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人のセックスを笑うな の商品レビュー

3.5

462件のお客様レビュー

  1. 5つ

    77

  2. 4つ

    117

  3. 3つ

    177

  4. 2つ

    40

  5. 1つ

    9

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2023/01/29

"オレのファンタジーにぴったりな形があるのではない。そこにある形にオレの心が食い込むのだ。" "電話なんて温度だ" 好きな言葉がたくさんあって素敵だった。

Posted byブクログ

2022/12/04

ナオコーラ氏の代表作であり処女作である本作。 ファンとして読めていないことがずっと気がかりだったので、ようやく読むことが出来てとっても嬉しい。 いくつかナオコーラさんの本を読んできているけれど、初期の作品だからか、いわゆる「らしさ」のようなものは少し薄く感じたけど、良かったな...

ナオコーラ氏の代表作であり処女作である本作。 ファンとして読めていないことがずっと気がかりだったので、ようやく読むことが出来てとっても嬉しい。 いくつかナオコーラさんの本を読んできているけれど、初期の作品だからか、いわゆる「らしさ」のようなものは少し薄く感じたけど、良かったなぁ。 美術系専門学校に通う1主人公磯貝が、20歳上の講師ユリと恋愛をする物語。 話を読んだうえでインパクトのあるこのタイトルを見返すと、なんだか胸にくるものがある。 顔に好みがあると思っていたが、恋をしてみると、形に好みがないことがわかる。好きになると、その形に心が食い込む。 なんて素敵なことば選び。感動してまう。。 肉をあまり食べないユリは、鍋に大容量の肉を入れた磯貝に対して、「ああ、なんてことするの」と叫ぶシーン。 「食べられないでしょ」 「食べられるよ。オレ、若いから」  この「若いから」の部分がまた気に障ったらしく、ユリは、もう、とさらに怒った。怒るとかわいく見えるので、もっといたずらしたくなってしまう。ニノウデの下の肉をつかんでもんでみた。 「なんなの」 ユリは体をよじった。 「煮立ちすぎだから、止めよう」 オレはコンロの火を止めて、それからユリの後ろに座って、ぎゅっと抱きかかえてみた。 お互い意識しないでいようとするんだけど、フツウのカップルのようにバカなことを言い合うだけで最高に楽しくて幸せなんだけど、ふとした時に感じてしまう年齢や立場という些細なようで無視できないものに引っかかる切なさ。 相手を心から愛しく思っているからこそ、抗えないことがあって苦しい。 それから、磯貝がユリの夫である猪熊と食事をするシーン。 猪熊は、ビールがどう出来るかを知っているか尋ねる。 「小麦でしょ?大麦だっけ?」 ユリが聞く。 「何言ってるの。湧いてくるんだよ」 「え?」 「恵比寿の方にね、大きい池があって。きれいだよ。黄金色でね。そこの方から、ふつふつと炭酸が浮き上がってきてるんだ」 真面目な顔で猪熊さんは言う。オレは笑った。(中略) 「魚は棲んでないの?」 「もちろん、いるよ。ビールウオっていうんだよ」 「そのまんまじゃない」 声を立ててユリは笑う。 「いつも酔っ払っているんだ。泣いている魚もいるし、笑っぱなしの魚もいるよ。説教好きの魚もいてね、そいつは嫌われてる」 何気なさを自然と描けるところが大好きだ。 何も起こらなくて良い。 だらだらとリアルに生きている登場人物を眺めてたい。

Posted byブクログ

2022/11/27

【2022年79冊目】 するっと読めそうだなと思って手に取り、あっさり読了。表現は確かに多彩で豊かだなぁと思う反面、ストーリー的にはそこまで…と思ったり。衝撃を受ける感じではなかったのと、タイトルが微妙に合ってない気がしました。

Posted byブクログ

2022/11/09

タイトル衝撃的だけど、内容はすごく繊細。 沸点低いけど、ちゃんと好きなんだなあって伝わる、磯貝くんがかわいい。 楽しかった夏が終わって秋が来たせつない感じ。 好きが、恋が冷めてそれすらも大切に思うそんな話

Posted byブクログ

2022/10/22

主人公の秋に対する気持ちや寂しさに対する感情が共感できた 「無理に解消しようとしないで、じっと抱きかかえて過ごしていこう。」って 「花火の火は気まぐれに色を変えながら、違う花火に移り続けていく。」 でも今までの全部があったから今があるわけで 過去の全ては今の全てっすね〜てしみじ...

主人公の秋に対する気持ちや寂しさに対する感情が共感できた 「無理に解消しようとしないで、じっと抱きかかえて過ごしていこう。」って 「花火の火は気まぐれに色を変えながら、違う花火に移り続けていく。」 でも今までの全部があったから今があるわけで 過去の全ては今の全てっすね〜てしみじみ思いましたんこぶ

Posted byブクログ

2022/08/28

何気ない日常だけど、例えが面白くて、文も繊細で すごく読みやすかった。 感じ方や解釈が人それぞれな作品だと思う。 友達や好きな人にどう感じたか聞いてまわりたくなる作品。 p60〜61の文が刺さりすぎて 何度も読んでる。

Posted byブクログ

2022/08/15

題名から受ける衝撃ほどはなく、むしろ美しい文体な印象。 絵画の講師と生徒の恋愛。ただセックスも絵画の上達もない、作り過ぎた鍋に蓋をしたように先の見えない2人の関係性… 危うさを含むリアリティ 読みやすかったです

Posted byブクログ

2022/07/01

秋は好きですか?オレは夏が好きだから、秋は『終わり』のイメージです。楽しいことが終わって、ちょっと切ない。でもその、きゅんとする感じも悪くねえかなって 大事な人と抱き合って新しい年を迎えるということは、陳腐なようでいて、実は奇跡だ。布団の国の王様とお姫さまの気分で眠った。 鍋...

秋は好きですか?オレは夏が好きだから、秋は『終わり』のイメージです。楽しいことが終わって、ちょっと切ない。でもその、きゅんとする感じも悪くねえかなって 大事な人と抱き合って新しい年を迎えるということは、陳腐なようでいて、実は奇跡だ。布団の国の王様とお姫さまの気分で眠った。 鍋に蓋して置いて、知らないふりしているところが、二人の先々の暗示みたいだけどね オレじゃ力にならないかな?家に行って、親子丼作ってあげる。苦しい話だったら、避けてもいいよ。ただ側にいてお茶を飲んでよ オレはユリの顔を思い浮かべた。オレには彼女がおばあちゃんになった時の顔は、わからないんだな。でも、最後に会ったときのユリの笑顔は、残っていくんだな。しばらくしてから答えた。会えなければ終わるなんて、そんなものじゃないだろう 花火の火は気まぐれに色を変えながら、違う花火に移り続けていく。

Posted byブクログ

2023/06/10

題名のインパクトで今まで手に取っていなかった作品をアマプラの映画とセットで。原作ではみるめ君をはじめ、淡々とした物分かりの良い登場人物たちが映画ではオーバーに表現されていたところに違和感がありました。蒼井優が尊い映画

Posted byブクログ

2022/06/27

好きな人を前にした19歳の男の子の感情の移り変わりがみずみずしく、もうそばにあるように感じる。ユリと過ごす時間を心から愛おしく気持ちが伝わる。在籍する学生に手を出してしまうユリの危うさも、絵を通じて知り合っていながらもそこは分かり合えないとお互いわかっていて触れないことも、二人の...

好きな人を前にした19歳の男の子の感情の移り変わりがみずみずしく、もうそばにあるように感じる。ユリと過ごす時間を心から愛おしく気持ちが伝わる。在籍する学生に手を出してしまうユリの危うさも、絵を通じて知り合っていながらもそこは分かり合えないとお互いわかっていて触れないことも、二人の行く末を示すような鍋も、先がないとわかっているからこそ今がいかに輝いていて大切なものなのかを表現していて気持ちよく、美しく感じた。

Posted byブクログ