせいになっている。 そのため、自分の犯した犯罪を悪いとは思わず、少年院でも全く反省をしない。 実際にあり得そうな話で、怖い・・・。 下巻はまだ未読だけど、少しでも反省の色が見えてくれればいいんだけど。
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【「普通の中学生」がなぜ殺人者になったのか 久藤美也は自分の容姿や頭脳が凡庸なことを嫌悪している。頭脳は明晰、経済的にも容姿にも恵まれている葛城拓馬だが、決して奢ることもなく常に冷静で淡々としている。神原尚彦は両親との縁が薄く、自分の境遇を不公平と感じている。〈上巻〉第一部では...
【「普通の中学生」がなぜ殺人者になったのか 久藤美也は自分の容姿や頭脳が凡庸なことを嫌悪している。頭脳は明晰、経済的にも容姿にも恵まれている葛城拓馬だが、決して奢ることもなく常に冷静で淡々としている。神原尚彦は両親との縁が薄く、自分の境遇を不公平と感じている。〈上巻〉第一部ではこの3人の中学生が殺人者になるまでを、その内面を克明にたどりながら描く。その3人が同じ少年院に収容されて出会うのが第二部。過酷で陰湿な仕打ちで心が壊されていく中、3人の間には不思議な連帯感が生まれる。〈下巻〉第三部。少年院を退院した彼らはそれぞれ自分の生活を取り戻そうとするが、周囲の目は冷たく、徐々に行き場をなくしていく。そして、再び3人が出会う日がくる。 少年犯罪を少年の視点から描いた、新機軸のクライムノベル。】
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“湊かなえmeets野島信司”のような。中学生が犯した殺人。淡々とした心象描写。なかなかです。長いけど、あまり苦にならず読めます。 思春期と犯罪がテーマなのでか、露骨な性描写がいたるところに垣間見えて、苦手な人にはダメな小説かなぁ。僕はOKだけど。 ぜひに、こんな骨太な内容をドラ...
“湊かなえmeets野島信司”のような。中学生が犯した殺人。淡々とした心象描写。なかなかです。長いけど、あまり苦にならず読めます。 思春期と犯罪がテーマなのでか、露骨な性描写がいたるところに垣間見えて、苦手な人にはダメな小説かなぁ。僕はOKだけど。 ぜひに、こんな骨太な内容をドラマ化してもらいたい!でもキャスティングが難しいだろうなぁ。ジャニとか使うんだろうなぁ。全員ほぼ無名の劇団所属の子とかで作って欲しい。
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上巻は3人の少年たちが殺人を犯すまでの過程とその後の少年院での生活が書かれている。「日常の崩壊」は殺人を犯したときだけではなく、何度も訪れる。どの人物に感情移入してもやりきれない気持ちになってしんどい。
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