ミステリ・オペラ の商品レビュー
昭和13年満州。演出助手の善知鳥良一らは、奉納オペラ『魔笛』の撮影のため“宿命城”へ向かった。その道程で一行は、密室殺人等奇怪な事件に遭遇する。50年後の平成元年、東京。萩原桐子の夫祐介は、ビル屋上から投身。目撃者によると空中浮遊していたという。桐子は亡き夫を求めて平行世界に傾倒...
昭和13年満州。演出助手の善知鳥良一らは、奉納オペラ『魔笛』の撮影のため“宿命城”へ向かった。その道程で一行は、密室殺人等奇怪な事件に遭遇する。50年後の平成元年、東京。萩原桐子の夫祐介は、ビル屋上から投身。目撃者によると空中浮遊していたという。桐子は亡き夫を求めて平行世界に傾倒し、「宿命城殺人事件」という名の探偵小説に没入していく… 密室、見立て殺人、ダイイング•メッセージ、暗号、列車消失、人間空中浮遊、首無し死体etc探偵小説のガジェットがこれでもかとてんこ盛り。 昭和初期の満州と平成元年の日本を舞台に、これらの謎が時空を超えて交錯し、現実と幻想が入り混じる。上下段組で680ページ(2000枚)の大作だが、時空が入り乱れる複雑なプロットで、視点もたびたび入れ替わるのでリーダビリティは高くない。最後まで波に乗れないまま終わってしまった。数多くの謎(幻想)が提示されるが、淡々と解決されるのでカタルシスは得られず。•••が実は•••だったという真相には、もっと伏線が張られて然るべき。終盤、○○と△△△が目まぐるしく入れ替わる展開には目が点になってしまったけど… 《以下引用》 この世の中には異常なもの、奇形的なものに仮託することでしか、その真実を語ることができない、そんなものがあるのではないか。君などは探偵小説を取るに足りぬ絵空事だと非難するが、まあ、確かに子供っぽいところがあるのは認めざるをえないが、それにしても、この世には探偵小説でしか語れない真実というものがあるのも、また事実なんだぜ 週刊文春ミステリーベスト10 3位 このミステリーがすごい! 3位 本格ミステリ・ベスト10 1位 日本推理作家協会賞受賞(2002年) 本格ミステリ大賞受賞(2002年)
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や、やっと読み終わった…。 どうにも、入り込めなかったなあ。謎があるのかないのか…読み終えても、だから何?という感想だった。作中でくどいほどに出てきた、探偵小説でしか語れないこともある、ということで、満州や南京でかつて日本がこんなに酷いことをした、と告発したいんだろうか?
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大作だが、複雑かつ特殊な舞台設定の把握をしつつ 膨大なボリュームのテキストを読み込んでいく 労力に見合ったカタルシスや読感が得られるかというと 時間と労力に見合っていないと言わざるをえない。
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10年ほどまえの年間ミステリーランキングのNo1をとったという本『ミステリ・オペラ』を読了。上下組で682ページの大作なので正月から取り組み昨日まで読み終わるのにかかってしまった。現代と戦時中の二つの時代を物語は行き来する複雑な作りに加え、物語の大きな構成要素になっているオペラ『...
10年ほどまえの年間ミステリーランキングのNo1をとったという本『ミステリ・オペラ』を読了。上下組で682ページの大作なので正月から取り組み昨日まで読み終わるのにかかってしまった。現代と戦時中の二つの時代を物語は行き来する複雑な作りに加え、物語の大きな構成要素になっているオペラ『魔笛』に関する博識などなど大変な本なのだが、さすがに評価が高い本だけあり難しさはありながらも決して飽きさせずぐいぐい引っ張って行ってくれる。知らないところに凄い本があるものだ。読むのが大変な大作だが読む価値ありです。
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「虚無への供物」の系譜に連なる小説にして、総決算を思わせるほどの大作。 探偵小説でしか語れないものを語ったひとつの物語。 語られているもののスケールも壮大だが、平成元年と昭和13年を舞台にこれでもかと詰め込まれた謎・探偵小説的ガジェットのてんこもり、謎に見合うだけの推理と、破格の...
「虚無への供物」の系譜に連なる小説にして、総決算を思わせるほどの大作。 探偵小説でしか語れないものを語ったひとつの物語。 語られているもののスケールも壮大だが、平成元年と昭和13年を舞台にこれでもかと詰め込まれた謎・探偵小説的ガジェットのてんこもり、謎に見合うだけの推理と、破格のミステリでもある。 この作品で描かれていたものに対して、真っ正面から感想を言うのは手に余る感。 しかしながら最後の真相、そして最後の見立てには深く感動していた。 物語から得た深い感動が、探偵小説だからこそ産み出せるものであり、このことが、自分にはとても心に刻まれた体験だった。 オペラ三部作とのことだけど、本作でここまでやった後に、はたしてどんなことを語りうるのか。気になるので次作以降も読みたい。
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豪華絢爛。その一言に尽きる。 見立て殺人、密室、暗号などなどあらゆる要素を詰め込んだ一冊。 オペラシリーズは全部で三作あり、全てミステリーではあるのだが、私はこれが一番「探偵小説」を推している作品だと思う。 外伝的に、軽く読めるような検閲図書館シリーズをもっと読みたい。まあ、この...
豪華絢爛。その一言に尽きる。 見立て殺人、密室、暗号などなどあらゆる要素を詰め込んだ一冊。 オペラシリーズは全部で三作あり、全てミステリーではあるのだが、私はこれが一番「探偵小説」を推している作品だと思う。 外伝的に、軽く読めるような検閲図書館シリーズをもっと読みたい。まあ、この人を出すとどうしても重厚なものになってしまうのだろうけれども……。
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読むのに時間がかかってしまった。舞台設定が複雑で読んでいて混乱してしまった。広げられた大風呂敷が最後にたたまれていくのはすごかった。
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期待が大きすぎただけに、もう一息~だった。 南京大虐殺を題材とした小説、宿命城殺人事件。そこでの殺人事件と現代とを行ったり来たりさせ、少しずつ謎を解いていく。 ただ、色んな文献を持ってきすぎだし、長い&メモをとらないと頭の中に入ってこない。オリジナリティーが感じられず、どこからか...
期待が大きすぎただけに、もう一息~だった。 南京大虐殺を題材とした小説、宿命城殺人事件。そこでの殺人事件と現代とを行ったり来たりさせ、少しずつ謎を解いていく。 ただ、色んな文献を持ってきすぎだし、長い&メモをとらないと頭の中に入ってこない。オリジナリティーが感じられず、どこからか持ってきたものの集合体、というイメージ。 時間のある時に再読すれば、印象変わるかな?
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時空を超えて探偵小説というものは読まれるべきであり、 それは平行世界も殺人事件もエラリー・クイーンも収斂してしまう。 そういう魔力を持ち――誰もがその引力から逃れられない。 読者は檻の中でひたすら快楽を感じ続けるだけだ。 ただ人を殺すのは簡単だがそれを物語化するのは困難を...
時空を超えて探偵小説というものは読まれるべきであり、 それは平行世界も殺人事件もエラリー・クイーンも収斂してしまう。 そういう魔力を持ち――誰もがその引力から逃れられない。 読者は檻の中でひたすら快楽を感じ続けるだけだ。 ただ人を殺すのは簡単だがそれを物語化するのは困難を極める。 だから作者は思潮を練り双眸をきらめかせ史料を検見するのだ。 ようやく完成し上梓された一冊がミステリとして評価され、 アトモスフェアや装丁、その他仔細まで凝るのである。 ゆえにその全体像(holism)を闊歩せねば正しい価値は見出せない。 奢侈や小手先だけの技術だけでは如何せん飛翔しない。 ミステリ・探偵小説の類の小説というのはその特徴から、 「オペラ」この言葉がすべてを象徴しているのではないか。 作品としてゲシュタルト的に構築されているため、 要素々々には分割することはできない。 あくまで「オペラ」のように総体で判断・基準とする。 その支流は平成の現代でも受け継がれ、 これからの世に瀰漫・流行していくのだろう。 それは昭和だけでなく明治大正の作家も望んだことなのだろう。
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「重厚」であること、まずなにをおいてもその一言に尽きる。しかし壮大すぎてなにがなんだか解らなくなってしまっている感が無きにしも非ず。
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