調理場という戦場 の商品レビュー
料理人「斉須政雄」氏の自伝的ビジネス本。"調理場でも、本当は人間の生き方から出る出汁が、「一番美味しいもの」なのです。""自分の置かれた立場で、精一杯やって、楽しんで、それでいいんだよ。"等々普段の生活でも活用できる言葉が沢山出てきます。有名人は最初から有名人ではないと言うことが...
料理人「斉須政雄」氏の自伝的ビジネス本。"調理場でも、本当は人間の生き方から出る出汁が、「一番美味しいもの」なのです。""自分の置かれた立場で、精一杯やって、楽しんで、それでいいんだよ。"等々普段の生活でも活用できる言葉が沢山出てきます。有名人は最初から有名人ではないと言うことがよくわかる一冊です。
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この本は「なにたるんでんだーー!!」と喝を入れられるようでありながらも 最後まで読むと、なんだか勇気や元気がもらえたりという結構スゴい一冊です。 内容はいうと料理人の著者が自ら書いた(語った??) 修行時代から自分の店をオープンするまでの約20年間の記録です。 それがですね。...
この本は「なにたるんでんだーー!!」と喝を入れられるようでありながらも 最後まで読むと、なんだか勇気や元気がもらえたりという結構スゴい一冊です。 内容はいうと料理人の著者が自ら書いた(語った??) 修行時代から自分の店をオープンするまでの約20年間の記録です。 それがですね。 不覚にもいくつかの場面で泣けてしまうんですよ(笑) 誇張された文章表現なんて一切ないですし、 甘ったるいエピソードも皆無なんですけどね。 なぜでしょうね??? 「いいか悪いか、右か左か、それだけで生きてきた人にはわからないです。まんなかでトロトロやってきた人がよく把握していると思いますね。若い人たちは、どちらか明確なものを欲しがりますが、それはあまり意味がないと思います。どちらかわからないような不安な現場で平常心を失った状態でつくるからこそ、何かがわかるのではないでしょうか。中略・・リングに上った後の””もうやられる寸前”にしかわからないような気がしています。理路整然とした人のほうが優れているというのは、うそっぱちだと思っています。」p245 「一所懸命に仕事をやっている人には、一生懸命な人の言葉しか通じないのです。」p75
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人として正しい道が何なのかは誰もが分かっているはずなのにそれを選択しないのは、それがいちばん険しい道だと皆が薄々察しているからだろう。恥ずかしながら私もそうである。 その王道を歩んで来られた斉須政雄シェフの気骨あふれるメッセージの数々が心に響く、響き過ぎて痛い。 いつの日かコート...
人として正しい道が何なのかは誰もが分かっているはずなのにそれを選択しないのは、それがいちばん険しい道だと皆が薄々察しているからだろう。恥ずかしながら私もそうである。 その王道を歩んで来られた斉須政雄シェフの気骨あふれるメッセージの数々が心に響く、響き過ぎて痛い。 いつの日かコート・ドールで食事をすることを夢見ているが、今の私に席に着く資格があるのか? ちゃんと生きているとは言い切れない自分には耳の痛い読書となった。
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著者?の熱弁に引き込まれるよう一気呵成に読める。”職人気質”を地で行くようなフランス修業時代を中心とした回想録だ。 徒弟制度の厳しい日本の料理人世界に見切りをつけてフランスへ旅発つから、さぞや”洗練されたフランス流”(イメージ)の修練を積んでいくのだろうと思ったが、あちらの現場も”戦場”だったということだ。 未熟であることに加え、人種差別とも戦わなければならないアウェイでの奮闘は、これから世に出る若者を大いに奮い立たせるに足る内容だ。異国ゆえに研ぎ澄まさなければならない意識、行動、そこから導きだされた処世訓は、なるほどと唸らされるものが多かった。 「自分の意志を明確に伝えたいともどかしく思うなら、まずは自分の意志を、自分で明確に迅速に把握している必要がある。」 「いい人なだけではないということを身体から発するためには、勤勉なだけではだめだった。のべつまくなしに働く甘さではなく、必要な時に必要な力を出せることが大切なのだと痛感していました。バネが必要でした。」 料理は、現場判断、瞬発力がけっこう必要と説くところも面白い。フランス料理なんて、きっちり準備して、伝統のレシピを守ることが大切なのかと思ったけど、修羅場をかいくぐりながら一瞬の判断力が求められる。一方で、その瞬発力を発揮するために、基本動作をきちんとこなそうとする姿勢には頭が下がる。 「毎日やっている習慣を、他人はその人の人格として認めてくれる」 「経験上、優れた人が他人を評価する時に目を留めるところは「一つ一つのことをきちんと処理しているかどうか」なのではないかと思う」 こうした日々の努力を惜しまないところが一流か二流の違いなのだろうと思う。自分には”資質がない”と自らを過大評価することなく、「やりすぎぐらいが当たり前」、「やりすぎを自分の常識にしなけりゃ、人と同じ水準は保てまい」と自分を律する。こうした努力の積み重ねが、三ツ星レストランの「ヴィヴィロワ」の素敵なオーナーや、無二の親友ベルナールとの出会いとなって実を結んでいるのだろう。見てる人は見ている、ということだなぁ。 「人にできたら、あんたもできるよ」 著者のお母さんの口癖だとか。過剰な期待を課すことなく、さりげなく背中を押すこうした言葉が、きっと支えになってきたに違いない。なかなかの好著だった。 ・・・と、まぁ、ところどころの印象的なフレーズを抜き出して並べてみると、ほんと良い一冊だったが、読んでいる間は、ずっとなんだかなぁ感が付きまとっていた。要は、プロの物書きでない料理人による一代記の体裁を取っているが、インタビューを元にしてライターがリライトしたものなのであろう。それも、けっこう雑な作りで! なんだこのブログ的な、言いたいこと思いつくまま語ったまとまりのなさは!?と思ったら、案の定「ほぼ日」だ。きっとサイトの連載を一冊にしたものなのだろう。せっかくの貴重な体験、含蓄に富む示唆、教訓、それらをもう少し上手に編集できなかったものか。著者に責任はないと思う。”人間の生き方から出るダシが「いちばんおいしいもの」”と著者は語る。かなり美味しいダシが滲み出ている生き方だ。一流の素材を提供してくれている。ただそれに手を加える料理人が二流、三流だったのが非常に残念だ。 内容的には★3つ以上だが、本として減点1。
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職人さんのイメージによくあるような、「不器用さ」というものも、斉須さんには感じました。しかし、そういった不器用な生来の性分の範囲内にとどまり続ける人ではなくて、消費者の身になって考える「商人」と、生産者の側になって考える「職人」とのふたつの違う立場を往復しながら仕事をされているという器用さも身につけられている。そして、そこに至った経緯というか、そうなった経験というかが、フランスに修行に出た時代を中心とした回想録によって明らかになる。激しやすいところのある著者がなんとか適応しようとしているさまや、うまくいかなかった中で学んだこと、見本となる人ならない人から学んだこと。そうして培われた、机上の論理ではない肌感覚での知恵や知識をぞんぶんに本書では語ってくれている。人によってはそこに共感を感じたり、なんとなしに意識していたことが言葉になっているのを見つけたりすることでしょう。ぼくにとっては、批判や叱咤と感じる言葉がけっこうありましたし、著者の考え方のなかには、たとえばぼくの親父の持つ、ぼくとは合わない考えと似たようなものもあり、始終気持ちよく読める種類の本ではなかったです。それでも、ぼくのいいところは、反対意見や対立意見も、一応、身体の中にいれてみて、それからなじむかどうか見たり、折衷案も作りだしたり、自分を変化させたり、それらが無理ならはきだしはするけれど留保意見として、あたまの片隅に取っておいたりするところなんです。「ただただ仲良くしたいなんて思ってるヤツは、みんなに体よく利用されて終わってしまいます」「相手に不快感を与えることを怖がったり、職場での付き合いがうまくいくことだけを願って人との友好関係を壊せないような人は、結局何にも踏み込めない無能な人です」こういった言葉がぼくにとっては突き刺さる言葉で、「あいたたた・・・」と呻いてしまいます。
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仕事論などと名付けられてしまい意識高いビジネスマン向けの自己啓発書な体裁になってしまっているが、若くしてフランスへ修行、百戦錬磨のうえ日本へ戻り、三田のフレンチレストラン、コート・ドールのシェフ斉須氏の回顧録である。 「チームが困っているときに分かっていて手助けしなかったやつがいたら徹底的に叱る、泣くまで言うからね、親切だと思いますよ」とかなり体育会系な意識が全面に出ているが、そもそも料理の世界は男社会、フランスでの差別や階層の意識を感じるリアリティが生生しい。ロブションの緊迫した世界には震え上がるし、同僚と独立した店はまたたくまにミシュラン星3を獲得するが、マダムにアスパラガスを投げつける乱闘もあり。アツいぜ。 エッセイというよりも、延々と話し言葉。うまい聞き手がいて思い出を振り返るのを上手に引き出したインタビューのようだと思ったら、ほぼ日の連載か。 フランスで修行したからこそ意識する自らの日本人アイデンティティの上に成り立った、料理人というだけでなく仕事へ誠実に向かうこの職人気質に、読者は気持ちを揺さぶられることだろう。丁寧に身の回りを掃除したくなる。 ** この本とは関係ありませんが、フランスにもコート・ドールという名前のレストランがあり、伝説のシェフ、ベルナール・ロワゾー氏は星評価の凋落を気に病み2003年に拳銃自殺している。 日本のフランス料理店でこの本の話をしたところ、店のマダムにフランスのコートドールの話かと思われて話が食い違ったことがあり、念のため。 ちなみに日本には札幌にも同名の店があり、札幌は三田の初代オーナーの店である。
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厳しい世界を経験してたどりついたリーダー像はすごく共感できるもので、自分もそうありたいと常に考えています。自分は業界は違うし海外も出ていないけど厳しい環境を経験してきたと思っていて、そういう自分のたどりつきつつある考えと、斎須さんの言われていることが近くて勇気をもらいました。
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著者の出会った方々がみんな素敵でした。著者の人柄ですね。自分は、こんな風にマジメには生きられませんが、コート・ドールに一度食べに行きたいです。
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ジャケ買いw しましたが、内容はとっても良かったです☆ 料理が好きだしな~という軽い気持ちで読んだのですが、 料理面だけでなく、著者が修業・仕事する中で積み上げてきた、 仕事論・人生訓・リーダーシップetcのフルコースです。 よくあるビジネス小説のように、型にはめてコレ・コレと...
ジャケ買いw しましたが、内容はとっても良かったです☆ 料理が好きだしな~という軽い気持ちで読んだのですが、 料理面だけでなく、著者が修業・仕事する中で積み上げてきた、 仕事論・人生訓・リーダーシップetcのフルコースです。 よくあるビジネス小説のように、型にはめてコレ・コレと提示するでなく、 自然に読みながら文から読み取っていける感じが好きでした。 さらには、登場人物が魅力的☆ コート・ダールに食べに行きたいし、 フランスのお店に足を運んだり、登場人物に会ってみたい! そう感じる、読みだすと物語の中に誘われる作品でした。 料理を志す人はもちろん、 社会で働く人々に、その中でもリーダーシップをとる機会がある方にぜひ読んでいただきたい一冊。
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大変真面目な方だなぁ。 仕事をして自分を育てるとはこうするのか。 今後壁に当たると読み返す本になるだろう。 他支社の上司大推奨本。
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