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生ける屍の死 の商品レビュー

3.7

124件のお客様レビュー

  1. 5つ

    31

  2. 4つ

    41

  3. 3つ

    31

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    5

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2023/03/02

 アメリカ全土で起こる死者の甦り現象、生と死の境界が曖昧になり「死者」の定義が崩壊する中でパンク青年のグリンもまた屍の仲間入りをしてしまう。 なぜ自分は死ななければならなかったのか、死者が次々と甦る中で起きる連続殺人は何を意味するのか、あらゆる常識を覆した山口雅也氏の伝説的SFミ...

 アメリカ全土で起こる死者の甦り現象、生と死の境界が曖昧になり「死者」の定義が崩壊する中でパンク青年のグリンもまた屍の仲間入りをしてしまう。 なぜ自分は死ななければならなかったのか、死者が次々と甦る中で起きる連続殺人は何を意味するのか、あらゆる常識を覆した山口雅也氏の伝説的SFミステリ。  設定は実にシンプル、死んだ人間が生き返ってしまうというただそれだけである。 しかしそれだけで動機、、証拠、あらゆる角度の事件の手掛かりが常識から逸脱してしまう。 そもそも死者が死んでいないような世界になった中で殺人を犯す意味は何なのか、逆説的な謎が立ちはだかる。 非現実的な世界に論理的な解決を。

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2022/12/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

死体が蘇る世界観のわりに普通な殺人事件だなー、と途中まで思ってたんだけど、そんなこと全然なかった。えー、そんなのありかよ。殺人現場と時間をごまかすとか、他殺に見せかけた自殺とか、そういうのはよく見るけど、蘇りを介してその二つのコラボが成立してしまうなんて…。こんなところにもあったのか俺の常識の枠、と気づかされることしきりだった。

Posted byブクログ

2022/04/16

アメリカで、死者が意識を回復してリヴィング・デッドとなり徘徊するという、奇妙な現象が世間を騒がせるなか、「スマイル霊園」を経営するスマイリー・バーリイコーンが親族を呼び集め、まもなくこの世を去ることになる彼の遺言を託そうとします。 スマイリーの息子で霊園の経営を受け継ぐことにな...

アメリカで、死者が意識を回復してリヴィング・デッドとなり徘徊するという、奇妙な現象が世間を騒がせるなか、「スマイル霊園」を経営するスマイリー・バーリイコーンが親族を呼び集め、まもなくこの世を去ることになる彼の遺言を託そうとします。 スマイリーの息子で霊園の経営を受け継ぐことになるジョンは、日本人の南賀平次と取引し、スマイル霊園で火葬をおこなうという方針を打ち出しますが、スマイリーの後妻であるモニカは、キリスト教の信仰にもとづいて強硬に反対します。 そんななか、スマイリーの孫であるパンク青年のグリンが、亜ヒ酸によって毒殺されます。リヴィング・デッドとして意識をとりもどした彼は、スマイル霊園の顧問を務めているハース博士の協力を得て、自分が死んだ事実をかくしながら、事件の真相にせまろうとしますが、さらなる被害者が現われ、霊園は混乱の渦に飲み込まれていきます。 前半では、グリンやハース博士、死の床にあるスマイリー、ビジネスとしてひとの死にたずさわるジョンといった登場人物たちが、死というテーマをめぐってうんちくを展開します。そして後半では、前半の議論を下敷きにしつつ、登場人物たちのさまざまな動機が絡みあって、事件の真相が見通しがたい状況がもたらされ、最後にグリンによる謎解きがなされます。 死者がよみがえるという、通常のミステリではありえない設定のもとで、しっかりと本格ミステリをやってみせたところに、著者の手腕が発揮されているように感じました。

Posted byブクログ

2021/05/22

集中して読めず。読み終えるのに時間が掛かった。 舞台も人物も外国で翻訳したものの様。 グリンとチェシャのコンビが良かった。 今までにないミステリーを探している人がいて、 優れたものを作ろうと思う人がいる。 読者が著者になるわけだから、日々切磋琢磨して良いものが世の中に産まれたてく...

集中して読めず。読み終えるのに時間が掛かった。 舞台も人物も外国で翻訳したものの様。 グリンとチェシャのコンビが良かった。 今までにないミステリーを探している人がいて、 優れたものを作ろうと思う人がいる。 読者が著者になるわけだから、日々切磋琢磨して良いものが世の中に産まれたてくる。 作品の読み安さは、読者としてのレベル不足なのかしらん。私はこれからもまだまだ読み進むべし。

Posted byブクログ

2021/04/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

見事な本格ミステリー。 メガネだったりストライキだったり、指紋だったり、という伏線も見事だが、やはりモニカの動機やジョンの"自殺"の理由には目を見はるものがある。 まさか死についての談義までもが伏線だとは思わなかった。 最初登場人物表を見たときは外国人の名がズラーっと並んでおり、少し読むのに気が引けたが、実際に読んでみると、ユーモアのある文章や魅力的なキャラクターに引き込まれ、とても読みやすかった。 終わり方もとても良かった。

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2020/10/21

「死」について、とことん考えるミステリーでした。 死して甦り、生ける屍(リヴィング・デッド)となって事件を推理する。 私の考えるゾンビは、甦ってからは自我がなく、生者を襲う怖い存在という認識でしたが、この話では身体は朽ちてゆくが、その人の意思や記憶がそのままに甦るというもの。 ...

「死」について、とことん考えるミステリーでした。 死して甦り、生ける屍(リヴィング・デッド)となって事件を推理する。 私の考えるゾンビは、甦ってからは自我がなく、生者を襲う怖い存在という認識でしたが、この話では身体は朽ちてゆくが、その人の意思や記憶がそのままに甦るというもの。 新しい感覚でした。 とても面白かったです! 死人だからこそ思う「生」と「死」についての考え方は、想像した事がない感覚でした。 深刻すぎずアメリカン・ジョークも交えてコミカルに描かれていて、でも「死」について色々な視点からの考えが込められていて。 「生きることとは少しずつ死ぬことなのだな」 「性愛(エロス)と死(デス)は兄弟」 「スクリーン・メモリー」(死に近づくことはできるが、永遠に死ぬことはない) 読むと納得するワードがたくさん出てきます。 ラストも感動的で、すごくいい終わり方でした。 今年読んだ本の中でお気に入りの本第3位に躍り出ました!

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2020/06/07

2020/06/07 支店長から借りて読んだ 舞台が外国で、外国文学とかちょっと苦手な私には難しかった。ミステリーとしての展開やらトリックは中々面白かったし予測もできないし、終わり方もいいフェードアウトの仕方でロマンチックな雰囲気。ただ、なんだこのページ数。本編650ページ。も...

2020/06/07 支店長から借りて読んだ 舞台が外国で、外国文学とかちょっと苦手な私には難しかった。ミステリーとしての展開やらトリックは中々面白かったし予測もできないし、終わり方もいいフェードアウトの仕方でロマンチックな雰囲気。ただ、なんだこのページ数。本編650ページ。もっと短くならんかったん?笑 割と細かい描写部分は流し読みしてしまった、、

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2019/11/06

『死』をテーマに描く本格ミステリー。ミステリーなんだから死を描くのは当たり前と思いきや、これは『死』とはなんなのか?について、様々な登場人物の死生観、死の文化、宗教、オカルト、葬儀の文化…などなど、これでもかという方面から語る、うえでの本格ミステリ。この前置きの部分が面白くて面白...

『死』をテーマに描く本格ミステリー。ミステリーなんだから死を描くのは当たり前と思いきや、これは『死』とはなんなのか?について、様々な登場人物の死生観、死の文化、宗教、オカルト、葬儀の文化…などなど、これでもかという方面から語る、うえでの本格ミステリ。この前置きの部分が面白くて面白くて。そして死者が甦る世界での殺人。よく練られた舞台設定における、ちょっと他では見たことのないミステリーでした。

Posted byブクログ

2022/03/22

突如現れた、死んだ死体が生前の記憶と人格を持って蘇ってしまう社会現象。そんな中、葬儀屋の家長の遺言式と騒動が巻き起こり、親族間の策謀が駆け巡る。 名前が外国なので、家系図の誰が誰だかわからなくなってしまうのは覚悟していたけど、誰が被害者で誰が死んでいるかまでわからなくなってしま...

突如現れた、死んだ死体が生前の記憶と人格を持って蘇ってしまう社会現象。そんな中、葬儀屋の家長の遺言式と騒動が巻き起こり、親族間の策謀が駆け巡る。 名前が外国なので、家系図の誰が誰だかわからなくなってしまうのは覚悟していたけど、誰が被害者で誰が死んでいるかまでわからなくなってしまうのは予想外だった。アメリカンな雰囲気が良い。フーダニット、ワイダニット? 結末は、まさに仕事柄そういうことを考えながら読んでいたので、トリックをわかってしまった…

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2019/05/25

死者が蘇る、という奇抜な設定のミステリ。殺人事件の意味合いが薄れるという危惧があったが、それを軽々と乗り越えて「死」そのものをテーマとして深く掘り下げた傑作ミステリ。海外の翻訳小説を思わせるスラップスティックな文体も素晴らしい。アミダくじのような伏線に、まだら模様の謎が一気に浮か...

死者が蘇る、という奇抜な設定のミステリ。殺人事件の意味合いが薄れるという危惧があったが、それを軽々と乗り越えて「死」そのものをテーマとして深く掘り下げた傑作ミステリ。海外の翻訳小説を思わせるスラップスティックな文体も素晴らしい。アミダくじのような伏線に、まだら模様の謎が一気に浮かび上がる様は息を飲みます。死という深いテーマに、独創的なキャラクター、マナーハウスのテイストも加えた、非常に贅沢なミステリ。

Posted byブクログ