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よだかの星 の商品レビュー

4.4

49件のお客様レビュー

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2025/01/12

高校生の時に読んでしばらく経った今もう一度読んだ。きっかけはバイト先で解いた2022年の共通テスト国語の大問1で取り上げられていたからだ。 正直、高校生の時にはこの話は1羽の悲しい鳥の童話としか思えなかった。だから読んだことがある、というだけで特別心に残ることはなかった。しかし今...

高校生の時に読んでしばらく経った今もう一度読んだ。きっかけはバイト先で解いた2022年の共通テスト国語の大問1で取り上げられていたからだ。 正直、高校生の時にはこの話は1羽の悲しい鳥の童話としか思えなかった。だから読んだことがある、というだけで特別心に残ることはなかった。しかし今はよだかの思いや発言が悲しいほどよく分かってしまった。 ああ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕に殺される。そしてそのただ一つの僕がこんどは鷹に殺される。それがこんなにつらいのだ。ああ、つらい、つらい。僕はもう虫をたべないで餓えて死のう。いやその前にもう鷹が僕を殺すだろう。いや、その前に、僕は遠くの遠くの空の向うに行ってしまおう。 よだかの心情がよく表れた一説である。心無い言葉に苛まれ、自分の存在価値が分からなくなっていく。次第によだかは自身の"生”は無意味であると感じるようになる。しかし、動物の生きるという本能には抗えず、自然といくつもの命を啄む。自分の無意味な命の上に消えるいくつもの命。無自覚なまま頂くこともあれば、改めて自覚してその申し訳なさで心がいっぱいになる。 だから死んでしまおうと思った。飢えて死んでしまえばいいのだ。しかし、本能なのか覚悟が足りないのか、よだかは生きる。では、鷹に殺されてしまおう。そうすれば数日後には死ねる。だがきっと彼の爪で体を抉られるのは痛い、すごく痛い。であれば、飢えで死ぬか、でも…堂々巡りだ。 色々考えるのがめんどくさくなってくる。であればもう星になってしまいたい。何も考える必要なく燦然と輝き、時折地上の生き物に勝手にお絵描きの材料にされるような星に。そうすればこの矛盾から開放される…。 仏教観が大きく影響しているこの話に僕はどうしても感化されてしまっている。 自分で死ぬ覚悟もない、それは自分の死に責任を持ちたくないからだ。だから、常々暴走したトラックやどこかでばったりと倒れてしまうことを望んでいる。けど僕はありがたいことに幸せに生きてきた。世の中にたくさん不幸せな巡り合わせの中ぐんぐんと生きる人がいる。その人たちに申し訳がないのだ。だから、死ぬことが出来ない。じゃあこの悶々として鬱屈として毎晩毎晩形容のできない何かを求めてるのはなんでなんだろう。 あぁ、めんどくさい。

Posted byブクログ

2024/10/13

よだかがかわいそう。 見た目のせいで、誰からも相手にされないどころか、蔑まれ、踏み躙られて。やさしいよだかは、苦しんだ分だけ、美しい星になった。

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2024/09/14

よだかって夜だかなんや よだかの意味 淫売婦。 夜出て餌をさがし歩く鷹の意で、⑴夜遅くまで売歩く蕎麦屋-夜なきそば。 ⑵街に客を求める淫売婦のこと。 売春婦。 蜂雀とカワセミとよだかが兄弟??? 星になりたいと思ったよだか 今もまだ燃えているよだか 食物連鎖に気づいてそれ...

よだかって夜だかなんや よだかの意味 淫売婦。 夜出て餌をさがし歩く鷹の意で、⑴夜遅くまで売歩く蕎麦屋-夜なきそば。 ⑵街に客を求める淫売婦のこと。 売春婦。 蜂雀とカワセミとよだかが兄弟??? 星になりたいと思ったよだか 今もまだ燃えているよだか 食物連鎖に気づいてそれが憎くてやるせなくて

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2024/12/30

お盆休み。 再び忙しい日々を迎える前に平穏な物語を求めて辿り着いた本作です。  主人公のよだかは他の鳥と比べると醜く、能力も低い鳥です。そのために周りからは嫌われていました。ただ唯一、よだかは鷹に似た特徴を持っており、鷹の名前を借りた名がついています。それで周りの鳥もその点でよだ...

お盆休み。 再び忙しい日々を迎える前に平穏な物語を求めて辿り着いた本作です。  主人公のよだかは他の鳥と比べると醜く、能力も低い鳥です。そのために周りからは嫌われていました。ただ唯一、よだかは鷹に似た特徴を持っており、鷹の名前を借りた名がついています。それで周りの鳥もその点でよだかに一目置いていました。しかしこの唯一の彼の強みも鷹から煙たがられてしまいます。終いには鷹からは「名を変えるか死ぬか」というような選択を迫られます。自然界で通った名を変えるなど無理なはなしであり、彼は途方に暮れます。  落ち込んで彷徨っている最中、彼は自分がたくさんの虫を殺しながら生きていたことを悟ります。周りからとことん嫌われた上、遂に自分自身にも嫌気がさしてしまったよだかは弟に別れを告げた後、天に助けを求めます。「私を星にしてほしい。」と天に頼んだのです。しかしその頼みも虚しく断られてしまいました。最後の望みを断たれたよだかは吹っ切れたように全ての力を振り絞って天に向かって飛びます。そして力を使い尽くしたよだかは、死んでしまいます。しかし彼は天に青白く燃える「よだかの星」となったのでした。その星は今も燃え続けています。  よだかの死はいじめを苦に死んでしまう子供に似ていると私は思いました。周りから除け者にされ、外部と内部からの最後の一撃のようなものを受けたのちに命を経ってしまう。彼には弟という家族がいたのにも関わらず、それは彼の死を止めるきっかけにはなりませんでた。家族である弟の存在はよだかの"居場所"とも"拠り所"とも言い換えることができそうですが、それは外部からの見方であって彼にとってはそうでなかったのかもしれませんし、そういう見方が当たっていたとしてもそれはよだかが死に向かう方向を変えられなかったようです。  広大な自然のどこかによだかの居場所はなかったのか。誰かがそれをつくってあげられなかったのか。私はそう思いますし、死んだよだかの"よだかの星"を私は美しい星として眺めることはできません。

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2024/03/20

鳥になりたいなと思ってた勢だけど、鳥類には鳥類の苦悩がはたまた派閥があるのかしらと思考を巡らせて鬱に─。

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2024/02/29

悲しい。助けを求めても誰も振り向いてはくれず、ただ兄弟たちが唯一心配してくれていた。最後は星になれていたけれど、もっと愛されて生きていたら星になる必要もなかったのに。

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2024/02/28

切ない。人を見た目で判断する人が多い社会を表しているような作品でした。 よだかの心を見てくれる存在もどこかにいたはずなのに…。

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2023/12/18

「醜くなんてないのにね」が私の第一声。 どんな鳥なのかしら?と気になって調べたけれど、人(鳥?)によっては醜く感じる見た目なのかもしれないけど、少なくとも私にとっては多少の可愛らしささえ感じられる見た目でした。 救いのない物語ということで忌避されがちかもしれないけれど、「よ...

「醜くなんてないのにね」が私の第一声。 どんな鳥なのかしら?と気になって調べたけれど、人(鳥?)によっては醜く感じる見た目なのかもしれないけど、少なくとも私にとっては多少の可愛らしささえ感じられる見た目でした。 救いのない物語ということで忌避されがちかもしれないけれど、「よだか」という名前を譲ることを良しとしなかったその思慮深さや、周りから疎まれたことを苦に思った挙句に選んだのが星になる道だったいうところにも品性を感じた。

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2023/09/05

汚れたような羽の模様、大きな口 その姿のためよだかは、みんなから貶され、笑われる そして鳴き声や、飛ぶスピードからよだかという名が付けられた為に、鷹から名前を変えるよう迫られる 市蔵と名前を変えるくらいなら、死んだほうがいい よだかは、弟のかわせみに別れをつげ、太陽に向かって飛...

汚れたような羽の模様、大きな口 その姿のためよだかは、みんなから貶され、笑われる そして鳴き声や、飛ぶスピードからよだかという名が付けられた為に、鷹から名前を変えるよう迫られる 市蔵と名前を変えるくらいなら、死んだほうがいい よだかは、弟のかわせみに別れをつげ、太陽に向かって飛び立った しかし、太陽は星に願えと告げる よだかは高く高く飛ぶが,,, 読み聞かせ時間は16分くらいです

Posted byブクログ

2023/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「よだかは実にみにくい鳥です。」 その容姿を蔑まれ罵られたよだかは 美しくなりたかったわけでも、鷹のようになりたかったわけでもないんだと思う。 ただ皆がそうしているように、誰にも生命を脅かされることもなく慎ましく生きていたかっただけなんじゃないかな。 ただ遠くへ行こうと決めて弟の川せみのところへ別れを告げにいくよだかは、助けを求めに行ったわけでなく、固い決心で最後の挨拶をしに行ったように思う。 もうすぐ殺されるであろうみにくい自分は虫を食べていないと生きていけない。果たしてこんな自分に、何かの生を犠牲にしてまで生きる価値があろうか。 そう思ったんだろう、大声をあげて泣きぐるぐると周り飛ぶ姿を文面から想像して目に涙がうかんだ。 太陽や星にお願いに行くのも、すがる思いで飛んだが受け入れてもらえずまた絶望に堕ちる。 きっと死にたいとかそういうことじゃない、死んでも構わない、ただ遠くへ、誰もいない遥か彼方へ行かせてください。 そんな思いだったんだろうなあと感じた。 短編小説とは思えないほどの没入感と、宮沢賢治の生死観に圧倒された作品だった。

Posted byブクログ