ひとかげ の商品レビュー
何年か前に「とかげ」を読んでとても胸が痛い思いをした。そして今回その「とかげ」が「ひとかげ」に進化したと聞いて何がどう進化したのかとても気になっていた。一言で言えば物語に深みが出た という事なのだけれど、ストレートなとがった痛みが時間差で心に刺さる痛みへと変わっている。そして若さ...
何年か前に「とかげ」を読んでとても胸が痛い思いをした。そして今回その「とかげ」が「ひとかげ」に進化したと聞いて何がどう進化したのかとても気になっていた。一言で言えば物語に深みが出た という事なのだけれど、ストレートなとがった痛みが時間差で心に刺さる痛みへと変わっている。そして若さの中では描くことの出来なかった「とかげ」や「私」の心のふとした変化や表情を痛みと共にあぶりだしている。確かにこれは進化である。「とかげ」と「私」は痛みを分かち合うのではなく慰めあうのでもなくただ感じ合うだけ、そんな二人にかすかでも光の見える明日が来ることを祈る。そして二人の子供時代のために数分間泣こう。付け加えれば、後半にオリジナル版「とかげ」が収録されているのも画期的だと思う。これまたさすがである。いろいろな意味でとても大きな一冊なのである。
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『とかげ』のリメイクだって事は知っていたので買うつもり全然なかったのだけれど原マスミの装丁を見てやはり思わず買ってしまった。『とかげ』自体もう随分前に読んで読み返しもしていなかったので結構内容忘れていて新たに新鮮な気分で読めた。 人生でこんなふうに感じられる相手に出会えたら本当に...
『とかげ』のリメイクだって事は知っていたので買うつもり全然なかったのだけれど原マスミの装丁を見てやはり思わず買ってしまった。『とかげ』自体もう随分前に読んで読み返しもしていなかったので結構内容忘れていて新たに新鮮な気分で読めた。 人生でこんなふうに感じられる相手に出会えたら本当に幸せだと思う。 『どうしてもどうしてもさわりたくて、気が狂うほど、もういてもたってもいられなくて、彼女の手に触れることができたらもうなんでもする、神様!』ってところ、凄くグッときた。
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