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わが悲しき娼婦たちの思い出 の商品レビュー

3.8

51件のお客様レビュー

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    11

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

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2016/09/17

「満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた。」という一行目の文章が大好きです。この発想がおもしろいです。どんな物語なのだろうかと、想像が膨らみます。 まず、主人公は九十歳になっても自分の誕生日を祝おうとしています。この年齢になっても誕...

「満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた。」という一行目の文章が大好きです。この発想がおもしろいです。どんな物語なのだろうかと、想像が膨らみます。 まず、主人公は九十歳になっても自分の誕生日を祝おうとしています。この年齢になっても誕生日が来るのが嬉しいのでしょうか。物語の中で、少女デルガディーナのために買った自転車に乗って歌いながら走ったりする場面もあり、主人公は年齢を感じさせない若さを持った人物でした。 また、最初に「処女を狂ったように愛して」と決めてからデルガディーナに会っており、愛そうと決めて本当に愛せるものなのかと疑問でした。しかし、主人公はデルガディーナに恋をします。人生で初めての恋です。恋わずらいもします。愛すのではなく、恋したからこそ、デルガディーナの裸体を見詰めるだけで喜びを得ることができたのかなと思いました。 最後の場面、主人公は娼家の女主人ローサ・カバルカスに「あの子はあんたに首ったけよ(p126)」と言われます。そして、百歳という年齢にいる自分自身の姿を目にしたような気持ちになります。九十歳になっても幸せな未来を想像できるのは、恋の力のおかげなのかなと感じました。

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2014/11/16

マルケスの中では格段に読みやすい作品だと思われる。 90歳にて初恋を迎えた男の話。 タイトルから、もっと生々しくて熱っぽい性愛の話かと思っていたんだけど、純愛だったことに驚き。 何か既視感を感じるなあと思っていたら、今年見た「鑑定士と顔のない依頼人」という映画を思い出した。 と...

マルケスの中では格段に読みやすい作品だと思われる。 90歳にて初恋を迎えた男の話。 タイトルから、もっと生々しくて熱っぽい性愛の話かと思っていたんだけど、純愛だったことに驚き。 何か既視感を感じるなあと思っていたら、今年見た「鑑定士と顔のない依頼人」という映画を思い出した。 といっても共通するのは老人の初恋というだけで、ヒロイン像やストーリーは全然違うけど。 なんか愛って……イイネ……と思うけど、どこかファンタジーというか浮世離れした雰囲気もある作品。

Posted byブクログ

2014/05/18

書き出しが、もう知らんよと言いたくなる、弾けっ振り。 「満九十歳の誕生日に、うら若き処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝にしようと考えた」。 この奇想を小説化してみようと考えた動機が、非常に気になる一冊。そしてこの奇作が最後の小説になったということを思うと、奇妙な温かみが心に残...

書き出しが、もう知らんよと言いたくなる、弾けっ振り。 「満九十歳の誕生日に、うら若き処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝にしようと考えた」。 この奇想を小説化してみようと考えた動機が、非常に気になる一冊。そしてこの奇作が最後の小説になったということを思うと、奇妙な温かみが心に残る。

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2014/02/04

130pのマルケス。90歳のおじいちゃんが14歳の少女を「狂ったように愛する」というのが、比喩でも何でもなくて、いかにも自然に、本当にそうなところが南米らしい。カラリとしていて、その実引力とテンポに反してある重力は老いの先にある死で、でもラストはやっぱり軽やか、という。あと、主人...

130pのマルケス。90歳のおじいちゃんが14歳の少女を「狂ったように愛する」というのが、比喩でも何でもなくて、いかにも自然に、本当にそうなところが南米らしい。カラリとしていて、その実引力とテンポに反してある重力は老いの先にある死で、でもラストはやっぱり軽やか、という。あと、主人公のいじらしさ。90本のろうそくを立てたプディングで誕生祝いする場面、ラスト付近で(もういいおじいちゃんな)主人公が暴れるシーンなんて、ぐっときてしまった。「本当らしさの限界というのは、われわれが考えているよりも広がりのあるものなんだ」なぁんて、かっこいいなあと思うのだけど、納得の物語だった。

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2013/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

川端「眠れる美女」のほうが何倍もフィットする。思えばあの作品は毒そのものだった。陰そのものだった。 かたやこちらは、陽。あっけらかんとしているというか、カラッとしている。むしろさわやか。精力。 幻想も……恋をするとまるであの子がずっとそばにいるように思えるね、という程度。これには父母に関するイリュージョンが絡んでくるが。 眠る少女と見る老人が、まさかあんなラストを迎え、さらにラストシーンのその後を想わせるとは!

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2013/03/26

ガルシアマルケスの本はたまに読みたくなる。 何度も読み返したいという気はあまりしないので、その都度新しい本を読んでいたが、ついに読み切ったと思ってからずいぶんたちます。 この本が出ていたの気が付かなかった。 自分とは大分年齢の違う主人公だけど、恋の気持ち、音楽、結婚、生活など共通...

ガルシアマルケスの本はたまに読みたくなる。 何度も読み返したいという気はあまりしないので、その都度新しい本を読んでいたが、ついに読み切ったと思ってからずいぶんたちます。 この本が出ていたの気が付かなかった。 自分とは大分年齢の違う主人公だけど、恋の気持ち、音楽、結婚、生活など共通する感覚があることを感じる。 なぜかな。

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2013/10/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まず状況設定が面白い。九十歳の老人が十四歳の少女に恋をする。それも相手は眠ったままという、普通だったら考えられない途方もない状況を、何でもないありふれた日常を語るように淡々と綴っていくその様にマジック・リアリズムの神髄を見る思いがする。 次に、下手をしたら野卑になりかねない老人の私娼窟通いの日々を、ラテン・アメリカらしい明るさに満ちた祝祭的な雰囲気の中に置くことで、陰惨さのかけらもないおおらかで幸福感に溢れた仕上がりになっていること。読後感が爽やかで、読者を元気にさせてくれる。 それに、主人公の人物造型が実に魅力的だ。容貌は冴えないが、馬並みの一物を持ち、若い頃から娼婦のもとに通い詰め、五百人を超える女と相手をしたというカサノバ級の猛者でありながら、音楽と古典文学に造型が深く、外国語に堪能でその特技を生かして長い間新聞記者として、文化欄のコラムを担当するという表向きの顔も持っている。長年に渉って、物を書いてきたことにより老コラムニストは、周囲の敬愛を受けている。 この「博士」が、九十歳の誕生日を迎えようとする前日の朝、突然神の啓示のように「満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしよう」という思いつきを得たのが、ことのはじまりである。古馴染みで政界にも顔の利く私娼窟の女主人を介して、十四歳の処女を紹介してもらうのだが、薬を飲んで眠っている少女の健康的で美しいからだと裏腹な身なりの貧しさに感情を揺さぶられ、何もせずに眠るのだった。 その日を境に、老人は自分の部屋にいても少女が傍らにいるような気がしてならない。九十歳にして初恋を経験したのだ。臆病な性格で恋愛には不向きだと自らを律し、表向きはモラリストを演じ、性欲は金で解決してきた男が、九十歳を前にしてやっと、自分の真の姿を発見し、それと和解するという幸福なストーリー展開。 言うまでもなく川端康成の『眠れる美女』から設定を借りて書かれた作品だが、じめじめした日の当たらない島国から雨季と乾季の劇的に転換する新大陸に移植された植物が大輪の花を咲かせたように、まったく別の物語になっている点が見事。 魅力的な登場人物には、事欠かないが、私娼窟を営むローサ・カバルカスは、戦友にも似た立場で老人の再生劇を傍らで見守る。また、古いなじみの娼婦で、老人の性技だけでなく人間的な魅力をよく知るカシルダ・アルメンダは、少女に会えぬことで悩む老人を慰める。二人の港での語らいは、しみじみとした余韻を残す。 若い頃からいる家政婦のダミアーナは老人に処女を奪われて以来、ずっと老人を慕い続けてきた。「もし結婚していたらいい夫婦になっていただろうな」という老人に「今さらそう言われても」と応えるのだが、しばらくしてから、家中いたるところに真っ赤なバラの鉢植えが置かれ、枕許のカードには「ひゃくさいまで長生きされますように」の言葉が。 胎児の恰好をして眠る少女は九十歳にして青年のように甦る老人の「死と再生」の隠喩だろう。少女デルガディーナが、眠りながら老人の愛撫やキスに応え、瞬く間に女として成長し美しくなっていくあたりの描写は『百年の孤独』を思い出させる魔術的な文章詐術で、南米コロンビアのうだるような熱さや、嵐のようなスコールを描く筆とともに文章に酔わされる思いが深い。何度でも読み返したくなる一冊である。

Posted byブクログ

2013/03/08

主人公がとても魅力的だった。 「あの子はあなたに首ったけよ」 という言葉に泣いてしまった。 美しい恋の物語。 娘目線のバージョンも読んでみたい。

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2012/08/25

小説の書き出しはこうである。 ---満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた--- この冒頭の一文がまさにこの小説のストーリーの要約である。 カルシア=マルケスの書き出しは他の作家の比類を見ないほどインパクトが強い。 『予告され...

小説の書き出しはこうである。 ---満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた--- この冒頭の一文がまさにこの小説のストーリーの要約である。 カルシア=マルケスの書き出しは他の作家の比類を見ないほどインパクトが強い。 『予告された殺人の記録』の書き出しはこうだ。 ---自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝五時半に起きた--- どうして殺されたのか、被害者はどういう人物なのか、読者の好奇心は否応なく掻き立てられる。 本書、『わが悲しき娼婦たちの思い出』の書き出しも、あまりに強烈で肝をつぶしてしまう。 訳者の木村栄一さんもあとがきに書かれているが、訳者の木村さんもこの書き出しには違和感を感じたのだという。 木村さんの感じた違和感は、90歳という年齢の主人公が自分の誕生日を祝うという発想の奇妙さと、その誕生祝がうら若い処女である必要があるのか。 ということだが、全く同様のことを私も感じた。 この主人公は昔馴染みの娼家のおかみに頼んで14歳の女の子を紹介して貰う。 かくして90歳は、14歳の女の子と何度か夜を共にする。 『コレラの時代の愛 』で、老年の愛、そこに至るまでの壮大な人生の記憶をガルシア=マルケスは巧みに描ききった。 本書も主題としては、51年間9ヶ月ひとりの女を思い続けるという『コレラの時代の愛』と同じくらいラディカルであり、『眠れる森の美女』から発想を得て着想したことを明らかにし、冒頭にも川端康成の文中引用をしている。 しかし、この小説には、冒頭の言葉で感じた違和感や奇異なる感情がずっと消えずに最後まで残ってしまった。 90歳の主人公の老人は非常に元気である。 結婚はしたことはなく独身で、若いときはお盛んで、514人の女を抱いたのだという。 最もこれは50代までの数で、メモにつけていた人数らしい。まるでヴィクトル・ユゴーのように(笑) でも、彼はロリコンでもなんでもなく90歳で、なぜ14歳を性的対象として求めたのか・・・ 孤独を満たすのなら、猫でも犬でもいいではないかと気づく読み手のこともちゃんと考えて、猫も登場させているが、そりゃ猫よりは14歳がいいのに決まっている。 決まってはいるが、妄想ではなく実際、14歳をゲットする90歳がいるだろうかというこの犯罪的ともいえる主題に私は嫌悪感を覚えてしまったのかもしれない。 訳者の木村さんは、あとがきの最後で、ふたたび、この書き出しの部分に言及し、独自の見解を導き出しているので読んでいただきたいと思う。

Posted byブクログ

2012/03/26

確かに読後感は悪くなかったのだが、 どうも私好みのテイストではなかったようだ。 しかしこの読み応えはさすがだと言わざるを得ない。 それにしてもあの婆さん、胡散臭い。

Posted byブクログ