1,800円以上の注文で送料無料

イラクサ の商品レビュー

3.6

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    11

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/09/18

図書館で借りて読んでいるものの期限が来て返さないといけないので読了していないがメモとして。 300ページかけて書く人生を30ページで書いている、と知人から聞いて読み始めた。最初は文章に慣れずわからなかったけど読み進めるにつれてじわじわと水面下の深さを見られるようになった気がする。...

図書館で借りて読んでいるものの期限が来て返さないといけないので読了していないがメモとして。 300ページかけて書く人生を30ページで書いている、と知人から聞いて読み始めた。最初は文章に慣れずわからなかったけど読み進めるにつれてじわじわと水面下の深さを見られるようになった気がする。この本を心から楽しめて読み終えて充足できる人がうらやましい。 身に迫って感じたという意味で、イラクサとポストアンドビームが好き。

Posted byブクログ

2016/02/12

「短編の女王」とよばれるアリスマンローの短編集。 人生のワンシーンが忘れられない思い出となったり、後になって急に思い出す、そんなことが誰しもあると思う。 そんな一瞬が切り取られた物語の数々。 「浮き橋」「なぐさめ」「イラクサ」「クマが山を越えてきた」・・・ 美しい読後感です...

「短編の女王」とよばれるアリスマンローの短編集。 人生のワンシーンが忘れられない思い出となったり、後になって急に思い出す、そんなことが誰しもあると思う。 そんな一瞬が切り取られた物語の数々。 「浮き橋」「なぐさめ」「イラクサ」「クマが山を越えてきた」・・・ 美しい読後感です。

Posted byブクログ

2015/08/11

「林檎の木の下で」を読み終えてからまとめて感想を書いている。 「林檎」が異質だったわけだけれど、あちらのとんでもない想像力を持ちのマンローさんご自身の様子を垣間見、こちらの普通の作品が豊かな世界の拡がりを感じられる世界観な理由が分かった気がする。

Posted byブクログ

2015/10/03

おすすめ資料 第212回 (2013.11.15)   アリス・マンローは今年のノーベル文学賞を受賞しましたが、あまり構えることなく、この豊かな短編小説の世界を楽しんでもらえたらと思います。 収録されている「クマが山を越えてきた」は映画化もされています(「アウェイ・フロム・ハー...

おすすめ資料 第212回 (2013.11.15)   アリス・マンローは今年のノーベル文学賞を受賞しましたが、あまり構えることなく、この豊かな短編小説の世界を楽しんでもらえたらと思います。 収録されている「クマが山を越えてきた」は映画化もされています(「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」)。

Posted byブクログ

2015/03/13

書き出しは謎のような箴言のような一節ではじまる。あるいは、真空管があたたまって回路がつながったラジオから聞こえてくる会話のような。そんな切れ端だけでは、なんともつかみがたい見知らぬ他人の人生の中に土足で入り込んだような落ち着かない気持ちのまま、おずおずと物語のなかに招じ入れられる...

書き出しは謎のような箴言のような一節ではじまる。あるいは、真空管があたたまって回路がつながったラジオから聞こえてくる会話のような。そんな切れ端だけでは、なんともつかみがたい見知らぬ他人の人生の中に土足で入り込んだような落ち着かない気持ちのまま、おずおずと物語のなかに招じ入れられるのだ。心してかからなければならない。見かけから伝わってくる印象ほど、理解するのは容易ではないのだ。今しがた足を踏み入れた場所は、他人には見せたことのない隠れ場所のようなものだから。整ってもいないし、快適でもない。積りつもった塵埃や湿気でぼろぼろになった古証文が散らばったままの地下室みたいなものだ。 アリス・マンローの短篇小説を読むのは心躍る行為だ。そこには、他の作家の見せてくれる世界とは確かに異なる光景が用意されている。北米大陸カナダを舞台にしてはいるが、飛び抜けて酷薄な自然があるわけでも、信じられないような事件が起きるわけでもない。読者が入り込むことを期待されているのは、誰にでもあって、どこにでも起こりうる、ごく普通の家族や親類縁者、友人知人の間にある長きにわたる交流だ。誰にだって、一人や二人噂話のタネになりそうな知り合いはいる。笑い話にされたり愚痴の対象であったりするが、世間というのはきっと、そういう人が潤滑油となって機能しているのだ。 一口で言えばゴシップである。誰それがどうした、こうしたという、主婦が台所で友だちと洗い物をしながら話したり、パーティー会場の片隅で声を潜めて語ったりするような仲間うちでの打ち明け話。有り体にいえば、小説というのは、それを読者という他者に開放してみせたものだ。アリス・マンローの凄いところは、難易度の高い手術を短時間にし遂げる外科医に似ている。たぶん傍で見ている者には、そこで何が行われているのか見当もつかないくらいの速度で事態が処理されている。特に現在と複数の過去の時間の処理。速い時には段落単位、高速度で切り替わるので、慣れない読者は面食らうにちがいない。馴れるとやみつきになるのだが。 素材となるのは自分とその周りにいた人物が主だ。人物に憑依したかと思えるほど、心の奥底に閉じこめ、誰にも見せなかったであろう思いを、腹腔鏡でも使うように適切な部位を過不足なく摘出してみせる。他の誰にもない、というのはそこである。他者を扱うなら思う存分メスでも何でも振るえばいい。しかし、どんな名手でも自分相手となればそうはいかない。躊躇が、逡巡が目を曇らせ、手を震えさせる。自分を自分ではない赤の他人のように冷静に、時には悪意さえ感じられるほど酷薄に見つめ、意識の深奥部に沈めてしまったであろう過去の記憶を探査し、掘り起こし、切り捌く、その手際に魅了されるのだ。 訳者によるマンローの邦訳としては初めてのもの。考え抜かれた選択だったろう。いかにもアリス・マンローという作品が並ぶ。いつも最後の文章に魅かれるのだが、父のいとこの思い出を語る「家に伝わる家具」の「なかに入って、コーヒーを飲んだ。コーヒーは沸かしなおしで、黒くて苦く――薬みたいな味がした。まさにわたしが飲みたかったものだった」がいい。マンローの書く自伝風短篇の味を語り尽くしている。今ひとつあげるなら、「ポスト・アンド・ビーム」か。 大学教授の妻になって二人の子を持つ年若いローナを訪ねて、実家から幼なじみのポリーがやってくる。そりが合わない夫とポーラの間に立って苦慮するローナはポリーを突き放すかたちで家を空ける。留守中絶望したポリーが自殺するのではという妄想に、ローナは神との取引を思いつく。自分の大事な何かを手放す代わりに、自殺を思いとどまらせて、と。神様との取引という民話によくある話を夫の教え子との「姦通」願望にからませ、幼な妻の揺れ動く心に迫る一篇。その思いがけない結末は神慮なのか、それとも思いなしか。読み方ひとつでどうにでもとれる、オープン・エンドもまたマンローの得意とするところ。表題作の「イラクサ」、「浮橋」も「人生の苦さと思い出の甘やかさ」を湛えて詩情あふれる佳篇。

Posted byブクログ

2014/06/24

アリス・マンロー単独の短篇集としては初めて読んだのだが、いや~、これは良かった。小説を読んだなあという深々とした満足感でいっぱい。 すごく刺激的というわけではないのに、どこかスリリングな読み心地がする。よくあるお話でもないのに、どういうわけか、これが人生なのだと思わせられる。そ...

アリス・マンロー単独の短篇集としては初めて読んだのだが、いや~、これは良かった。小説を読んだなあという深々とした満足感でいっぱい。 すごく刺激的というわけではないのに、どこかスリリングな読み心地がする。よくあるお話でもないのに、どういうわけか、これが人生なのだと思わせられる。そう、読みながらずっと、長くてはかない人生というものを考えずにはいられない、これはそういう小説だ。 最初の「恋占い」という短篇にまずぐっとひきつけられた。残酷な話か、はたまた「いい話」か、どちらにすることもできそうだが、作者はどちらにもしない。そこがいい。独身の家政婦ジョアンナの造型が見事。映画化されたそうだが、日本では公開されていないようだ。観てみたいなあ。 表題作「イラクサ」も良かった。「旅仕事の父に伴われてやってきた少年と、ある町の少女との特別な絆。30年後に再会した二人が背負う、人生の苦さと思い出の甘やかさ」と紹介されている、まさにその通り、苦くて甘いお話だ。ゴルフコースで通り雨と突風に見舞われた二人が近くの草原にうずくまる。そこに咲いている野花の描写が美しい。でもその中にはイラクサもあって、二人ともかぶれてしまうのが象徴的だ。 最も心に残ったのは「家に伝わる家具」。語り手の女性は、豊かではない家や支配的な母親、閉鎖的で俗っぽい親戚たちを嫌悪し、故郷を飛び出してもの書きとなっている。これはアリス・マンローの作品では繰り返し登場する設定のようで、ほぼ作者自身とみていいようだ。自負心と孤独がない交ぜになったこの女性に、生い立ちは違っても、自分を重ね合わせる人は結構いるんじゃないだろうか。少なくとも私はそうだ。 「わたし」は、食べ物のことや噂話で明け暮れする暮らしにはうんざりだ。身内の女たちは、まるでそうする当然の権利があるかのように、「わたし」にズカズカと踏み込んでくる。容姿について、性格について、生き方について。「あら、太った?」「あんたは前から頑固だったものね」「もっとお母さんの面倒を見てあげたら?」などなど、などなど…。うーん、身につまされる。 さらに、そうなのよね~と思うのは、彼女が時折、結局そういう人たちの方が正しいのではないかと思ってしまうところ。自分の方が畸形で、真っ当なものから切り離されて漂っているのではないかと。でも、彼女は一人でドラッグストアのまずいコーヒーを飲みながら、自分の書きたい物語について考える。 「それがわたしの望んでいたもの、それがわたしが留意せねばと思っていたこと、それこそわたしが送りたいと思っていた人生だった」 こういうものに出会えるから本を読むのはやめられない。クレストブックスらしく装幀も美しい一冊だ。

Posted byブクログ

2014/04/16

帯文:"長編小説を凝縮したような読後感。" "「短編小説の女王」マンローの9つの物語。" 目次:恋占い、浮橋、家に伝わる家具、なぐさめ、イラクサ、ポスト・アンド・ビーム、記憶に残っていること、クィーニー、クマが山を越えてきた、訳者あとが...

帯文:"長編小説を凝縮したような読後感。" "「短編小説の女王」マンローの9つの物語。" 目次:恋占い、浮橋、家に伝わる家具、なぐさめ、イラクサ、ポスト・アンド・ビーム、記憶に残っていること、クィーニー、クマが山を越えてきた、訳者あとがき

Posted byブクログ

2014/01/29

どれも映画になってもおかしくないほど生々しく映像が目に浮かぶ。 本当に普通のそこへん歩いてる人たちの様々な感情が 丁寧に描写されていた。

Posted byブクログ

2014/08/28

2013年ノーベル文学賞を受賞したアリス・マンロー氏の9つの短編が収録された作品集。 田舎で暮らす人々の日常の一コマを切り取り、普段の生活に潜む人生の分岐点や心の変化を静かに綴っている。短編ながら孤独や死といったテーマが多く、どれも骨太な作品ばかり。読後は不思議とじんわりとした...

2013年ノーベル文学賞を受賞したアリス・マンロー氏の9つの短編が収録された作品集。 田舎で暮らす人々の日常の一コマを切り取り、普段の生活に潜む人生の分岐点や心の変化を静かに綴っている。短編ながら孤独や死といったテーマが多く、どれも骨太な作品ばかり。読後は不思議とじんわりとした温かい余韻が残る1冊。

Posted byブクログ

2013/12/15

ノーベル賞受賞者の珠玉の短編集。ストーリーは奇をてらわず素朴なのに感動するのは、マンローが人間の感情の機微を正確に綴っているからだろう。

Posted byブクログ