朽ちていった命 の商品レビュー
「おれはモルモットじゃない」 本書のこの言葉を以前から知ってた。苦しみながら生かされる事に何の意味があるのか。医療側のエゴではないのか。それを考えるために、いつか読まなければいけないと思っていた1冊だった。 読み終えて思ったのは、そこに意味があるかないか、エゴがどうかなんて、...
「おれはモルモットじゃない」 本書のこの言葉を以前から知ってた。苦しみながら生かされる事に何の意味があるのか。医療側のエゴではないのか。それを考えるために、いつか読まなければいけないと思っていた1冊だった。 読み終えて思ったのは、そこに意味があるかないか、エゴがどうかなんて、100人いれば100人の答えがあるということ。 ケアにあたった数名の看護師の言葉が記されているが、本当に様々だった。 「いのち」について、大切な人とたくさん価値観を話しておこうと決めた方 「どう生きるか」と同じくらい「どういうふうに死にたいのか」が尊重される世の中であってほしいと願う方 どんな状態でも生きたい、がんばりたいと思うのが人間だから、それに全力で応えたいと語る方 あの治療の意味がいまだにわからずに、自問自答を続ける方 尊厳死という考え方が今ほど浸透していなかった時代のため、スタッフの葛藤はとても大きかったと思う。 医療従事者として最善をつくした方々に敬意を表します。
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NHKのドキュメントを録画してて、ようやく再生、そしてこの本に辿り着いた。 これは次世代に語り継ぐべき内容だ。 医療スタッフ、家族とのやりとり、医療的具体的内容、時を追っての気持ちの変遷など、明細に記録してある。 この事故の後、 「放射線被爆が人体に何をもたらすか、国民こそ...
NHKのドキュメントを録画してて、ようやく再生、そしてこの本に辿り着いた。 これは次世代に語り継ぐべき内容だ。 医療スタッフ、家族とのやりとり、医療的具体的内容、時を追っての気持ちの変遷など、明細に記録してある。 この事故の後、 「放射線被爆が人体に何をもたらすか、国民こそきちんと知るべき」 となっているのにも関わらず、数年後、舌の根も乾かぬうちに、東日本大震災で原発事故になるのである。 この国はどうしたもんだろう?
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一瞬で読み終えてしまった 人間を0.何秒で殺してしまうようなものを作るのも人間、人間を救おうと懸命に治療するのも人間 人間がいかに儚く、残酷で、尊い存在なのかをこの本で学ぶことができた
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「8シーベルト以上の放射線を浴びた場合の死亡率は100%だ」 東海村臨海事故で最も放射線を浴びた大内さんの83日の治療の記録です。 被曝直後は会話も普通にでき、見た目も手に赤みがある程度であった大内さんがだんだんと身体の内側から破壊されていく経過があまりにも恐ろしい。 大内さんは事故時、20シーベルトの放射線を浴びており、端的に言えば死を待つ状態。そんな1人の人間を助けられるかもしれないと治療を尽くした前川先生始め多くの医師や看護婦の奮闘とどんな手を尽くしても日に日に大内さんの身体が壊れていき、この治療は正しいのか?という葛藤や苦悶が記されています。 放射線の恐ろしさと共に「生とは、死とは」を考えさせられる本でした。
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東海村臨界事故が1999年。事件が風化している、と文庫化当時の2006年でも言われていたという。2025年、私はすっかり覚えていなかった。たまたま福島の原発事故について調べていたらこの本の存在を知って、読んだ。杜撰で違法な作業マニュアル、明らかなる人命軽視。臨界事故の瞬間、放射線...
東海村臨界事故が1999年。事件が風化している、と文庫化当時の2006年でも言われていたという。2025年、私はすっかり覚えていなかった。たまたま福島の原発事故について調べていたらこの本の存在を知って、読んだ。杜撰で違法な作業マニュアル、明らかなる人命軽視。臨界事故の瞬間、放射線の中で最もエネルギーの大きい中性子線が作業員の体を貫いた。驚いたのは事故直後は見た目にも意識にもそこまでひどい影響が見られなかったこと。でもこの時点で人間を保つ体の設計図、染色体はぼろぼろに破壊されていた。元気な患者の姿を当初見ていたからこそ、その後の無謀とも思える治療、なのか、延命なのか、を諦められなかったんだろうな。文字通り体が朽ちてゆく。どんどん壊れていく。人間が人間じゃなくなって一体何をもって生きているというのか。医療スタッフ全員が、治療をストップした方が本人のためにいいのではないかと思っていた。でもその一言を自分が言ってしまったら。全員苦悩していただろうな。そして何が正しかったのかその答えはない。放射線というものに対し人間は何もできないということが改めて分かった。 今自分にできることは、被曝の恐ろしさ、原子力のリスクをしっかりと理解して誰かに伝えられる言葉を持つひとりになるということくらい。
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言葉にするのが難しい。 読んでいて苦しくて苦しくて堪らなかった。 大内さんは本当に苦しかったろう、医療従事者の人たちも本当に苦しかったろうと思う。 正直、読みながらこんな苦しみからは早く解放してあげた方が良いのではないかと感じていた。 しかし、心臓マッサージで一度蘇生された...
言葉にするのが難しい。 読んでいて苦しくて苦しくて堪らなかった。 大内さんは本当に苦しかったろう、医療従事者の人たちも本当に苦しかったろうと思う。 正直、読みながらこんな苦しみからは早く解放してあげた方が良いのではないかと感じていた。 しかし、心臓マッサージで一度蘇生された大内さん。ご家族のために、苦しみの中でもなんとか生きよとされていたのかなと思い、解放してあげてほしいと一方的に感じたことを後悔した。 司法解剖にあたった三澤先生が唯一美しいままだった心臓を見て、そこに「生きたい」という意志をみたと話しているのを見ても、そうなのかなと。 大内さんががんばったこと、医療従事者の方たちが悩み苦しみの中で必死で向き合ったことが伝わり、命のあり方、終わらせ方を色々と考えさせられる一冊だった。 最後に。 日本は唯一の被爆国で、核兵器の恐ろしさは理解しているつもりだった。けれど、この本を読んでその恐ろしさを今やっと、理解したように思う。人間は、なんというものを生み出したのだろう。。 もう二度とこのようなことが日本のみならず、世界でも起きないことを祈りたい。
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国内初の臨界事故、当時の最先端の医療での治療記録。文庫本200ページほどなのに内容はものすごく重い。 放射線の恐ろしさはもちろん、命とは、生きること、死ぬこと…医師や看護師たちの苦悩、患者や家族の思いなどを考えると読み進めるのがしんどかった。
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1999年9月に核燃料の加工中に臨界事故が起きた。事故により大量の放射線を浴びてしまった作業員の治療は、東大病院で行なわれた。医師や看護師の懸命な努力と、回復することなく朽ちるように亡くなってしまった作業員の病状が詳細に記録されている。 読みすすめるのがつらかった。被ばくした大...
1999年9月に核燃料の加工中に臨界事故が起きた。事故により大量の放射線を浴びてしまった作業員の治療は、東大病院で行なわれた。医師や看護師の懸命な努力と、回復することなく朽ちるように亡くなってしまった作業員の病状が詳細に記録されている。 読みすすめるのがつらかった。被ばくした大内さんの不安な気持ちや、体をおそう激しい痛みが伝わってくる内容だった。ほんの一瞬、放射線にさらされただけで体中の染色体が壊れてしまう。細胞が二度と分裂することがなく、寿命の短い皮膚のような箇所から壊死していく、その苦しみはいかほどだっただろう。 入院中に心臓が停止してしまった大内さんを蘇生させるため、心臓マッサージが行なわれる場面では、「もうこのままそっと逝かせてあげてほしいと強く願いながらページをめくっていた。蘇生にかかわったスタッフは、「大内さんも、戻ってきたかったんだ」と感じたらしいのだが、自分にはそうは思えなかった。これほどの状態でも生きつづけなければならないのだろうか。 もちろん、医師や看護師の献身的な処置を批判したいわけではない。みんな大内さんのことを心から考えて行動していたのだから。
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ネットで東海村臨界事故の概要は知っていたが、本の場合は感情移入してしまうため、読むのが非常に辛かった。 一番多く感じたのは怒りだった。 どんなに綺麗に言い繕っても、医者に「被曝した人間がどんな経過を辿るのか知りたい」と言う好奇心やエゴが一片もなかったのか。 ご家族も治療に肯定...
ネットで東海村臨界事故の概要は知っていたが、本の場合は感情移入してしまうため、読むのが非常に辛かった。 一番多く感じたのは怒りだった。 どんなに綺麗に言い繕っても、医者に「被曝した人間がどんな経過を辿るのか知りたい」と言う好奇心やエゴが一片もなかったのか。 ご家族も治療に肯定的だったようだが、本当に?と思った。大切な人に生きていてほしいと言う気持ちは分かるが、状況を正しく説明されていたら、延命措置はしないで欲しいと思いそうなものだがどうなんだろう。批判ではなく純粋に疑問に思う。 それから、本人に対する症状や状況の正しい説明と治療方針の確認がなかったことも疑問を感じる。意思疎通出来るうちに、どこまで治療するか確認することはできなかったのか。 一番しんどかったのは、一回心停止したのに蘇生措置をされるくだりだ。 治療をやめる絶好の機会だったのに、何故と思う。
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東海村JCO臨界事故において、最も被曝線量が多かった大内さんの経過と治療を詳細にまとめたノンフィクション作品。 壮絶だった。 なにより治る見込みがほぼ無い状態だが、治療をつづける意思決定の難しさを感じた。 善意を押し付けたとか、それでも見殺しにはできないとか簡単に語れるものではないと思う。 P150.151の >「治るのなら、がんばろうって思うかもしれない。でも治らないんだったら、苦しい思いをずっとつづけさせていくことができるだろうか。いや、それでも、どんな状態であっても生きててほしいとも思う」 や P159 >もう、打つ手がない。 >前にも進めない、後ろにも下がれない。 を読んだときの感情は強烈だった。 仮に自分の家族や大切な人が当事者だったときに、治療を止めるべき判断をできるだろうか。今の私には分からない。
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