リア王 の商品レビュー
シェイクスピアの言わずとも知れた悲劇の名作。良いテンポとユーモアのある表現が心地良い。 コアメッセージとしては「権力は持ち続けろ」「だれかに依存する状況は絶対に避けろ」というところか。 リア王は物分かりの良い風を装って、気前よく娘たちに自らの権力を分け与えた。自分と自分の兵隊を...
シェイクスピアの言わずとも知れた悲劇の名作。良いテンポとユーモアのある表現が心地良い。 コアメッセージとしては「権力は持ち続けろ」「だれかに依存する状況は絶対に避けろ」というところか。 リア王は物分かりの良い風を装って、気前よく娘たちに自らの権力を分け与えた。自分と自分の兵隊を養う財産も放棄して、娘に交代で面倒を見てもらう悠々自適な老後を夢見たのだ。しかし娘たちは養い続けなければならない父親に嫌気が差して、彼を追い出してしまう。リア王は裏切られたショックに発狂し、廃人となってしまう。 あらすじとして悲劇だが、トリガーは王の愚かさにある。例え自分が王であり、頼るのが例え実の娘でも、ずっと依存し続けることはできないのだ。マキャベリは恐れによって人を統治しろと言った。「恩」などまたたくまに風化するものだと。その通りだと思う。権力は手放したら返ってくることはないのだ。 これが400年前に書かれたものだというのがまた面白い。人間の愚かさとは普遍的で不変的なものなのだ。
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子ども向けに書かれたのを読んだきりだったが、こんなに壮絶な内容だったとは音読するのは憚られるセリフの数々…よくまぁ、これほど悪口雑言、罵詈讒謗の限りを尽くせたもんだ おおもとの物語はハッピーエンドらしい…なんで変えたんだろう
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いつも思うのだが、昔の人は言葉だけで人を信じすぎている。と思えば忠臣の忠告は聞く耳持たずなのは、どういうことなのか。道化がとても良い味出している。 リア王症候群という言葉があるらしく、昔の上司を思い出した。文明は確実に進歩したけれど、人間の本質は大昔から何も変わっていないんだ...
いつも思うのだが、昔の人は言葉だけで人を信じすぎている。と思えば忠臣の忠告は聞く耳持たずなのは、どういうことなのか。道化がとても良い味出している。 リア王症候群という言葉があるらしく、昔の上司を思い出した。文明は確実に進歩したけれど、人間の本質は大昔から何も変わっていないんだな。 4大悲劇のうち3つまで読了。『シェイクスピア物語』で有名な話の粗筋も掴めたので、勢いに乗ってシェイクスピア読破していこう。
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原文のシェイクスピア独特のリズム感が伝わってくる。 NTL(映画)の予習のために読んだけど、これが英語で俳優がセリフを喋ったらどんな感じになるんだろうと想像しながら読んで楽しかった。
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やはり劇として、それもできるなら原語で、観たいなと思わせられた。文章でも十分に面白かったけれど、ここに音としての韻が加わればさらに上の次元に昇華するような。 原典を読みたいがために語学の道に進む、その気持ちが一瞬でも理解できたように感じた。
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勧善懲悪のハッピーエンドだった原案を、シェイクスピアはこの滑稽なほどの悲劇に改変した。 本当の悲劇に「悪役」はいない。「悪役」はフィクションの中に閉じ込められた存在だが、劇中で猛威を振るう「この世の不条理」は、現実世界との向き合い方に暗い覚悟を迫ってくる。
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◎感想 「リア王」、シェイクスピアの4大悲劇の一つとして有名なこの話を一度読んでみたいと思っていた。一つにはシェイクスピアの作品、古典として有名だからという理由もあるが、もう一つには、この光文社新訳古典文庫というシリーズを創刊した編集者の本 を読んだからという理由もある。今ではこ...
◎感想 「リア王」、シェイクスピアの4大悲劇の一つとして有名なこの話を一度読んでみたいと思っていた。一つにはシェイクスピアの作品、古典として有名だからという理由もあるが、もう一つには、この光文社新訳古典文庫というシリーズを創刊した編集者の本 を読んだからという理由もある。今ではこの光文社新訳古典文庫は200冊以上のシリーズとなっており、「リア王」はその創刊時の8冊のうちの一つだ。その本を読んだ時に、編集者の思い入れの強いものという印象があり、いつか読んでみたいなと思っていた。 自分は古典を読むうえで一つ意識していることがあり、それはなぜ現代においてもそれを読むのか?という事だ。今に通じる何かがあればいいなと思いながら読んでいて思ったのは、相続と介護、特に年老いた親を誰が面倒みるのかという介護の問題から話が動いていくという事だ。 ・相続と介護 長女も次女も相続の際には、言葉を尽くし、父への愛を語るが、実際には厄介者としてその費用の負担を抑えるように謀る。コーディリアは言葉ではなく、その行動で示すものだと考えているがそれは伝わらない。リアは分かりやすく愛を示してくれるものを期待していたのか、癇癪をおこす。相続を原動力にするのは臣下グロスターの私生児エドマンドも同じだ。彼は自分が己の力のみで今の自分を形成しているという感覚がとても強い。生まれが賤しいとされるものでも自身の力で、計略によって成り上がろうとする。 ・欲望と正義 長女、次女、エドマンドは己の欲望の為に何らかの謀をたくらむ一方で、ケント、エドガーは忠義の為に、コーディリアは父への愛の為にという形で自分の欲望ではない理由で動いていく。前者は欲望の為に後者は正義の為にともいえるのかもしれないが、もし一国民として見たとしたら、後者のほうが国のトップにいてほしいと思うが、ドラマとして見る分には前者に魅力を感じたりもする。 ・劇としての機能 この欲望と正義のコントラストの激しさが、セリフにも登場人物たちの急激な変化にも現れていると思う。一方で、登場人物とそのセリフがほとんどのため、読んでいる途中でどういう場面か、その人物たちの関係性が分からなくなることもあった。それは舞台であれば、服装や小道具、舞台上の演出で補われるものが無いからというのもあったと思う。 逆にそうした視覚的な情報を補う「地の文」に支えられて、普段の小説を読むときには、その世界に没頭できるという効果もあるのだなと改めて思った。だからこそ一番の魅力はセリフに尽きると思う。特に訳者の安西徹雄は自身で劇団を主宰し、何度も舞台上で発声してきたものだからだ。 読んだ感想をまとめてみて思ったのは、全体としてこの物語が悲劇であるということにあまり自分自身としてはピンと来ない感じになったところだ。結果的に、この王国としては良かったのではないだろうかというところで、唯一コーディリアは何の悪意もなかったのに殺されてしまったという理不尽さは悲劇かもしれないが、ろくでもない奴は皆死ぬという形になっていて、良かったのではないかなと思う。
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登場人物全員が不幸。死んでいった者達はそれぞれの思いや欲望を叶えられずに命を落とした。生き残った者達は大事な人たちの死を目の当たりにすることで不幸を背負い込むことになった。 道化は唯一の例外と取れる。しかし、彼は彼以外の登場人物とは異なる世界に生きている。道化にとっては彼らの...
登場人物全員が不幸。死んでいった者達はそれぞれの思いや欲望を叶えられずに命を落とした。生き残った者達は大事な人たちの死を目の当たりにすることで不幸を背負い込むことになった。 道化は唯一の例外と取れる。しかし、彼は彼以外の登場人物とは異なる世界に生きている。道化にとっては彼らの野心や欲望などにちっとも興味はないのだろう。 登場するほぼ全員に襲いかかる悲劇。しかし、この人間社会を俯瞰して捉えれば、なんてくだらないことのために命を犠牲にしているのだろうという滑稽さに包まれている気がしてしまう。
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シェイクスピア初めて読んでみたけど、やはり面白い。他の作品も読んでみたいが、原典でも読んでみたいと思った。 心の描写や言葉選びのセンスといった文学の真髄となる要素が際立っていると感じた
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冒頭から忠臣の命をもかけた直言に心揺さぶられる。 シェイクスピア四大悲劇の「リア王」 深い悲しみが全編を通して時折胸を突く。 その度に読書が止まる。 時代を経て生き残ったまさに素晴らしい作品。
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