容疑者Xの献身 の商品レビュー
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2022/01/30(日)記述 容疑者Xの献身 2005 東野圭吾による作品。 単行本2005年8月文藝春秋刊 文春文庫2008年8月10日第1刷 初出「オール讀賣」2003年6月号~2004年6月号 2004年8月号~2005年1月号(「容疑者X」を改題) 東野圭吾氏は今や誰もが知る小説家だ。 世の中に広く知られるきっかけとなったのは間違いなくこの作品だ。 この容疑者Xの献身以前と以後では東野作品は異なる。 誰かをかばう為に無実の人が自ら虚偽の自白をする。 なんということだろうか。 たとえ家族であってもこうはできまい。 直木賞を獲得できたのも納得だ。 私も初めて東野圭吾作品を読んだのは2012年。 もう10年前だ。そしてそれはこの作品だった。 ただこの作品後の東野作品は時々、この手の誰かをかばっているパターンが 何度か出てきて流石にしらける。 もちろん小説家は大量の作品を書き続ける力が大切なので量産できることは 必要不可欠ではあるのだが・・・・ 他に石神の数学を学ぶ理由を生徒達に教える所などはなるほどと思わせる所がある。 ただ学校教育レベルの数学はあくまで数学の資質を持つものを選別する意味しかないのだという身も蓋もない現実がある。 受験数学と本来の数学との違いを指摘する人も多い。 まあ、そもそも受験数学、学校の定期試験レベルの数学でも難しい人が多いのが現実なのだからその辺は石神も諦めてもらうしかないと思う。 また男女の愛、ルッキズムなど橘玲氏がよく指摘する問題も内包しており色々考えさせられる所が多い。 印象に残った所 これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。 いやそもそも、この世に存在することさえ知らなかった。 石神のあの無表情の下には、常人には底知れぬほどの愛情が潜んでいたのだ。 微分積分なんて一体何の役に立つんだよ。以前、森岡が発した質問を石神は思い出した。 オートレースを例に出して、その必要性を説明したが、果たして理解できたかどうかは怪しい。だがあんな質問をしてきた森岡の姿勢が、石神は嫌いではなかった。 なぜこんな勉強をするのか、という疑問を持つのは当然のことだ。 その疑問が解消されるところから、学問に取り組む目的が生まれる。 数学の本質を理解する道にも繋がる。 ところが彼等の素朴な質問に答えようとしない教師が多すぎる。 いや、たぶん答えられないのだろうと石神は考えていた。 本当の意味で数学を理解しておらず、決められたカリキュラムに従って教え、 生徒に一定の点数を取らせることしか考えていないのだから、森岡が投げかけたような質問は、ただ煩わしいだけなのだ。 こんなところで自分は何をしているのだろう、と石神は思った。 数学の本質とは無縁な、単に点数を稼がせるための試験を受けさせている。 その採点をすることにも、それによって合否を決めることにも、何の意味もない。 こんなものは数学ではない。 もちろん教育でもない。 森岡じゃなくても、ここにいる他の誰かがなるかもしれない。 その誰かのために数学という授業はある。 いっておくが、俺が君たちに教えているのは、数学という世界のほんの入口にすぎない。 それがどこにあるかわからないんじゃ、中に入ることもできないからな。 もちろん、嫌な者は中に入らなくていい。 俺が試験をするのは、入り口の場所ぐらいはわかったかどうかを確認したいからだ。
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私にとって、初めてのガリレオシリーズ 天才による、まさに命懸けの一方通行の恋愛 好きな人のために犯罪を二重に犯して、罪を被るなんて、純粋過ぎる
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今まで短編で構成されていたガリレオシリーズ、初めての長編小説 今回の話の中で、湯川という男の実態がさらにはっきりしたように思える 湯川と同等かそれ以上の力量を持つ犯人に踊らされる警察 煽り文句である"これほど深い愛情"という言葉が相応しい作品 今までのガリレオ...
今まで短編で構成されていたガリレオシリーズ、初めての長編小説 今回の話の中で、湯川という男の実態がさらにはっきりしたように思える 湯川と同等かそれ以上の力量を持つ犯人に踊らされる警察 煽り文句である"これほど深い愛情"という言葉が相応しい作品 今までのガリレオシリーズで一番面白かった
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余りミステリーものは好きではないけれど、先が気になって、どんどん読み進めてしまいました。楽しかったです。
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ようやく直木賞を受賞した東野圭吾の代表作。 密かに隣人の花岡靖子に憧れを抱く数学教師・石神。 ある日その靖子が元夫である富樫を殺害してしまう。 その事実を悟った石神は、靖子の為にある策を講じる事にした。 一方、警視庁捜査一課の草薙は靖子の近辺を調査するうちに、 石神が親友の物...
ようやく直木賞を受賞した東野圭吾の代表作。 密かに隣人の花岡靖子に憧れを抱く数学教師・石神。 ある日その靖子が元夫である富樫を殺害してしまう。 その事実を悟った石神は、靖子の為にある策を講じる事にした。 一方、警視庁捜査一課の草薙は靖子の近辺を調査するうちに、 石神が親友の物理学者・湯川の同級生である事を知る。 湯川はその事実を聞き、自身が天才と認めた相手である石神に会いに行くが。。。 いわゆる「ガリレオ先生」シリーズであるが、前2作は短編集であるのに対して 湯川学が初の長編登場である。 シリーズの展開は概ね「超常現象じみた事件を物理学者である湯川がバッサリ斬る」といった感じで、 どちらかと言えば楽しげな内容であった。 が、 本作はシリーズの空気が一変。 超常現象もなければ、物理学的な解説も無い。 ただ“天才・石神”vs“天才・湯川”の構図があるだけだ。 石神は学生時代、湯川が唯一認めた相手。 最初は「昔の良きライバル」に出会えたという事で石神と会っていた湯川だが、 徐々に石神への疑いを深めていく。そして疑いは確信へと変わっていく。。。 結局、石神を理解できたのは湯川だけだったのだろう。 石神の愛情とその献身。そして靖子を救う為に考え出された策。 その素晴らしさと奥深さにはしてやられた。 感動と悲しみが心に残る。 それにしても、石神の行ったアリバイトリックにはやられた。 まさか捜査の大前提を覆しているとは…。 これを考えた東野圭吾はやはりすごいと感心せずにはいられない。 小説としての感動と、ミステリとしてのトリックが高いレベルで融合した逸品。 文句なしの満点。是非読んでほしい。
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最後トリックが全部わかったときの真相にすごい驚きとドキドキが止まりませんでした。ページが多いけどあっという間に読めちゃいました! 改めてミステリー小説は面白いと思いました(*^▽^*)
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続きが気になって一気に読んだ 石神って何者!?なんか不気味で変な人…学校の先生なのか〜…って思いながら読み進めていった 愛する人を守るために、自分がかわりに罪を追う 凄いなぁ 昔読んだラバーソウルを思い出した 登場人物が多くないのが良い、分かりやすい
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人を想う心がタイトルになったような感じだった。 ミステリーなんだけど、優しいミステリー。 犯人はきっと幸せだったと思う。
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情景が浮かび、ただただ切なくなる。才能があってもそれを活かしきれない人生があるのもまた現実。何回読んでも引き込まれてしまう。素敵な一冊
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自分の大切な人に勧められて読んだ。 何がどうなっているのか、最後まで読んで全てが明らかになった。 あそこまで家族や恋人でもない他人のことを愛し、守り抜き、最後叫んだのはとても印象的だった。
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