1,800円以上の注文で送料無料

NHKにようこそ! の商品レビュー

3.5

174件のお客様レビュー

  1. 5つ

    32

  2. 4つ

    49

  3. 3つ

    51

  4. 2つ

    17

  5. 1つ

    7

レビューを投稿

2016/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「死のう、もう死のう。しかし俺は死なない。なぜならば、今日は天気がいいからだ。」(p46)  この軽々しく死のうと思って、すぐに撤回する感覚は、私にはすっと馴染んできました。「あー死にたい」とか思った直後に、「でも死ななきゃならんほど何か具体的な苦しみがあるのか?いや無いよなあ」となるんですね。 「自分を苦しめている仮想敵。それがNHKの本質だ。」(p303)  自分の中で発生増殖する、漠然とした苦悩。それを仮想敵として名付けるというのは、つまりそれを何らかの実体として見たいということ。実体としての敵がいれば、まだ戦ったり、逃げたり、恨んだりができるから。でも、そんなものは実体としては存在しないことを佐藤(主人公)は分かっているんですね。じゃあ、どうやって敵を倒すの?というのは物語のハイライトなので読んで確かめて欲しい所です。  なお、本書を読む前に数話でいいのでアニメ版を視聴しておくことをおすすめします。岬(ヒロイン)を演じる牧野由依さんの声がすばらしく可愛いので、その声をイメージしながら読まないと損です。

Posted byブクログ

2016/08/18

主人公の佐藤達広は、大学を中退して4年間の引きこもり生活を送っている青年です。彼はある日、中原岬という少女から「あなたは私の『プロジェクト』に大抜擢されました。ですので、今夜九時に、三田四丁目公園に来てください。」と書かれた手紙を手渡されます。何がなんだか分からないまま、佐藤青年...

主人公の佐藤達広は、大学を中退して4年間の引きこもり生活を送っている青年です。彼はある日、中原岬という少女から「あなたは私の『プロジェクト』に大抜擢されました。ですので、今夜九時に、三田四丁目公園に来てください。」と書かれた手紙を手渡されます。何がなんだか分からないまま、佐藤青年が指示された公園へ向かうと、彼の到着を待っていた岬ちゃんは、引きこもりの脱出方法を教えてくれると言います。 こうして佐藤は、毎日公園で彼女に会い、引きこもり脱出プロジェクトを受けることになります。その一方で、アパートの隣の部屋に住んでいる後輩の山崎といっしょにエロゲー制作をめざしたり、ドラッグでラリったりして、かなりぶっ飛んだ引きこもり生活を送りますが、やがて彼は岬ちゃんの過去を知り、彼女が心に抱える傷に触れて、引きこもりの自分が彼女を救うことができるのか、という問題に向き合わされることになります。 ゼロ年代のサブカルチャーを席巻したボーイ・ミーツ・ガールのストーリーを、引きこもり青年とトラウマ少女の救いのない物語に仕立てた作品という印象です。今回読み返してみて、やっぱり私自身のサブカルチャー体験はこの時代の空気に規定されていることを再確認しました。もっとも、この場所にとどまり続ける限り、とぐろを巻くように自意識が折り重なっていくばかりでどこにも行きつかないということもよく分かってはいるつもりなのですが。

Posted byブクログ

2016/08/04

 最初にこの本を読んだのは高校生の頃だった。あれから時は過ぎ、私もはや佐藤くん(主人公)の年齢を越してしまった。  今になって、この物語を読み返すと、描写の一つ一つが痛く心に刺さる。就職もせず、進歩のない日々と己の無能を嘆き続けるモラトリアムの居心地の良さに慣れきってしまっている...

 最初にこの本を読んだのは高校生の頃だった。あれから時は過ぎ、私もはや佐藤くん(主人公)の年齢を越してしまった。  今になって、この物語を読み返すと、描写の一つ一つが痛く心に刺さる。就職もせず、進歩のない日々と己の無能を嘆き続けるモラトリアムの居心地の良さに慣れきってしまっている自分には、他人事には思えなかった。  しかし、そんな怠惰な生活は長く続かない。それがいくら馬鹿馬鹿しくて滑稽でどうしようもないものであっても、いつかは現実の日々と向き合っていかなければならない。そんなことに気付かされもした。

Posted byブクログ

2016/07/30

落ちこぼれたと自覚している人間なら共感せずにはいられない、行き詰ってるけど愛すべき登場人物たち。独特のスピード感のある文章。笑わせながら、ふと気づけばひたひたと水面が足元から顔に昇ってくるような閉塞感。滝本さんにはもっとたくさん作品を書いてほしい。あと、岬ちゃんかわいい。

Posted byブクログ

2015/07/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「NHK=日本ひきこもり協会」と考えている大学中退・絶賛引きこもりの22歳男子が主人公。 18歳の女の子と「引きこもり脱出サポート契約」をする。 おそらく引きこもりをテーマにした日本発の小説だと思う。

Posted byブクログ

2017/06/17

10代の頃から大槻ケンヂの小説を愛読してたんだけど、しだいにオーケンは「のほほん」を深め、毒が減っていった。 「くるぐる使い」や「新興宗教オモイデ教」を書き、「いくじなし」や「サンフランシスコ」を歌いあげたオーケンが…と、それはそれでひとつの到達点として感慨深いが、そんな時期、...

10代の頃から大槻ケンヂの小説を愛読してたんだけど、しだいにオーケンは「のほほん」を深め、毒が減っていった。 「くるぐる使い」や「新興宗教オモイデ教」を書き、「いくじなし」や「サンフランシスコ」を歌いあげたオーケンが…と、それはそれでひとつの到達点として感慨深いが、そんな時期、彗星の如く現れたのが、オーケンの影響を受けていて別の毒も持った滝本先生だった、というような印象。 鬱屈した日々を過ごす佐藤くんに最終的な救いを与えたのは、創作活動でもアツい友情でも高嶺の花の先輩でもなく(それらも大切に描かれているが)、 マチズモすら感じさせるような共依存的な人間関係だったという甘い(現実感は薄い)話を前向きに提示する本作品には、発表時の時代感にとっても妙なリアリティーがあったのは間違いないと思う。 その大きな優しさを前にまさに”口も耳も目も洪水”である。

Posted byブクログ

2014/12/23

大学を1年目で中退して、以来4年間引きこもりしている25歳男の話。なぜか、こういう話だと綺麗な女性と知り合いになるという展開になるんですが、案の定という感じ。途中ダレたけど、最後の方は結構面白かった。

Posted byブクログ

2014/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【本の内容】 俺は気づいてしまった。 俺が大学を中退したのも、無職なのも、今話題のひきこもりなのも、すべて悪の組織NHKの仕業なのだということを! …だからといって事態が変わるわけでもなく、ずるずるとひきこもる俺の前に現れた清楚な美少女、岬ちゃん。 「あなたは私のプロジェクトに大抜擢されました」って、なにそれ? エロスとバイオレンスとドラッグに汚染された俺たちの未来を救うのは愛か勇気か、それとも友情か? 驚愕のノンストップひきこもりアクション小説ここに誕生。 [ 目次 ] [ POP ] 新聞広告でこの本を見かけたとき、てっきり“NHK”について書かれた新書だとばかり思っていた。 不祥事に揺れるNHKのイメージアップを図るべく書かれた本だと。 手元に届きライトノベル系のイラストが描かれた表紙を見ても気づかなかった。 実はとんでもない思い違いをしていたことに。 引きこもりになり大学を中退した俺は、この状態を脱しようともがいていた。 健全な社会生活を営みたいのに、外出することさえも、誰かに悪口を言われているようで苦しい。 そこでハタと気づく、これは“NHK”の陰謀だと!(NHKが何の略かは本書をどうぞ) 話自体は本当に馬鹿ゞしくってしょうがないだけど、俺のつらい気持ちがわかってしまう上に、おかしくってたまらなかった。 社会的に精神的に追い詰められる気持ち、倦怠感、未来への不安に恐怖、云々。 おまけにひきこもりだ。 ネガティブな要素が満載なのに、妙に明るく展開するのは何故? 最後、世をはかなむのではなくって、「ぼちぼちとがんばってみる予定」となる。 大変だけどなんとか生きていく。 こういう話、大好き。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ

2014/10/22

ひきこもりと不遇の悲観少女の苦しみながらもがく日々。チェーンソー男の代わりのNHK、「ネガティブハッピー」の発展版といった感じ。自分を守るために他人を見下さなければ生きてゆけない辛さ、そんな自分に絶望する心理、とてもよくわかる

Posted byブクログ

2015/05/12

「妄想垂れ流し物語」 ひきこもりの主人公が美少女と出会い、振り回された挙句突き放される。渋々付き合うという形を表面上とっていた主人公はそれを望んでいたことを受け入れ、自ら行動を起こし成長するという、いかにもなラノベ展開なのだが、作者もまたひきこもりであるということでこの作品の読...

「妄想垂れ流し物語」 ひきこもりの主人公が美少女と出会い、振り回された挙句突き放される。渋々付き合うという形を表面上とっていた主人公はそれを望んでいたことを受け入れ、自ら行動を起こし成長するという、いかにもなラノベ展開なのだが、作者もまたひきこもりであるということでこの作品の読み方は変わる。 通常の小説は登場人物の言動や思考が作者の創作なことが多い。だが、作者と主人公のシンクロ率が極めて高いこの作品は妄想部分のみが真実なのだ。自らが英雄となれる瞬間を待ちすぎた作者がその時が来るよりも先に小説という形で偶像化してしまったのだろう。等身大すぎて寒いと思える言動も作者の叫びと思えば大いに興味を惹く。主人公の思考回路が作者のそれそのものと思うとよくここまで赤裸々に心情を吐露できるものだと感心する。 合法ドラック、エロゲ製作、新興宗教、陰謀論、ロリコン、妄想、妄想、妄想…。作者の頭の中はいかがしいことこの上ないのたが。 ほんの些細な衝撃でも主人公は心の殻を閉じ鎖国モードに入ってしまう。その弱さに他人事とは思えない身の覚えを感じるのだった。 2014.10.8 MORIOKA TSUTAYAで購入

Posted byブクログ