決定版 日本のいちばん長い日 の商品レビュー
ポツダム宣言の受諾直前から玉音放送までを1時間ごと一章ずつつづられていく。「勝利か死か」で教育されてきた国民、青年将校を納得させなくてはならない、国家の大事業、戦争終結の困難さがよく書かれていた。天皇の毅然とした態度、阿南陸曹には頭が下がる。この辺の出来事は教育現場ではすっとばさ...
ポツダム宣言の受諾直前から玉音放送までを1時間ごと一章ずつつづられていく。「勝利か死か」で教育されてきた国民、青年将校を納得させなくてはならない、国家の大事業、戦争終結の困難さがよく書かれていた。天皇の毅然とした態度、阿南陸曹には頭が下がる。この辺の出来事は教育現場ではすっとばされているせいかよく知らないことがはずかしい。日本人として知っておかなくてはならない。
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今年の夏に再度映画化されると言うことで先に原作を読んでおこうと思った作品。ポツダム宣言から玉音放送まで、8月15日を中心に(プロローグだけがその前の話)24時間のさまざまなドラマを描いたものです。日本初の敗戦と言う形での終戦をどう行うのか、それぞれの立場で考えがあったのだろうけど...
今年の夏に再度映画化されると言うことで先に原作を読んでおこうと思った作品。ポツダム宣言から玉音放送まで、8月15日を中心に(プロローグだけがその前の話)24時間のさまざまなドラマを描いたものです。日本初の敗戦と言う形での終戦をどう行うのか、それぞれの立場で考えがあったのだろうけど、たしかに着地点を考えるのは難しいものですね。クーデターを起こしてでも戦争継続を狙う青年将校たち、「生きて虜囚の辱めを受けず」と言う戦陣訓もあったのかもしれないけど、この価値観だけは(嫌いじゃないけど(笑))70年経った今となっては共感できずに歴史として読んでいました。
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1945年8月14日から翌15日の玉音放送までの1日を時系列で並列的に活写。現代からの断罪がないのがいい。和平を望む天皇と重臣、内閣、海軍。本土決戦の後に一撃講和を目論む陸軍。その代表として苦悩する陸軍大臣阿南惟幾。ついに辞職せず陸軍を降伏に導く為に落とし所を探り、ポツダム宣言受...
1945年8月14日から翌15日の玉音放送までの1日を時系列で並列的に活写。現代からの断罪がないのがいい。和平を望む天皇と重臣、内閣、海軍。本土決戦の後に一撃講和を目論む陸軍。その代表として苦悩する陸軍大臣阿南惟幾。ついに辞職せず陸軍を降伏に導く為に落とし所を探り、ポツダム宣言受諾に反対する青年将校をたしなめ、日本を敗戦に導いた陸軍を代表して自決する。彼無くしてあれ程スムーズな武装解除はなかった。首相鈴木貫太郎の政治力なき政治力。人間力がぶれずに聖断を2度使う荒技で一気に降伏に持っていった。時間がかかれば反対派のクーデターの準備も組織だったものになったから、本当にギリギリの勝負だった。宮城占拠した青年将校と利用された近衛兵。殺された森師団長。そしてポツダム宣言受諾の為なら何でもやると言った天皇の決意。常にリンカーンとダーウィンの彫像を飾っていた科学と理性の時代の天皇にとって、精神論や観念論で戦争続行を叫ぶ青年将校とは永遠に相容れないだろう。15日以降も各地で何件も反対派の蜂起がある。それにしても玉音放送の威力、天皇の権威の威力がなければ、ドイツのように首都陥落まで戦争が続いた可能性がある。もしくは原爆があと何発使われたか。近代国家となった日本がキリスト教の代わりに国家の精神的支柱にした国家神道の極地に国体護持と神州不滅を叫ぶ青年将校の姿がある。皮肉なのはその御神体ともいうべき天皇が、あまり国家神道教を信じていないという事実。憲法を遵守する立憲君主制を大事にする天皇と統帥権を盾に内閣をないがしろにする軍部。この矛盾は国家のプランニング、つまり憲法の矛盾であり、民衆革命ではなく軍事革命だった明治維新の負の遺産だと思う。いずれは破綻した。
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太平洋戦争末期、ポツダム宣言を受け入れ終戦に向かおうとする内閣と終戦を受け入れられず徹底抗戦を叫ぶ陸軍将校たちの攻防を記したドキュメント。 8月15日の終戦までにこんな激しい攻防があったのかと驚きを感じた。原爆を投下され敗色濃厚にもかかわらず徹底抗戦を唱える陸軍将校たちの考えが今...
太平洋戦争末期、ポツダム宣言を受け入れ終戦に向かおうとする内閣と終戦を受け入れられず徹底抗戦を叫ぶ陸軍将校たちの攻防を記したドキュメント。 8月15日の終戦までにこんな激しい攻防があったのかと驚きを感じた。原爆を投下され敗色濃厚にもかかわらず徹底抗戦を唱える陸軍将校たちの考えが今思うと恐ろしく感じた。
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8月15日をめぐる24時間のノンフィクション。作者の半藤一利氏は嘗てこの作品を書いた際、大宅壮一編として刊行した。30年たって今、自分の名で再刊行となりどんな気持ちなのだろう?嘗ても東宝で映画化されたが、今年再び映画化されるそうだ。楽しみです。
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タイトルにもなっている『日本のいちばん長い日』とは、太平洋戦争終戦の日、1945年8月15日の正午に玉音放送が流されるまでの24時間のことを指している。日本史上初めての敗北の日。まさか何事もなく、玉音放送が行われたわけではなかっただろうが、今まであの日何が起きていたのか特段何も気...
タイトルにもなっている『日本のいちばん長い日』とは、太平洋戦争終戦の日、1945年8月15日の正午に玉音放送が流されるまでの24時間のことを指している。日本史上初めての敗北の日。まさか何事もなく、玉音放送が行われたわけではなかっただろうが、今まであの日何が起きていたのか特段何も気にしていなかった。14日深夜から玉音放送を阻止すべくクーデターが発生していたというのも本当に初耳だった。自分の無知さに少し反省した。 本書では、まさしくそのまま米ドラマ「24」と同じことができそうなくらい、スリリングな出来事の流れが1時間ごとに分けられた各章に刻まれていく。クーデターの話だけでなく、玉音放送の文案の決定や天皇による録音など、この1日にはいくつも重要な局面があり、重要な決定や行動がなされている。著者は、さまざまな文献に当たるとともに、存命中の当事者へのインタビューを重ねることにより、歴史の中の真実らしきものを紡ぎだす。登場する人物の心の揺れまでが、その流麗な文章によって綴られており、鈴木首相も阿南陸相も、そして畑中中佐も、この本の中で再び生命を与えられたかのように動き出している。 現代から顧みると、違和感とともにやはりそうだったのかとの感想を持たざるをえないのが、登場人物が共有する国体護持や天皇陛下の地位保全に対する異常なまでのこだわりと、その強いこだわりがほぼ全ての人に疑問なく全くの当然のことと扱われていたことである。多くの異なる立場の人たちの間でもそこだけは全くぶれない。著者もそのことに疑問を呈することもない。だからこそ天皇制を維持することで、戦後無用な混乱が避けれられたのだとも言えるのかもしれない。 天皇陛下への忠誠は、悉く真摯であり、美しくもある。筆者もそのようなものとして描いている。一方、その絶対的な帰依は、ある種の国民を挙げての狂信とも言えなくもない。そこにおいては、それは善悪を超えたものとしてあり、そして歴史の中で意図しない役割を持つこととなったと言えるのではないのだろうか。 古い話を書いたやや古い本なのだが、それを全く感じさせない。良質のドラマのような緊張感がある。事態がここに至るまでの悲劇のことを考えると不謹慎であることを承知で言うと、とにかく面白い。おすすめ。
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確か数年前、本作がテレビでドキュメントドラマとして放映され、玉音放送の原盤の争奪や一部の塀の反乱があったことは、覚えていた。 今回、原作を読み、フィクションよりもサスペンスフルで緊迫感があり、ノンフィクション以上の歴史の面白さ(歴史に対して不遜な言い方だが)を味わった。 歴史の不...
確か数年前、本作がテレビでドキュメントドラマとして放映され、玉音放送の原盤の争奪や一部の塀の反乱があったことは、覚えていた。 今回、原作を読み、フィクションよりもサスペンスフルで緊迫感があり、ノンフィクション以上の歴史の面白さ(歴史に対して不遜な言い方だが)を味わった。 歴史の不思議、いくつかの偶然の重なりがもたらす歴史の必然ともいうものに、思いを新たにした。 もし、玉音盤を他の誰かが保管していたら、… 隠し場所が明らかになったら、… そしてそれが叛乱兵に奪われていたら、… 8・15は無かったかもしれないし、戦後歴史は違った様相を見せていたかもしれない。 スピードを増す列車が急停止すると、死傷者が出てしまう。天皇および内閣が決断した戦争終結をめぐり、玉音放送の前ばかりでなく、15日以降もこれほど軍人の叛乱があったとは・・・ 片意地を張った正義(先の大戦では国体護持という言葉)が、どれだけの災禍をもたらすかということを再確認した一書である。 そして、歴史の転換点には、将来を見通す洞察力と先見性、ゆるぎない信念を持った指導者が必要であることを再認識した。 天皇陛下の決断、鈴木首相の老獪さ、阿南陸相の潔さ、米内海将の聡明さ、彼らの存在なしに8・15を語ることはできない。しかしながら、歴史を作るには、彼らを取り巻く幾多の人々(本書の場合で言えば、宮内庁の人々、放送局の局員たち、そして組織に則った軍人)のたゆまない努力、献身、支持なしにはあり得ないのは勿論である。 今後の日本、さらに世界の来し方行く末に思いを致す人ならば、本書は必読の一冊と言えようか。 今夏に映画化も予定されているようで、どのような映画になるか、楽しみとしよう。
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「降伏に反対した軍によるクーデター未遂があった」というぼんやりとした知識はありましたが、陸軍の部隊が実際に宮城や放送局を占拠し、昭和天皇や玉音放送の録音盤が危なかったなんて知りませんでした。だいたい、玉音放送が録音だったなんてことも初めて知る始末…。 また、8月15日の未明に...
「降伏に反対した軍によるクーデター未遂があった」というぼんやりとした知識はありましたが、陸軍の部隊が実際に宮城や放送局を占拠し、昭和天皇や玉音放送の録音盤が危なかったなんて知りませんでした。だいたい、玉音放送が録音だったなんてことも初めて知る始末…。 また、8月15日の未明に首相の鈴木貫太郎の私邸を陸軍の部隊が襲った事件(首相は危うく難を逃れたが家は焼き払われた)。場所が「丸山町」というから調べてみたら、実家の目と鼻の先でした。自分の生まれ育った場所が昭和史の舞台だったとは。 も8月14日から15日にかけてこんな色んなことが起きていたとは。わずかなタイミングのずれで日本の歴史は大きく変わっていたのかも。いやはや、知らないことが多すぎます。
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今まで自分は何を学んできたのか反省させられた作品。国体護持とは何だったのか。この人たちを突き動かしていたのは何だったのか。重いの一言しかでなく、そんな一言で片づけてもいけないと考えさせられ。読んでおくべき1冊だと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた…。 しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。 八月十五日をめぐる二十四時間を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション。 [ 目次 ] 十四日正午‐午後一時―“わが屍を越えてゆけ”阿南陸相はいった 午後一時‐二時―“録音放送にきまった”下村総裁はいった 午後二時‐三時―“軍は自分が責任をもってまとめる”米内海相はいった 午後三時‐四時―“永田鉄山の二の舞いだぞ”田中軍司令官はいった 午後四時‐五時―“どうせ明日は死ぬ身だ”井田中佐はいった 午後五時‐六時―“近衛師団に不穏の計画があるが”近衛公爵はいった 午後六時‐七時―“時が時だから自重せねばいかん”蓮沼武官長はいった 午後七時‐八時―“軍の決定になんら裏はない”荒尾軍事課長はいった 午後八時‐九時―“小官は断固抗戦を継続する”小園司令はいった 午後九時‐十時―“師団命令を書いてくれ”芳賀連隊長はいった 午後十時‐十一時―“斬る覚悟でなければ成功しない”畑中少佐はいった 午後十一時‐十二時―“とにかく無事にすべては終った”東郷外相はいった 十五日零時‐午前一時―“それでも貴様たちは男か”佐々木大尉はいった [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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