11分間 の商品レビュー
ブラジルの片田舎に生まれた少女が自分の美貌故にスイスへと導かれ、やがて娼婦として暮らしながら自分と性について見つめなおす物語。タイトルの11分間は性行為の時間から。 女性の性開放だったり、SMだったり(そしてちょっぴり男性の弁護も)と、60年代だったらいざ知らず今の時代に。。。と...
ブラジルの片田舎に生まれた少女が自分の美貌故にスイスへと導かれ、やがて娼婦として暮らしながら自分と性について見つめなおす物語。タイトルの11分間は性行為の時間から。 女性の性開放だったり、SMだったり(そしてちょっぴり男性の弁護も)と、60年代だったらいざ知らず今の時代に。。。と思って読んでいたら、あとがきでまさに60年代の狂乱の時代、そしてその後の反動の時代を経たことへの問題意識が生み出した作品と知って得心した。今作では作者お得意の宗教性や神秘性は薄く、まあ本当のセックスの果てには神性に至ることができる的なところだろうか。 構成としては結局boy meets girlの枠内に収まってしまっているので、そこにほとんどadd onされるだけの、イギリスレコード会社重役の話だとか、図書館司書の話だとか中途半端な感じもあるけれど。
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同じ作者の「ベロニカは死ぬことにした」を読んでる時も共通してたけど、読んでいるとなにもせず現状に甘んじている状態から一歩踏み出したくなる。肩を揺さぶってくれる。 線引きが難しいけれど、2人の間の愛は心から出てくるもので好意もその表出?であって、相手に強いるものではない、相手を所...
同じ作者の「ベロニカは死ぬことにした」を読んでる時も共通してたけど、読んでいるとなにもせず現状に甘んじている状態から一歩踏み出したくなる。肩を揺さぶってくれる。 線引きが難しいけれど、2人の間の愛は心から出てくるもので好意もその表出?であって、相手に強いるものではない、相手を所有することはできない。それをわかり合った2人が今後どんな道を歩いていくのかワクワクした。
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売春婦の恋の物語。性的な表現が多いため好き嫌いが分かれそうな作品であるが、個人的には非常に楽しませてもらった。主人公である女性の心の機微をここまでリアルに描いている(ように思われる)パウロ・コエーリョに感嘆してしまったことが、この本の第一印象である。また、決して俗悪な話ではなく、...
売春婦の恋の物語。性的な表現が多いため好き嫌いが分かれそうな作品であるが、個人的には非常に楽しませてもらった。主人公である女性の心の機微をここまでリアルに描いている(ように思われる)パウロ・コエーリョに感嘆してしまったことが、この本の第一印象である。また、決して俗悪な話ではなく、精神性の高い女性の生涯を高貴に描いているところが私好みであった。
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「セックス なんて11分間の問題だ。脱いだり着たり意味のない会話を除いた“正味’は11分間。世界はたった11分間しかかからない、そんな何かを中心に回っている(本文より) あの「アルケミスト」のパウル・コエーリョさんが、セックス というデリケートな問題について取り上げた。「性」の...
「セックス なんて11分間の問題だ。脱いだり着たり意味のない会話を除いた“正味’は11分間。世界はたった11分間しかかからない、そんな何かを中心に回っている(本文より) あの「アルケミスト」のパウル・コエーリョさんが、セックス というデリケートな問題について取り上げた。「性」の問題に合わせて、女性の生き方、人生の選択について問いかけているように思えた。 ブラジル人の娘がスイスで娼婦となり、そこから様々な人の生き方を覗き内省する。そして、運命の出会いが・・・(性的表現多め)
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パウロさんの二作目に挑戦 アルケミストの後に読むと えーこれー!? っとなるセックスが題材 攻め過ぎやろ!と思いましたが内容はもっと攻めてます。 本当に心の中を曝け出す様な濃い中身に、ただただ圧倒されながら読了 愛を知らないまま大人になって、納得してるはずも娼婦になる主人公 沢...
パウロさんの二作目に挑戦 アルケミストの後に読むと えーこれー!? っとなるセックスが題材 攻め過ぎやろ!と思いましたが内容はもっと攻めてます。 本当に心の中を曝け出す様な濃い中身に、ただただ圧倒されながら読了 愛を知らないまま大人になって、納得してるはずも娼婦になる主人公 沢山の男性が過ぎ去る中、2人の正反対の男性と同時に出逢う。 2人の間の葛藤と自分の生き方との葛藤 見逃しがちな進むべき姿。 自分らしくある為の関係。 コレが理解できた時、幸せだと思う。 理解したいし出来ると信じている。
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題名の『11分間』の意味は? この小説の主人公は、ブラジルの若い女の子。 ひょんなきっかけからスイスに渡り、売春婦になる。 1年だけ。1年だけと決めて彼女は売春婦を続けるうち恋をしてしまう。 その恋の結末はイコール小説の結末なので書くのを控えるが、『11分間』というタイトルの意...
題名の『11分間』の意味は? この小説の主人公は、ブラジルの若い女の子。 ひょんなきっかけからスイスに渡り、売春婦になる。 1年だけ。1年だけと決めて彼女は売春婦を続けるうち恋をしてしまう。 その恋の結末はイコール小説の結末なので書くのを控えるが、『11分間』というタイトルの意味は書こう。 その売春婦をしている彼女は言う。 一晩の彼女の相場は350スイスフラン。 いや、一晩は正しくない。一人のお客で350スイスフラン。 一晩というのは大袈裟だ。実際は45分で350スイスフラン。 服を脱いだり、親しげなそぶりをしてみせたり、他愛もないことを話したり、また服を着たりする時間を差し引けば正味の時間は11分くらい。11分で350スイスフラン。 11分。世界は、わずか11分しか、かからない出来事を中心として、そのまわりをぐるぐる回っているのだ(文中より引用) この本の主題 それは、まさにセックスと愛なのだが、娼婦のような職業が彼女のような生温い態度で勤まるのかどうか疑問だし、簡単に足を洗える環境と本人の強い意志があるのかどうかもわからない。 けれど、コエーリョは、主人公を理知的な向学心のある女性として描こうとしているし、彼女は特殊な売春婦だったのかもしれない。 11分というのは、個人差があり、性差によっても意見は異なるのかもしれないが、 「11分の出来事を中心として世界は回っている」と書ききるコエーリョは潔い。 売春婦という職業は人の最古の職業のひとつとされている。 このブラジル娘は就業期間が短く高級娼館で働いているので、職業的悲壮感はあまり伝わってこない。 そのあたりコエーリョのペンの力なのだが、 この小説は、主人公の日記と挿入された文章によって構成され、その文章の方が日記のように感じるのはなぜだろう。 どちらにしても『11分間』という斬新な発想がこの小説の主題を貫いていることには間違いなく、愛の実在感は俗なるものを聖なる手触りに変化させる必然性をコエーリョは描きたかったのか。
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アルケミストにハマらなかっただけに衝撃を受けた。怒涛の読書体験で完全に圧倒された。全てが熱くて燃えている一冊だった。ああやってオープンに話せる人をパートナーにほしい。「当たり前」に疑問をもちそれについて話すことをためらわない人を。最初のペンのエピソードから、なにからなにまで魅了。 最後は、あそこで途切れるから良いのにという思いが、特に私も「終」の文字のあとを想像してしまうからこそ、思ったけど、最高にhopeless romanticでもある。ロマンチックを信じている人だからこその作品。
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2021.4.7 ノートから転記 ほんとうに面白い作品だった。正直初めのほうは売春をするに至るまでの彼女にそこまで前のめりにならず、こつこつと読んでいったのだが、中盤で一人の画家に出会うところで惹かれはじめた。そしてなによりも痺れたのが、運命的な出会いを果たし主人公がそこから正の方向に導かれていくのかと思いきや、サドマゾという〈痛み〉の誘惑と出会って引きずり込まれそうになるところだ。確かに人ってそんなすぐに正解が正解だと理解して身を委ねられるものでないと思えた。恋、愛、セックスについて、例えばオナニーとセックスの快感は何が違うのかというのを誰にも伝わるように描いていると思った。アルケミストはもちろん大好きだが、じっくり読もうとしたうえでこの本も大好きだった。ほんとうに苦しいときに、この本は僕を救う。
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ブラジルの女の子がジュネーブで娼婦になり結局はハッピーエンドになる。わけだけど、今ひとつピンと来なかった。マリーアは魅力的なのだけど、全てを悟ったようなラルフの存在がしっくり来なかったのかな。
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感想を書くのが難しい。 描写の生々しさが伝えてくる情景や感情がすっとはまることもおおくて、あぁ、わかる、素敵、と思う場面がいくつかあった。 時々のマリーアの日記からも、背伸びをして大人になっていっていると自分に言い聞かせて、自分を騙して深入りしないようにして、他人の期待と自分の...
感想を書くのが難しい。 描写の生々しさが伝えてくる情景や感情がすっとはまることもおおくて、あぁ、わかる、素敵、と思う場面がいくつかあった。 時々のマリーアの日記からも、背伸びをして大人になっていっていると自分に言い聞かせて、自分を騙して深入りしないようにして、他人の期待と自分の夢との葛藤、理性を超える瞬間、新しい経験、二十歳前半の女の子ならではのむず痒さ。 面白かった。
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