照柿(上) の商品レビュー
猛暑の容赦ない日差しが、行間からこちらを照らしてくるようなリアリズム。めまいがするほどの「熱さ」があります。あえて、挑戦するように夏に読むのも乙かとおもいます。 「夏の一冊教えてください!」-ブクログ談話室 http://booklog.jp/q/156
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雄一郎と達夫、同じ色を目に捉え、嫉妬や執念にかられていても何もかも違う二人。 この二人の心模様を追いかけていくのは正直辛い。でもおもしろい。
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高村薫さんの照柿 今回高村さんの作品を読むのは初めてでした。 実は、最初何ページか読んでなかなか作品に没頭できず、無理して何十ページか読み進んでから一度断念したんです。 読む覚悟がないと全然内容が頭に入らず、読んでいて辛いだけでした。 しかし、半分ほど読み進めて行くと知ら...
高村薫さんの照柿 今回高村さんの作品を読むのは初めてでした。 実は、最初何ページか読んでなかなか作品に没頭できず、無理して何十ページか読み進んでから一度断念したんです。 読む覚悟がないと全然内容が頭に入らず、読んでいて辛いだけでした。 しかし、半分ほど読み進めて行くと知らぬ間に作品に没頭していて、だだ~っと読めてしまいました。 作品内容なんですが、熱処理工場で働く主人公と、同級生の警察官、そして主人公の浮気相手三人によるドロドロの恋愛小説・・・恋愛小説なんですが、殺人があるから推理小説なのか・・・ ただ、主人公が仕事、家族、友人、不倫相手、知り合い、接している全ての人達から追い込まれて頭がおかしくなっていく様が本当に怖かったです。 働いている熱処理所の照柿のような熟れた熱さと、過酷な労働は読んでいるだけで辛い気持ちになりました。 読んでいて物語の背景が頭の中にくっきりと描かれるような鮮明な表現が多かったので、映画を観ている様な錯覚に陥った事は感動でした。 今は壮大な物語を読み終えたような感覚です。 次にマークスの山も控えているので読むのが楽しみだなぁ。 今回の作品で高村さんに興味津々。
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高村薫さんの作品の中でも特に好きな一冊。 高炉の火、照り柿の色、主人公の燃え盛る心の動きが重なる様子が すごく心に焼きついた。 悲しく狂っていく登場人物たちが愛おしい。
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・・・高村薫さんって、こんな感じだったっけ? 重厚だけれどテンポの良い、五條瑛さんやとにかく一切修飾語のない吉村修一とか読んでいたせいか、す、す、進みませんページががが! この上巻でも、「工場が衛生的でなく暑く、苛酷な労働条件です」ということを表現するのに何十ページと使ってあ...
・・・高村薫さんって、こんな感じだったっけ? 重厚だけれどテンポの良い、五條瑛さんやとにかく一切修飾語のない吉村修一とか読んでいたせいか、す、す、進みませんページががが! この上巻でも、「工場が衛生的でなく暑く、苛酷な労働条件です」ということを表現するのに何十ページと使ってある。うーん、確かに主人公の幼なじみとして、しかも極道という過去を捨ててこれだけの苛酷な場所でずっと働いていた・・という虚無感や焦りを表現するのに必要なのかもしれないが・・ 昔、世界名作全集で、延々と家族構成の説明だけを読まされた某・有名な名作を思い出す。 よく、コンサルのレポートは一枚いくら、だとか何時間でいくら、だとか、完全に量で金額が決まる分野もあることは知っているが、もしかして小説も?長ければ長いほどありがたがられるの?と、少しやさぐれてきたのも本当だ。 熱くて暑い描写がえんえんと続くので、読んでいるのは真冬なのだけど、なんだか息苦しくなってきた。顔をぐいぐい、夏のむわっとした熱いコンクリートにでも押し付けられているようだ。 読んでいるのが冬で、逆によかった。。 でも、そろそろ、展開急いで!正直しんどいです、読むの。 この上巻を説明して、と、誰かに言われたら、あたしは迷わずこう言う。 「主人公の刑事が偶然電車事故に巻き込まれて、事故の被害者を愛人にしていたオトコの奥さんに一目惚れして偏執狂的にストーカー紛いのことをおっぱじめる。たまたまその奥さんと浮気しているのが、劣悪な工場で働いている芸術家の男で、逃避行しようとしていたらばったり刑事と遭遇。そうしたらこの二人はたまたま幼なじみだったらしい。んで今、お互い奥さんを間に挟んで勝手に相手を陥れたくてモウソウシテルところ。そこに刑事が追っている事件がちらほら、間に入ってきてる感じ」・・ちゃんちゃん。
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照柿・・・そんな色があることを知らなかった。 鳥に啄まれることもなく、落ちる寸前まで枝にしがみつく熟れた柿の色。 そして、一度落ちれば原型をとどめることなく、ぐちゃぐちゃに崩れて熟れた中身を晒してしまう柿。 真っ白いスニーカーに象徴された合田が見せる照柿色の感情。 全編が暗く...
照柿・・・そんな色があることを知らなかった。 鳥に啄まれることもなく、落ちる寸前まで枝にしがみつく熟れた柿の色。 そして、一度落ちれば原型をとどめることなく、ぐちゃぐちゃに崩れて熟れた中身を晒してしまう柿。 真っ白いスニーカーに象徴された合田が見せる照柿色の感情。 全編が暗く重い、じっとりとした空気の中で進んでいく。 照柿色は沈んでいく太陽なのか、それとも昇ろうとする太陽なのか。
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発売時に買ってあった文庫本。「照柿」ってこんなに読みやすかったっけ?合田はこんなに暴力的で若かったっけ?といろいろ懐かしく思いながら読んでます。達夫の父親も画家だったなんて、すっかり忘れてた。下巻を読んだら、単行本も再読しようっと。
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冒頭の熱処理棟の描写が圧倒的な質量と熱を帯びて、襲い掛かる。 それこそ読む者すらも狂わせていくような「熱」が。 合田の変調振りが読み手の想像を超えており、 上巻の終盤部分での暴走には唖然。 このまま堕ちて行くのか、合田?
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合田シリーズ第2弾。 「マークスの山」に負けず劣らず、どっぷりと泥沼の中に ひきずり落とされるような気持ちで読み進む。 幼なじみの犯罪と、嫉妬がテーマ。 ドロドロすぎてなかなか読みすすまなかった。
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