無人島に生きる十六人 の商品レビュー
題名のとおり、太平洋上で難破した16名の無人島での漂流記。 巻末の椎名誠さんの解説によると、多少の誇張やらなんやらがあったとしても、明治三十年代の実体験に基づいた話らしい。 無人島での生活を始めるのにあたって、船長が定めた4つのきまりは・・・ 1.島で手に入るもので、暮らしてい...
題名のとおり、太平洋上で難破した16名の無人島での漂流記。 巻末の椎名誠さんの解説によると、多少の誇張やらなんやらがあったとしても、明治三十年代の実体験に基づいた話らしい。 無人島での生活を始めるのにあたって、船長が定めた4つのきまりは・・・ 1.島で手に入るもので、暮らしていくこと 2.できない相談を言わないこと 3.規律正しい生活をすること 4.愉快な生活を心がけること そして、船長は、みんなが、気持ちよくしているためには、小言は邪魔になると考え、どんなことがあっても、怒らないこと、叱ったり小言を言ったりしないことを心に決める。 当時の「海の勇士たち」の高潔さ、英知、明るさを伴った芯の強さが、なんともすばらしい。 前書きには、昭和16年から少年クラブに掲載されたとあり、末尾には昭和23年に刊行されたとある。 作者は、次の時代を担う「少年たち」にこの物語を伝えたかったのだろうか。 出会ってよかったと思える本の一冊。
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無人島に暮らすことを余儀無くされた16人の海の男達が力を合わせあれやこれやと多くの創意工夫をこらし、いつか迎えの船が来ると信じて力強く生き抜く話。 漂流ものによくある、仲間同士のいざこざは全くなく、統制の取れた指揮と、知恵を合わせた工夫や発明によってより快適な暮らしになっていくと...
無人島に暮らすことを余儀無くされた16人の海の男達が力を合わせあれやこれやと多くの創意工夫をこらし、いつか迎えの船が来ると信じて力強く生き抜く話。 漂流ものによくある、仲間同士のいざこざは全くなく、統制の取れた指揮と、知恵を合わせた工夫や発明によってより快適な暮らしになっていくところは感銘を受けた。 あまりにうまく行き過ぎていてフィクションのようだが、本当にあったことを基に書いているらしい。明治の海の男達はすばらしい!
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爽快、痛快、愉快。 十五少年漂流記をどきどきしながら読んだ記憶がある。 これは十六おじさん漂流記だ。 明治時代の実話だというが、多少の脚色を考慮したとしても、とてつもない冒険譚だ。 かつてこの本の情報を全く聞いたことがないのだが、なぜ埋もれてしまったのだろう? 十五少年…に負けな...
爽快、痛快、愉快。 十五少年漂流記をどきどきしながら読んだ記憶がある。 これは十六おじさん漂流記だ。 明治時代の実話だというが、多少の脚色を考慮したとしても、とてつもない冒険譚だ。 かつてこの本の情報を全く聞いたことがないのだが、なぜ埋もれてしまったのだろう? 十五少年…に負けないインパクトがあるのだが。
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漂流物ってなんでこんなに面白いのか。この小説が異質なのは、こういう筋書きでありがちな内紛や派閥争いが無いこと。リーダーシップを執る船長の台詞が剛直果敢で、メンバーの士気も否応無しに高まる。マネジメントの見本書。アザラシとの交歓シーンも萌える。
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太平洋・ミッドウェー島近くで難破し、無人島にたどりついた16人のお話。(明治時代の話) 規律正しく、驚くような知恵で暮らした人々。 あまりにもできすぎな感もあるが、この事故と、その後無事救助されたという出来事自体は本当にあったことらしい。
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十五少年漂流記を読んでから読んだので、同じような話かなーと思って読み始めましたが、これはこれでとても素敵な話でした。サバイバルを生き抜くメンバーはほんと尊敬の言葉のみです。
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面白かった。リアルだし。 海の描写は美しくて、心が洗われる。そう思えるように、皆生きたのだろう。 ・あかつきの空には、星がきらめき、島も海も、まだ暗い。私は、すぐに海にはいって、海水をあびて、身をきよめた。つれだった三人も、無言で、私のするとおりに海水をあびた。 水浴がすむと、...
面白かった。リアルだし。 海の描写は美しくて、心が洗われる。そう思えるように、皆生きたのだろう。 ・あかつきの空には、星がきらめき、島も海も、まだ暗い。私は、すぐに海にはいって、海水をあびて、身をきよめた。つれだった三人も、無言で、私のするとおりに海水をあびた。 水浴がすむと、四人は深呼吸をして、西からすこし北の日本の方を向いて、神様をおがんだ。それから、島の中央に行って、四人は、草の上にあぐらをかいてすわった。 私は、じぶんの決心をうちあけていった。 「いままでに、無人島に流れついた船の人たちに、いろいろ不幸なことが起こって、そのまま島の鬼となって、死んで行ったりしたのは、たいがい、じぶんはもう、うまれ故郷には帰れない、と絶望してしまったのが、原因であった。私は、このことを心配している。いまこの島にいる人たちは、それこそ、一つぶよりの、ほんとうの海の勇士であるけれども、ひょっとして、一人でも、気がよわくなってはこまる。一人一人が、ばらばらの気もちではいけない。きょうからは、げんかくな規律のもとに、16人が、一つのかたまりとなって、いつでも強い心で、しかも愉快に、ほんとうに男らしく、毎日毎日はずかしくなく、くらしていかなければならない。そして、りっぱな塾か、道場にいるような気持ちで生活しなければならない。この島にいるあいだも、私は、青年たちを、しっかりとみちびいていきたいと思う。君たち三人はどう思っているかききたいので、こんなに早く起こしたのだ」 …私は、ことのきから、どんなことがあっても、おこらないこと、そして、しかったり、こごとをいったりしないことにきめた。みんなが、いつでも気もちよくしているためには、こごとは、じゃまになると思ったからである。 ・われわれが、この無人島にいた間、さびしかったろう、たいくつしたろう、と思う人もあるだろう。どうして、どうして、そんなことはなかった。 空にうかぶ雲でさえ、手をかえ品をかえて、われらをなぐさめてくれた。雲は、朝夕、ひにはえて、美しい色を、つぎつぎに見せてくれた。とりわけ、入道雲はおもしろく、見あきることがなかった。 ・「インキがほしい」と、私がいった。 水夫長が、万年灯にたまった油煙をあつめて、米を煮たかゆとまぜて、インキのようなものをつくった。そして、海鳥の太い羽で、りっぱな羽ペンはできたが、インキは役にたつものではなかった。 漁業長が、カメアジの皮を煮つめて、にかわをつくって、水夫長の陰気にまぜて、とうとうりっぱなインキができあがった。このインキは、水に強く、帆布に文字を書いて海水にひたしても、消えない。 ・はじめて「鯨とび」を見たときは、うれしかったね。せなかにひれのあるいわし鯨が、なんべんも、つづけてとんだのを見た人は少ないだろう。15メートルもある、あの大きなのが、頭を上に、ほとんどまっすぐに、海面からとびあがって、尾を海から高くはなしたな、と見るまに、大きな曲線をえがいて、頭の方から海にどぶうんとはいって、またとびあがるのだ。すばらしいなめし革のような白い腹には縦に幾筋も、大きな深いしわがある。灰色のせなかには、ちょっぴり三角のひれ。鯨ぜんたいが、日光にきらきらするのだ。 ・おいらが31歳のとき、明治8年に、ボーニン島が、日本の領土となって、日本小笠原諸島とはっきりきまったのだ。おいらの生まれた島だ。なつかしい島だ。日本の領土となったのだから、おいらも日本人だ。そうだろう。それで帰化して日本人となった。フロスト・ウィリアムスが、日本名まえにかわって、島の名をそのままもらって、小笠原島吉。どうだ、いい名だろう。 漁夫の範多のことも、ちょっといっておこう。範多のおやじは、捕鯨銃の射手から、ラッコ猟船の射手となった。鉄砲の名人だったよ。射手のことを、英語でハンターというのだ。ハンターのせがれの、エドワーズ・フレデリックが帰化して、おやじの職業のハンターをそのままつけて、範多銃太郎となったのだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
明治32年に、ハワイ諸島近郊で難破して無人島に辿り着いた日本の船乗りたちの冒険譚。知恵と勇気と、前向きな朗らかさを持って過ごす日々の物語は、悲惨さや焦燥もなく、文章も読みやすく楽しい。 必ず生きて帰れることは最初からわかっていることもあり、意外性には乏しいが、楽しく読めた。
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ずっと新潮文庫の夏の100冊に入っていた作品なので、名前と表紙だけは知っていたが読むのは初めて。 名前と表紙から小学生・中学生向けのおはなしかなーと思っていたけど、全く違う! 勿論、私も小学生の時に読んでいたら間違いなく海に興味を持っただろうし、自分の趣味が一つ増えていただろ...
ずっと新潮文庫の夏の100冊に入っていた作品なので、名前と表紙だけは知っていたが読むのは初めて。 名前と表紙から小学生・中学生向けのおはなしかなーと思っていたけど、全く違う! 勿論、私も小学生の時に読んでいたら間違いなく海に興味を持っただろうし、自分の趣味が一つ増えていただろうけれども、これは大人も楽しめる! ストーリーとしては、船が難破し、無人島に流れ着いた16人が力を合わせて生き延びるというもの。 文明の利器など何もない無人島で生き延びる彼らの生活には、人間の底力を見たような気がして驚くばかり。しかもこれ実話を基にしているそう。 とにかく元気をくれる物語だった。 あと海や空、自然の描写がとても素敵。特にp170からの「龍宮城の花園」が特にすき。
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【本の内容】 大嵐で船が難破し、僕らは無人島に流れついた! 明治31年、帆船・龍睡丸は太平洋上で座礁し、脱出した16人を乗せたボートは、珊瑚礁のちっちゃな島に漂着した。 飲み水や火の確保、見張り櫓や海亀牧場作り、海鳥やあざらしとの交流など、助け合い、日々工夫する日本男児たちは...
【本の内容】 大嵐で船が難破し、僕らは無人島に流れついた! 明治31年、帆船・龍睡丸は太平洋上で座礁し、脱出した16人を乗せたボートは、珊瑚礁のちっちゃな島に漂着した。 飲み水や火の確保、見張り櫓や海亀牧場作り、海鳥やあざらしとの交流など、助け合い、日々工夫する日本男児たちは、再び祖国の土を踏むことができるのだろうか? 名作『十五少年漂流記』に勝る、感動の冒険実話。 [ 目次 ] 中川船長の話 龍睡丸出動の目的 探検船の準備 大西風 世界の海員のお手本 故国日本へ 海がめの島、海鳥の島 パール・エンド・ハーミーズ礁 暗礁をめがけて 待ち遠しい夜明け〔ほか〕 [ POP ] この本、泣ける。 本当に泣いたわけではないが、泣けるような本である。 内容はシンプル。 タイトル通り、無人島に流れ着いた16人の漁師が力を合わせて苦難を乗り切っていく話だ。 やぐらを建てたり、水を確保しようとしたり、食料を探し出したり、などの実際的な事についての描写ももちろん面白い。 が、泣けるのは、この人たちが困難な状況でも誇りを失わずに生きようと尽力し、最終的に大きく成長してかえってゆくところである。 船長は言う。 「きょうからは、げんかくな規律のもとに、16人が、一つのかたまりとなって、いつでも強い心で、しかも愉快に、ほんとうに男らしく、毎日毎日をはずかしくなくくらしていかなければならない」 こうした心がまえのもと、互いを支え合う漁師たちの姿には、人間がいかにあるべきかの答えみたいなものが感じられる。 彼等はとてもかっこいい。 誇りを持って生きるというのはこういうことなのだ、と思わされた。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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