QED 竹取伝説 の商品レビュー
不遜を承知で言えば……
不遜を承知で言えば…初期の頃に比べると、だいぶ実際の事件と古来の風習、謎を絡めるのが上手くなってきたな、という印象です。取り上げるネタはその分マイナー化していますが、それも知らないことを知る、と言う意味では快い。しかし、笹姫様の唄は怖い。あれで毬をついて遊ぶのは…無理です。
文庫OFF
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奥多摩のさらに山奥にある2つの集落をつなぐ鵲(かささぎ)橋。 その周辺では、昔から不審な事故死が多発していたのだった。 このシリーズの主人公…ではないよな、語り手…でもない、ヒロイン…とも違う、しいて言うならこのシリーズの聞き手である棚旗奈々の上司が、腹に竹槍を突きさされた死体を発見したことから、彼らはこの事件にかかわりを持つことになる。 今どきなぜ竹槍? しかし本文の大半はこの事件ではなく、『竹取物語』は呪の物語、騙りであるということを桑原崇が延々と棚旗奈々に話すことに費やされている。 まあこれも、シリーズの常套展開なのだけど。 かぐや姫に求婚する5人の貴族たちは、実在のモデルがいる、というのは聞いたことがあった。 その元となった人たちの名が明かされたとき、『竹取物語』を書いた人の名前が私にもわかったけれど、それはあくまで物語上の事実であって、作者未詳というのが実際のところなのだけど、ではなぜ作者を未詳のままにしてあるのかというと…と考え始めると、歴史を疑う目はとどまるところを知らなくなる。 桑原崇によると、かぐや姫は衣通(そとおり)姫であり、小野小町であるという。 つまり貴族以外は人間にあらずと言った平安時代に、機織り女は、遊び女扱いもされる存在であったのだという。 たかが遊び女のかぐや姫に対して、高価な秘宝を惜しげもなく捧げようというのだから、貴族の男は酔狂である、ということなのだろうか。 このシリーズのもうひとつの常套は、タイトルとは別の謎を追うことによって、タイトルの謎に収斂していくという構造だ。 今回のそれは「七夕」における呪。 鵲橋を挟んだ村の男女が婚約する、結婚する、という流れは、さすがの私でも「七夕」やん、と思った。 しかしこのシリーズの聞き手である棚旗(たなはた)奈々。 この名前に隠された秘密はないのかい? だれも、桑原崇ですら、散々七夕のウンチクを語りながら、彼女の名前について触れることはなかったのが気になるのだが。 「たなはた」で「なな」なんだよ。 誰か突っ込めよ。
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今回は竹取物語と七夕物語の関連性からその背後にある国取りから大和朝廷にかけての権利義務の横暴と、それをどのように巧みに歴史から隠蔽したのかを解き明かしている。 所々でかなり強引で大胆な予測を挟むものの、奈々が納得している描写を加えることで、あたかも読者まで納得したと感じてしまうと...
今回は竹取物語と七夕物語の関連性からその背後にある国取りから大和朝廷にかけての権利義務の横暴と、それをどのように巧みに歴史から隠蔽したのかを解き明かしている。 所々でかなり強引で大胆な予測を挟むものの、奈々が納得している描写を加えることで、あたかも読者まで納得したと感じてしまうところが巧みだと思う。 正解なんてもはや誰にも分からないので、現存する点と点を繋ぎ合わせて一貫性のある説を構築する高田氏の構想力を続くシリーズでも楽しみたい。
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読書録「QED竹取伝説」4 著者 高田崇史 出版 講談社文庫 p141より引用 “「しかし」崇は奈々を見た。「ニコチン自 体は、三日間で完全に体外に排出されてしま うからね。あとは脳がその快感を記憶してい るだけにすぎない。ということは、それ以降 は単純に脳ー意志ーの問題だか...
読書録「QED竹取伝説」4 著者 高田崇史 出版 講談社文庫 p141より引用 “「しかし」崇は奈々を見た。「ニコチン自 体は、三日間で完全に体外に排出されてしま うからね。あとは脳がその快感を記憶してい るだけにすぎない。ということは、それ以降 は単純に脳ー意志ーの問題だからね。そう難 しいことじゃないよ……。” 目次より抜粋引用 “竹取の翁といふものありけり いとうつくしうして居たり はべりけむ身とも知らず 翁、出でていはく おはすらん人々に申給へ” 博学な変人薬剤師とその後輩を主人公とし た、長編ミステリ小説。同社刊行作文庫版。 シリーズ第六弾。 新年から馴染みのバーでグラスを傾け合う 主人公たち、以前に関わった事件について話 は及び…。 上記の引用は、タバコをやめた主人公・桑 原崇の台詞。 ニコチン中毒というか依存は、ただの習慣な のかもしれませんね。近頃はめっきりタバコ を吸える場所もなくなってしまい、肩身の狭 い思いをしている人もいるでしょうが、本当 は三日の我慢で済むと思えば、いつでもられ そうで少しは気が楽なのではないでしょうか。 欲しくなる気持ちをうまくごまかす方法を探 すのが良さそうですね。 大きく成功する存在には、必ず何か犠牲が 潜んでいるものなのかもしれないと思わせる エピソードでした。 ーーーーー
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QED再読第6弾。まさかの外嶋さんが第1発見者、の割には その後ほとんど登場せず。相変わらずタタルがページ数のほとんどを語り尽くす本。今回のテーマは竹取物語を中心にいつもの騙りと歴史の闇。竹取物語の公達、かぐや姫にモデルがいたとは。帰っていった場所がまさかあそことは。いつも勉強に...
QED再読第6弾。まさかの外嶋さんが第1発見者、の割には その後ほとんど登場せず。相変わらずタタルがページ数のほとんどを語り尽くす本。今回のテーマは竹取物語を中心にいつもの騙りと歴史の闇。竹取物語の公達、かぐや姫にモデルがいたとは。帰っていった場所がまさかあそことは。いつも勉強になる。。。
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読み始めたら、なんか記憶にあるぞと気が付く。考えたら出て間もないころ友達に借りて読んだ本だった。 日本史や皇族についての記述が多く、要は漢字が多く苦笑い。久しぶりに見る名前も多くて、少しうれしかった。 物語のキーである鵲ーかささぎ―は佐賀県の県鳥、カササギは主に西日本、特に九州に生息する中国からの留鳥だったと記憶している。となれば、題材は九州の県境か、本文にある丹波か・・・想像するに面白い。 物語の中盤、 P135 「それが、昔から男女の逢瀬は、月夜に多く行われた理由の一つなんだろう」 え? 奈々はドキリとして崇を見た。 今の言葉って、もしかして……。 -引用終わり― に噴きだした。このキャラでそれはないだろう! 続きが楽しみだ。 読了後 今朝方知人と丹波の白兎について話し合ったのに、この本でも白ウサギの話が出てきて、苦笑した。無意識とは怖いものだなと思った。 最終章前になって犯人が予測できたので少し残念な気がした。朝鮮朝顔は他の推理小説でもよく利用されている。後はどんな物語があったかな~。キョウチクトウの話は聞き飽きた。 天皇の伊勢神宮参拝は、明治時代になってからの話も、数日前、別の知人と話をしていたところで、知識の世界って案外狭いコミュニティなんだなと思った。 無意識のつながりに改めて思いを馳せた一冊
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QEDシリーズで一番楽しみにしているのは、タタルこと崇の膨大な知識量にある。 それが学問的に証明されていようがいまいが、まったく関係はない。 ただ、読んでいて面白い。楽しい。 ある箇所ではなるほど・・・と感心し、ある箇所ではまさか・・・と驚く。 そんな楽しみ方ができる物語だ。
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QED-6。魔のカーブ。かぐや姫と織姫と。 いつもにましてボトムアップ。よくわからなくなってきた。 C0193
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「鷹群山の笹姫様は…滑って転んで裏庭の、竹の林で右目を突いて、橋のたもとに捨てられた」。不吉な手毬唄が伝わる奥多摩の織部村で、まるで唄をなぞったような猟奇殺人事件が発生。ご存じ桑原崇が事件の謎を解きつつ、「かぐや姫」の正体と『竹取物語』に隠された真実に迫る。大好評シリーズ第6弾。
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相変わらず蘊蓄のところは飛ばし気味で読んだけど、今回は伝説と事件が結構マッチした感じがしました。 伝説の残る田舎っていうフィルターに騙されているかもだけど、田舎育ちとしてはそのフィルターの強力さはわかるので、違和感なく受け入れられました。 このシリーズ読むたびに、もののけ姫を思...
相変わらず蘊蓄のところは飛ばし気味で読んだけど、今回は伝説と事件が結構マッチした感じがしました。 伝説の残る田舎っていうフィルターに騙されているかもだけど、田舎育ちとしてはそのフィルターの強力さはわかるので、違和感なく受け入れられました。 このシリーズ読むたびに、もののけ姫を思い浮かべるのは私だけでしょうか
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