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ひとかげ の商品レビュー

3.6

83件のお客様レビュー

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    16

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2012/04/27

『とかげ』を著者自身でリメイクした作品。 巻末にはその『とかげ』も収録されている。 ”癒し”の物語で、過去に負った心の傷に対する”時間”や”運命”といったものが主体か。 私自身は『とかげ』未読だったが、巻末の原作を読んだ後、リメイクでとかげの人物像が深く濃くなってとても良くなった...

『とかげ』を著者自身でリメイクした作品。 巻末にはその『とかげ』も収録されている。 ”癒し”の物語で、過去に負った心の傷に対する”時間”や”運命”といったものが主体か。 私自身は『とかげ』未読だったが、巻末の原作を読んだ後、リメイクでとかげの人物像が深く濃くなってとても良くなったと感じた。

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2012/04/14

『今夜、どれだけの悲しい人がこの世にいるんだろう? 身内を亡くした人。病気の人。 心の地獄をさまよっている人。 殺される人。 現実に、たった今。』 太ももに小さなとかげの刺青を持つ彼女は、 壊れそうにちいさな身体で、 人々の命を癒そうとする。 自分の罪を、ひたす...

『今夜、どれだけの悲しい人がこの世にいるんだろう? 身内を亡くした人。病気の人。 心の地獄をさまよっている人。 殺される人。 現実に、たった今。』 太ももに小さなとかげの刺青を持つ彼女は、 壊れそうにちいさな身体で、 人々の命を癒そうとする。 自分の罪を、ひたすらに責め続けながら。 正直ハードカバーにするには 内容が少なすぎるかもしれない。 複雑な伏線もなければ、 劇的な展開もない。 それでも主人公たちは ひたむきに毎日を生きる。 傷ついた背中で、罪を背負いながら。 苦しみながら、 生きていくのは、 あの暗く冷たい、絶望のような夜、 終わることすら想像もできない暗い夜。 そんな夜には、思いもしなかったような、 遠くまで来ることが出来ることを、知っているから。 毎日を生きていく。 今夜どこかで、生きる悲しい人と、同じように。

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2012/03/02

とかげよりも、「私」が大人の男性であるけれど、彼女を想うと思春期の男の子みたいになってしまう、その感じが伝わってきて、こっちもいいなぁ、と思った。 かわらないしずかなふたりの雰囲気がすき。最後の一行とか。

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2011/11/24

ざらざらと傷口に触れた。忘れていたことを思い出した。そうやって生きてゆくのだ。ふたりと、そして自分の子供時代を思って、少し泣いた。

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2011/09/15

「ひとかげ」の元となった作品「とかげ」との2編いり。 暗い過去を背負いつつ精神科医(ひとかげでは保健師?)になっている「私」と同じく暗い過去を持つ「とかげ」という女性の過去に向き合いながら進むお話。 「とかげ」と「ひとかげ」ストーリは変わらないんだけど、文章のディテールをほん...

「ひとかげ」の元となった作品「とかげ」との2編いり。 暗い過去を背負いつつ精神科医(ひとかげでは保健師?)になっている「私」と同じく暗い過去を持つ「とかげ」という女性の過去に向き合いながら進むお話。 「とかげ」と「ひとかげ」ストーリは変わらないんだけど、文章のディテールをほんの少しいじっただけで持つ雰囲気がより濃く感じた。 よしもとばななさんの作品は作品そのものよりも文章を読んでて感じる「あれ、この人もしかして死んでる?」ていう感覚に出会えるとこが好き。

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2011/07/02

とかげのリメイク、ひとかげ。さすがに「ひとかげ」の方がスムーズな流れ。でもどうして「とかげ」は下書きの物語になってしまわないのだろう。ザラザラした独特の魅力を「とかげ」は放ち続ける。

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2011/05/25

まずいまずいまずい。 相手を好きな気持ちがこれ明確にストレートに伝わってくる。 どうしてもどうしてもさわりたくて、気が狂うほど、もういてもたってもいられなくて、彼女の手に触れることができたらもうなんでもする、神様! きゃーーー 読んでるこっちがどきどき致します。 実際に文章化...

まずいまずいまずい。 相手を好きな気持ちがこれ明確にストレートに伝わってくる。 どうしてもどうしてもさわりたくて、気が狂うほど、もういてもたってもいられなくて、彼女の手に触れることができたらもうなんでもする、神様! きゃーーー 読んでるこっちがどきどき致します。 実際に文章化するとこっぱずかしいけど、ガチで恋してる時って頭の中はこんなんだよね、多分。知らんけど。←

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2020/11/24

この小説は、14年前に出された「とかげ」のリメイク版です。(今回出された「ひとかげ」の後半に、当時出された「とかげ」も収録されているので読み比べが出来ます) 「とかげ」は確か、高校生の時に読んで、とても衝撃的だったことを覚えています。 今回の「ひとかげ」の前書きでよしもとさんが、...

この小説は、14年前に出された「とかげ」のリメイク版です。(今回出された「ひとかげ」の後半に、当時出された「とかげ」も収録されているので読み比べが出来ます) 「とかげ」は確か、高校生の時に読んで、とても衝撃的だったことを覚えています。 今回の「ひとかげ」の前書きでよしもとさんが、リメイクして書きたかった理由を述べているのですが、やっぱり若かった頃と少し年を重ねた今では、表現したいことが違うのだろうと思う。 昔の「とかげ」は余計な描写がほとんど無くて、尖っている感じ。今回の「ひとかげ」は、それに柔らかさや深みが増した感じ。どちらが好きかはその人によると思うけれど、私は「ひとかげ」の方が好きだと感じました。(もしも今高校生だったら違うかも知れないけれど) この世の中には、想像できないほど深い傷を負った人がいて、死にたくなったりもがいたりしながら、それでも生きている人がたくさんいるのだと思う。 私にも少なからず傷はあるけれど、やっぱりその傷たちは今の私に影響を与えてる。気付かないふりをしても目を逸らしても、消えずに存在していると思う。 その傷に向き合うのはとても難しい。やり方を間違えたら、もっと傷が深くなってしまうかも知れない。そう思うと、自分以外の誰かの傷に触れることは、もっと躊躇ってしまうと思う。 だけど大切な人だからこそ、その傷に触れたいと思うのも事実。自分以外の誰かを救えるなんて偉そうなことは思わないけれど、その傷を見つめて一緒にいることなら出来ると思うから。 このお話のとかげと主人公のように、心の奥底で惹かれ合うように繋がっていられる関係は理想だと思いました。きっとそれだけで生きていける。 よしもとばななさんの作品は、気付くと温かい涙が流れているような作品が多い。傷をえぐられるんじゃなく、優しく触れてくれるような。 優しい人に自分もなりたい。そんな風に思わせてくれるような作品でした。

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2011/01/07

「とかげ」より好き。 「とかげ」の時は、取材不足な気がする。自閉症児のクリニックなのに?って思う部分があったけど、「ひとかげ」では直されていたから、スムーズに読めた。

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2011/09/14

とかげもすきでした。読んでみて、どこが変わったかというのは巻末の元版をつきあわせないと分からなかったけど、主人公たちの思いや人間のぐちゃぐちゃした部分、というところはより伝わりやすくなったように思う。私がそれを理解できる経験が増えたのもあるけど。とかげ、はそれはそれでよかった、過...

とかげもすきでした。読んでみて、どこが変わったかというのは巻末の元版をつきあわせないと分からなかったけど、主人公たちの思いや人間のぐちゃぐちゃした部分、というところはより伝わりやすくなったように思う。私がそれを理解できる経験が増えたのもあるけど。とかげ、はそれはそれでよかった、過不足ない、と巻末を読んで思った。内容も、だけど同じくらいの強さで気になったのが装丁。表紙の絵も、中の絵も、とかげ元版の紙の色も、すごい気になった。どういう意図?絵は私のとかげのイメージと違ったので、正直とても違和感があった。もっと細身な人をイメージしていたけど。絵に影響されすぎるのもよくないが。装丁も面白かった(新鮮だった)し、自分の手を離れて表現されて戻ってきた作品に対して作者がアタックした気持ちを感じた。

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