いつか王子駅で の商品レビュー
12/16 あまり現代っぽくない書き方をする。 下町の書き方が上手いのか、下町が好きになってしまった。
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母の実家周辺が舞台なので、興味を持ちました。 それだけの理由で読んだので、展開は期待外れ!? でも、町並みはとてもよく表現されていて、嬉しい気持ちになりました。
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「変わらないでいたことが結果としてえらく前向きだったと後からわかってくるような暮らしを送るのが難しい」 都電荒川線の走る街、王子・尾久界隈が舞台。 心地よい余韻があり、「待つこと」についてや、他人や自分のための「のりしろ」のある生き方について思いを巡らす箇所が沁みます。 都...
「変わらないでいたことが結果としてえらく前向きだったと後からわかってくるような暮らしを送るのが難しい」 都電荒川線の走る街、王子・尾久界隈が舞台。 心地よい余韻があり、「待つこと」についてや、他人や自分のための「のりしろ」のある生き方について思いを巡らす箇所が沁みます。 都電に乗りに行きたくなります。
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なんだなんだ、 この人は(著者と登場人物を重ねて読むという愚考) スキゾイドだと思ったのに、あれ、そうでもない? というようなことを思ったことは、 置いておいて。 だって淡くだけれど、恋愛の影が見えるじゃない。 そんな、もっと他者って遠いものじゃないの? と思ったのは、別に、嬉...
なんだなんだ、 この人は(著者と登場人物を重ねて読むという愚考) スキゾイドだと思ったのに、あれ、そうでもない? というようなことを思ったことは、 置いておいて。 だって淡くだけれど、恋愛の影が見えるじゃない。 そんな、もっと他者って遠いものじゃないの? と思ったのは、別に、嬉しい驚きではあったが。 しかし、最後のスピード感。圧巻。 って、これじゃ、ただの雑感。
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ワインを飲みながら読んでいたらうたたねでした。 そんないい小説です。 最後の2ページに感動。 競馬、居酒屋、電車、自転車、古本。 下町情緒あふれる、しかしちょっと独特な世界です。 明日荒川線に乗りに行きます。 この本を持って。
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タイトルに惹かれて、つい手に取った。 「いつか王子様が」、someday my prince will come。ジャズのスタンダード曲のタイトルが思い浮かんだのだ。 そして、引き込まれた。その、王子駅周辺で展開する日常の描かれ方に。
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名古屋出張の帰り、豊橋駅から新幹線こだまに乗る。乗った時に既に午後七時を過ぎているから、品川駅に着くころ、午後九時は過ぎてしまう。 窓から映る景色は、一様に真っ暗で、時折街の輝きが目に入るくらいだった。 堀江敏幸さんの初の長編と言えど、文庫化してしまえばこんなものか、というくら...
名古屋出張の帰り、豊橋駅から新幹線こだまに乗る。乗った時に既に午後七時を過ぎているから、品川駅に着くころ、午後九時は過ぎてしまう。 窓から映る景色は、一様に真っ暗で、時折街の輝きが目に入るくらいだった。 堀江敏幸さんの初の長編と言えど、文庫化してしまえばこんなものか、というくらい薄かった。こだまで帰るのであれば、ちょうど読み終わるくらいだろう、と高をくくっていたのだが、実際ものの見事に予想が的中したことには驚いた。 独白のように滑らかな文体。丁寧で精密な句読点。少しばかり頭でっかちな講釈。堀江さんの小説は、常に景色を飲み込んでしまう。 真っ暗ななか、ポツリポツリと輝く街の明かりを視覚の端で捉えながら、その中心は小説の文字を追う。意味が景色に溶けていくと、真昼の景色さえも、夜の描写のように感じさえするのだった。 「おまけに『馬』のイチゴを入れた大多数の生徒のなかに、馬の毛は赤茶色だと説明があるにもかかわらず、『サーカスの白い馬』と書いて笑われたダンシ生徒もいたらしい」 人の記憶は曖昧で、おぼろげなものだ。実際に真実の記憶などは存在しないかもしれない。意識しだいで、記憶は改ざんされる。けれど、正しい答えが正しいとは限られない。完璧ではなく、現実なのだ。
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タイトルのロマンシーさといい、後ろ表紙の「背中に彫り物のある人を待って・・・」といううたい文句といい、堀江氏には珍しい恋愛小説化、と思いきやはなから銭湯で彫り物の人出てきて、待ってる人もおっさんだった。びっくりした。
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話としては何が起きるでもなく、淡々と自分の好きなことを語っているだけなんですけど、そのマイペースさというか自分の世界を持って大事にしている感じが好きです。主人公の一人語りが押し付けがましくないのがいいんでしょうか。特に話してる内容に興味なくても「ふ〜ん」と聞いていられる。穏やかで...
話としては何が起きるでもなく、淡々と自分の好きなことを語っているだけなんですけど、そのマイペースさというか自分の世界を持って大事にしている感じが好きです。主人公の一人語りが押し付けがましくないのがいいんでしょうか。特に話してる内容に興味なくても「ふ〜ん」と聞いていられる。穏やかで余分な力が抜けて、けど読み込めばしっとりとした感動が味わえそうです。
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読了ーv 本自体は薄いんだけど、あなどるなかれ。非常に読み応え充分な一冊でした。 一ページ当りの文字の量がすごく多い。ほぼ全面文章。句読点が少なくて長い一文に最初は、どういう呼吸で読んでいいのかとまどったけれども、最初の章を読み終わる時にはコツを掴めた。逆に読み進めるうちに「癖」...
読了ーv 本自体は薄いんだけど、あなどるなかれ。非常に読み応え充分な一冊でした。 一ページ当りの文字の量がすごく多い。ほぼ全面文章。句読点が少なくて長い一文に最初は、どういう呼吸で読んでいいのかとまどったけれども、最初の章を読み終わる時にはコツを掴めた。逆に読み進めるうちに「癖」になってくるぐらい。 時代設定はどれくらいなのだろう。昭和の終わりなのかな。東京荒川、王子駅、尾久駅周辺を舞台に、臨時職員の教職と翻訳で生活している「私」を取り巻く市井の人の姿を描いているが、この「私」の好みがこの作品をより味わい深くさせていると思う。 古米を好み、ジリジリなる黒電話を愛し、路面電車の一瞬の風景を愛す、その反面、自分が惚れ込んだ競馬の馬の話になると、一気に盛り上がったりもする。その緩急が新鮮でした。 私、この作品読んで「島村利正」「瀧井孝作」をはじめて知りました。この引用もいいんだよねぇ。「私」がこの人たちの作品を本当に好きなのが感じられる。読んでるこっちも、この人たちの作品を読んでみたくなるもんね。 先に、エッセイを読んでいたせいか、時々「私」と「作者」がだぶってしまいそうになるけど、そう結びつけるのは見方を限定していまいそうだし、それで終わっちゃ、この話はもったいない(笑)。 ゆるゆる味わい楽しんで読んでほしいなぁ。 個人的には、もう少し堀江敏幸の「小説」を読んでみたいです。うん。 + + + 『傭兵ピエール』と一緒に掴んで来てしまった(笑)。2008.08.04.
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