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朽ちていった命 の商品レビュー

4.4

198件のお客様レビュー

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2024/05/29

染色体が破壊され皮膚も臓器も再生されない。「朽ち果てる」という以外に言い表せない死である。恐怖と衝撃を受けたと同時に、原発以外でウランを扱う場所があるんだ?そもそも原子力って何?とか疑問が湧き少しググッた。 ウランが核分裂する際の熱を電力に転換するのが原子力発電所。石炭や石油と...

染色体が破壊され皮膚も臓器も再生されない。「朽ち果てる」という以外に言い表せない死である。恐怖と衝撃を受けたと同時に、原発以外でウランを扱う場所があるんだ?そもそも原子力って何?とか疑問が湧き少しググッた。 ウランが核分裂する際の熱を電力に転換するのが原子力発電所。石炭や石油と比べて僅かな燃料で膨大なエネルギーを生み出すことができ、非常にコスパが良い。核分裂が常時持続する状態が臨界で、事故の被害者は放射線が充満する原子炉の中に放り込まれたと同じである。 類を見ない被曝患者の治療は結果としてモルモット的な意味もあったかもしれない。それでも医療関係者はよく患者と家族に寄り添い、力と心を尽くしたと思う。「患者さんが気の毒じゃないか。」その言葉が本音でも建前でも、この負け戦を引き受けた医師には深々と頭を下げたくなった。 自分の無知を思い知ったので、次はアインシュタインを読もう。

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2024/05/19

東海村の事故で被曝した職員の治療に当たった医療関係者たちへのインタビューを中心にした記録 『チェルノブイリの祈り』のあとがきにこの本のことが書いてあったので読んでみた 『チェルノブイリの祈り』にはここまで治療に特化した内容はなかったので、被曝すると何が起こるかが詳細に書かれてい...

東海村の事故で被曝した職員の治療に当たった医療関係者たちへのインタビューを中心にした記録 『チェルノブイリの祈り』のあとがきにこの本のことが書いてあったので読んでみた 『チェルノブイリの祈り』にはここまで治療に特化した内容はなかったので、被曝すると何が起こるかが詳細に書かれていて怖かった 医療関係者たちへのインタビューが中心ということで、どこまで治療を続けたら良いのかという葛藤が多く語られていた 人間はまだ放射能に対しては全くの無力なんだと思った

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2024/04/28

最初は元気な被曝者が徐々に悪化していく 医療関係も未知の症状に 打つ手がなくなっても、最後まで 諦めない努力に感動した 放射能の怖さがわかる本 NHKスペシャルも見れる機会があれば 見てほしい

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2024/02/26

すぐに読み終えた。 エボラやエイズや発症したら死亡率が高い病気、文面でどんな症状か読んでいても実際どんな感じなのか。そんなことが起きた状態で生きているってどういうことなんだろうと思っていた。 致死量の放射線を浴び、即死ではなく徐々に身体が壊れていく様子が書かれている。 自分だった...

すぐに読み終えた。 エボラやエイズや発症したら死亡率が高い病気、文面でどんな症状か読んでいても実際どんな感じなのか。そんなことが起きた状態で生きているってどういうことなんだろうと思っていた。 致死量の放射線を浴び、即死ではなく徐々に身体が壊れていく様子が書かれている。 自分だったらと考えると気が狂う、指先少しフライパンでジュとして水ぶくれ出来ただけで「指だけ取りたいぃぃぃ」なのに、全体の皮膚が無くなるとは…。 絶対に死ぬと決定しているのに治療を続ける。 本人は知っていたのか、家族は少しでも長く生きて欲しい。という気持ちもわかる。医者達はこの治療はなんの意味があるのかと思いながらも初めての症例に挑み続け少しでも効果を期待したい。という気持ちもわかる。 とにもかくにも臨界事故が起きるような過程を指示していたJOCという会社にただただ腹が立った。

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2024/02/22

放射線がどのような影響を与えるのか知りたく調べている内に出会った本。 臨界事故、危機管理の杜撰さへの恐ろしさを改めて感じた。絶対に忘れてはいけない事故。 便利さを手放せないのであれば人間は歴史から学ばなければいけない。人間の尊厳を考えるためにも多くの人に読んでもらいたい。

Posted byブクログ

2024/01/10

恥ずかしながら、この本を手に取るまでこのような凄惨な事件があったことを知りませんでした。 高濃度の放射能を浴びた方がどうなっていくのか、まさに「朽ちていく」という表現が合致すると読んでいて思いました。  読んでいてとてもショックを受けたのと同時にとても考えさせられました。特に看護...

恥ずかしながら、この本を手に取るまでこのような凄惨な事件があったことを知りませんでした。 高濃度の放射能を浴びた方がどうなっていくのか、まさに「朽ちていく」という表現が合致すると読んでいて思いました。  読んでいてとてもショックを受けたのと同時にとても考えさせられました。特に看護師さんの心境が私の胸に突き刺さりました。もし仮に私が看護師さんと同じような状況下にあったら、私もそう考えたと思います。私と同じように若い子年代の方にこそ読んでいただきたいと感じます。(多分ですが若い年代の方は知らない方が多い気がします…。あるいは私が単に無知なだけですが…。)  兎にも角にも、放射能による事故が世界で今後出ないことを祈ります。

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2023/05/14

1999年に日本で起きた放射線被爆事故。 その壮絶な治療の一部始終を克明に記録した書。 染色体がバラバラに破壊され、細胞分裂が停止した体は内側から徐々に朽ちていく。そんな残酷な運命を何とか阻止しようと努力する医者や看護師たちの姿勢に感動した。 そして、助かる見込みのない患者の...

1999年に日本で起きた放射線被爆事故。 その壮絶な治療の一部始終を克明に記録した書。 染色体がバラバラに破壊され、細胞分裂が停止した体は内側から徐々に朽ちていく。そんな残酷な運命を何とか阻止しようと努力する医者や看護師たちの姿勢に感動した。 そして、助かる見込みのない患者の苦痛を引き延ばしてでも治療することに意味はあるのかという葛藤は、私の想像をはるかに超えている。 放射線の恐ろしさと、延命治療の是非を学ぶための教科書にふさわしいと思った。

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2023/03/29

読んだ後どれだけ辛くても、暗い気持ちになっても、絶対に目を背けてはいけない事実。 23年間この事故を知らずに生きてきた。 東海村臨界事故の治療にあたった医師に出会い、臨界事故や治療の話を聞いたことで、この臨界事故ことをしっかりと知らなければならないと思った。 すべての医療従事...

読んだ後どれだけ辛くても、暗い気持ちになっても、絶対に目を背けてはいけない事実。 23年間この事故を知らずに生きてきた。 東海村臨界事故の治療にあたった医師に出会い、臨界事故や治療の話を聞いたことで、この臨界事故ことをしっかりと知らなければならないと思った。 すべての医療従事者に届いてほしい。

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2023/09/05

 本書に記録されたある被爆者の治療過程は、我々が想像できる恐怖を超えている。皮膚がガーゼとともに剥がれ落ち、消化器は内側から焼けただれる。放射線被曝の恐ろしさが伝わってくる。  近年、政府が原子力発電所の再稼働へ舵を切ろうとするなかで「致死量の放射線被曝」というものが如何なるもの...

 本書に記録されたある被爆者の治療過程は、我々が想像できる恐怖を超えている。皮膚がガーゼとともに剥がれ落ち、消化器は内側から焼けただれる。放射線被曝の恐ろしさが伝わってくる。  近年、政府が原子力発電所の再稼働へ舵を切ろうとするなかで「致死量の放射線被曝」というものが如何なるものかということは、私たちが知っておくべき事実ではないか。そしてそれは私達が原子力のリスクをどう判断するかということに1つの観点を与えうると考える。世間一般における原子力発電の議論は、事故が起きたときのリスクとそれから得られる便益との対比によってよく議論される。その際のリスクの視点というのはおそらく多くの場合、福島第一原子力発電所で起きた事実を基準とすると思われる。その基準の1つ目は広範囲における放射性物質の拡散によって人々が居住地域を追われること。 2つ目は高濃度の放射性物質を孕む原発の廃炉作業の困難。 3つ目は放射線による健康被害である。 この3つ目の視点において、福島第一原発の事故を経験した私たちが想像できるのは"直ちに影響がない"放射線やその蓄積による健康被害となるだろう。 たが、これでは原子力の健康被害リスクを十分に考えたことにはならない。本来であればそのことに加えて、致死量の放射線被曝が我々に降りかかるかもしれないということ。それが我々に間違いなくもたらす地獄があることを勘定しなければならないはずだ。  自分や家族が放射線被曝にあったとき、我々はそのリスクを知らなかったでは済まされない。原発を設置するという判断は極めて政治的であり、その政治を決めるのは私たちだ。

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2022/08/28

被爆事故の現実を知りたくて、信頼できる文献を探していた折、本書に出会った。 細胞が複製をやめて身体が朽ちていくという状態を、誰が想像できるだろうか? 死に方を分類するわけではないが、生物としてあまりにも「不自然」な最期であると思う。 核には、底知れない恐怖とエネルギーがまとわり...

被爆事故の現実を知りたくて、信頼できる文献を探していた折、本書に出会った。 細胞が複製をやめて身体が朽ちていくという状態を、誰が想像できるだろうか? 死に方を分類するわけではないが、生物としてあまりにも「不自然」な最期であると思う。 核には、底知れない恐怖とエネルギーがまとわりついているように感じた。 現実問題、兵器であれエネルギーであれ、核の利用がなくなることはいまのところないのだろう。 「人間は核を制御できるのだ」という傲りは捨て、利用する以上は謙虚に慎重に核を扱っていきたいと一人間として思っている。

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