人のセックスを笑うな の商品レビュー
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恋は盲目とはよく言ったもので、冷静になると馬鹿馬鹿しくなったり、自分で自分が恥ずかしくなってしまうこともある。 でも決して滑稽なことではないんだよな、と思わせてくれる、そんな作品。
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あっという間に読み終えた。短い。 好き嫌いが分かれる作品だと思った。 私は好きだけど。 19歳のみるめ(専門学校生)と39歳のユリ(専門学校講師・夫あり)の恋愛で、驚くべきことにユリから「あのさあ、私君のこと好きなんだよ」と告白して始まった恋愛だった。 この作品が無理な人は、と...
あっという間に読み終えた。短い。 好き嫌いが分かれる作品だと思った。 私は好きだけど。 19歳のみるめ(専門学校生)と39歳のユリ(専門学校講師・夫あり)の恋愛で、驚くべきことにユリから「あのさあ、私君のこと好きなんだよ」と告白して始まった恋愛だった。 この作品が無理な人は、とにかく現実感がなくフラフラとしているからかなーと予想する。 特にユリのフラフラ具合と言ったらない。 美人でもなく、年相応の見た目。 家事は苦手で部屋は散らかっている。 絵は描くが特段上手いわけではない。 自信がなく、仕事や人生について悩んでいる様子。しかも夫がありながら自分の教え子に告白。 こんな39歳さすがに大丈夫?と心配になる 。 しかし作品の言いたい事はそこじゃない気がする。 みるめはこの人の美しくないところが大好き。 美しくないところこそ愛おしいって、究極の恋愛感情じゃないかと思う。 【うなじ。寝転がって後ろから触るのがとても楽しかった。真っ黒な剛毛。透き通る白い毛。半分までは黒い毛。混じり合っているところを何度も触った。 上に手櫛ですかしあげると、どうやって髪が生えているのか丸わかり。あんなに愛おしいものはなかった。】 自分の若かりし頃の恋愛を思い出して唇を噛む。涙が出るほどの好き、という感情が心に染みる。 こういう気持ちはきっと心の中の一番奥の、無防備な場所にあるんだ。 だから2人でただじゃれ合っているだけの時間は2人だけのものだし、セックスは下手でも上手くてもいいし、誰かに見られたり詮索されたり、ましてや笑われたりされては絶対にいけない。見ていいとしたら神様くらい。 タイトルはそういう意味だと思う。 終わってしまう恋愛もあるけど、そういう時間って宝物だよね、ずっと大事にしたいね、って事が言いたいんじゃないかなぁ。 私も夫にそういう感情を抱いた事があって、若かったけど、幸せな経験をしたなぁとしみじみ思ったのでした。
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倉橋由美子『大人のための残酷童話』の解説に「おとぎ話は平凡な主人公が奇妙な世界を冒険するから面白い。それに比べて現代小説はつまらない。異常な主人公が退屈な世界で何をしようというのか。」というようなくだりがあった。 少し変わっていると言えなくもない主人公。特に修羅場もなく淡々と進...
倉橋由美子『大人のための残酷童話』の解説に「おとぎ話は平凡な主人公が奇妙な世界を冒険するから面白い。それに比べて現代小説はつまらない。異常な主人公が退屈な世界で何をしようというのか。」というようなくだりがあった。 少し変わっていると言えなくもない主人公。特に修羅場もなく淡々と進む世界。薄い話と言われるとそうだと思う。繊細な気持ちを丁寧に散りばめた話と言われても同意できる。 ドラマもなく、主義主張もなく、怒りも憎しみも熱さも覚悟も愛もない。「切ない」という言葉がぴったりなのだが、恋の終わりの寂しさなのか、熱くなることがイタく、恥ずかしく、見苦しくなった時代に、辺りの様子をうかがいながら、目立ち過ぎないよう、埋もれないように生きていかなければならなくなってしまった世代への同情なのか。
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せつない。 この一言に尽きます。 美大生のみるめが、代理教師の20も年上の既婚者ユリに惚れてしまい、どうしようもなく愛しい気持ちがとてもせつなくかかれているお話です。 みるめもユリも、飾らないありのまま、感じたままの人というイメージで、2人ともお互いをとてもとても愛しています。 ...
せつない。 この一言に尽きます。 美大生のみるめが、代理教師の20も年上の既婚者ユリに惚れてしまい、どうしようもなく愛しい気持ちがとてもせつなくかかれているお話です。 みるめもユリも、飾らないありのまま、感じたままの人というイメージで、2人ともお互いをとてもとても愛しています。 この先どうなっていくか、を真剣に考えていないというか、好きだから考えられないのか、自由なユリにみるめはふりまわされますが、それでも好きで好きで仕方がない気持ちが伝わります。 「会えなければ終わるなんて、そんなものじゃないだろう」 はなれたからといって、好きな気持ちは簡単には変わらないです。
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こんなに都合よく専門学校の講師が生徒を誘うかよ、とか思いつつ読んでしまったけどこの手の小説にリアルを追求しちゃダメだよね。 もう少し性模写リアルな方がいい作品に仕上がったのでは。
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とても読み易くて、乾いているけど濡れているようなそんなお話。なぜこのタイトルなのか結局わからなかった
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映画を観ようか小説を読もうか、どっちを先にしようかだいぶ悩みました。 小説が先に読めてよかったな、と思える素敵な作品でした。 読みながら永作さんの顔は浮かんでしまったのですが。 思っていたより短くて、なんだか軽い(内容が軽いわけではないんだけど)さり気ない、なんだかそんな感...
映画を観ようか小説を読もうか、どっちを先にしようかだいぶ悩みました。 小説が先に読めてよかったな、と思える素敵な作品でした。 読みながら永作さんの顔は浮かんでしまったのですが。 思っていたより短くて、なんだか軽い(内容が軽いわけではないんだけど)さり気ない、なんだかそんな感じ。 一重だし丸顔だし肉付きは良すぎるし、理想とぜんぜん違う。 「恋してみると、形に好みなどないことがわかる 好きになるとその形にこころが食い込む 」 うんうん。 そうやってじわじわ心に沁みこんでくるような作品でした。
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専門大美術大生と講師の不倫の話 40代の化粧っけのない『ゆりちゃん』と呼ばれる人とアトリエでセックスをする 何もできないゆりちゃんにかわって色々してあげたりする。結局関係は、旦那とゆりちゃんが海外に1ヶ月旅行に行くってなって関係は、おわる。料理のうまい熊さんみたいな旦那さんは、す...
専門大美術大生と講師の不倫の話 40代の化粧っけのない『ゆりちゃん』と呼ばれる人とアトリエでセックスをする 何もできないゆりちゃんにかわって色々してあげたりする。結局関係は、旦那とゆりちゃんが海外に1ヶ月旅行に行くってなって関係は、おわる。料理のうまい熊さんみたいな旦那さんは、すごくいい人でご飯にこの主人公を誘ったりする。なんか、こういう関係って男の子が本気になってガムシャラになってかわいい
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「もし神様がベッドを覗くことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやって欲しい。」 この小説の魅力は、この視点の新しさにあると思う。セックスしてるときの気恥ずかしさ。自分たちにとっての特別なことの、...
「もし神様がベッドを覗くことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやって欲しい。」 この小説の魅力は、この視点の新しさにあると思う。セックスしてるときの気恥ずかしさ。自分たちにとっての特別なことの、凡庸さ。 私は『虫歯と優しさ』の方が好きだな。でも、セクシュアリティに困難を抱えている人って、今やそれだけでステレオタイプになっちゃってるような気がする。時代はどんどん移っていくのね。
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「いまのこの幸せは、きっとすぐにはなくならないはずだ」と感じる日常の幸せにあぐらをかくという幸せは、ある日突然に絶たれてしまった。つくりすぎた鍋の残りものにふたをして、「私たちってあの鍋の中身みたいだね、」と翌朝笑いあう空気感のはかなさよ。
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