夫婦茶碗 の商品レビュー
「夫婦茶碗」と「人間の屑」の二編収録。 どちらもどうしようもなくクズな男が主人公。 救いようがなくバカバカしいんだけど、めいいっぱい「生きてる」感じがして まぶしくもある。 どちらかというと「人間の屑」の方が好きかな。 タイトルからして読みたくなってしまう。 町田康っぽくいう...
「夫婦茶碗」と「人間の屑」の二編収録。 どちらもどうしようもなくクズな男が主人公。 救いようがなくバカバカしいんだけど、めいいっぱい「生きてる」感じがして まぶしくもある。 どちらかというと「人間の屑」の方が好きかな。 タイトルからして読みたくなってしまう。 町田康っぽくいうと文章に「グルーヴ」がある。
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こないだ読んだ又吉のオススメ本の中にあったので、手にとった。 町田康は以前権化の踊り子?だっけそれを一度読んだことがあっただけだったはずだ。 ダメの美学というならば、太宰と同じ系統かもしれませんが、読みながらああ、そう。こういうところが苦手で二冊目いかなかったのよね~と昔がフラッシュバック。 今私が信用できないオーバー30だから、<いいとし>だから、共感できないのではない。なんのことはない、昔も高度にねじくれた思考とやらが苦手だったのだ。 テンポはいいし、リズムもいい。独特の雰囲気もある。ただ、きゅっと胸にせまるような、吐息をもらさずにはいられないような切なさ、シンプルさが私には好ましいのだ。 単純なのがよか。私の中に九州男児のおっさんがいたようです。 好み、嗜好の問題です、悪しからず。
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久々に読んでみた。最高でした。 酔狂の業としか思えぬ出鱈目&無駄のオンパレードなのだが、意識を失うその瞬間までおもいっきりシラフという感じがした。 初めて読んだ頃に比べれば自分自身、社会的に見ればだいぶ全うな人間になったわけで、だけどそのはずなのに前にも増して鮮烈なのは、一体...
久々に読んでみた。最高でした。 酔狂の業としか思えぬ出鱈目&無駄のオンパレードなのだが、意識を失うその瞬間までおもいっきりシラフという感じがした。 初めて読んだ頃に比べれば自分自身、社会的に見ればだいぶ全うな人間になったわけで、だけどそのはずなのに前にも増して鮮烈なのは、一体何を以て「全う」と言わしめるのかわからなくなる。 破滅の美学、堕落の美学というけれど、それが成立するのは堕落を突き詰めたものがあまりに美しかった瞬間に、どっちが堕落と言えるのか、一瞬目が眩んで見失いそうになるからなのかもしれない。 しかしおもろいなあ。子供、靴って。
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うまい具合に世の中と やっていくことが出来ない ろくでなしが一念発起すると ろくなことをしないというお話。 呑気で楽天的、何をやっても失敗ばかりの落語の与太郎噺なのだけど、 一人称で紡がれるので、可笑しみの中にも“近くの哀しみは悲劇”な お話です。 常識と非常識を対比させているので、“堕ちていく感”は強まり、 常識人は読んでて一層不安を掻き立てられます。 でもね。軽妙な語り口と相まって、なんせ語り手が呑気な与太郎なもんだから、 ははは、とあっけらかんと読めてしまうのですよ。 主人公は、エレカシの宮本浩次のイメージがぴったりです。 「夫婦茶碗」では良くできたかみさんが 与太郎亭主に引き摺られて堕ちていく様子に不安と怒りを覚えるのだけれど、 最後は“気”という字の垂れが最後にひゅっとはねるような、 南佳孝の眠れぬ夜の小夜曲の男が一張羅の服を来て結婚の挨拶にいったような、 清々しさを感じます。 「人間の屑」のミオは常識を知らないから非常識な生き方が普通なのです。 一方 小松は常識を知っているから清十郎の非常識に気が狂ってしまったのです。 清十郎本人は常識人です。でも与太郎です。だから現実から逃げ続けます。 嘘をつき続けます。子供への自分の愛には嘘をつけませんでした。 たまらなく恥ずかしくなって、誰か殺してくれと叫びながら 彼はヤクザに突撃したのです。でもこれも妄想かも知れないお話でした。 筒井康隆が解説してます。
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僕の中の町田さんの三部作です。 こういう作品をかける人は居ないでしょうね。文章が加速していって、ねじれ曲がって進んでいく。内容の重要性を、ここまで無視しながら、人に快感をもたらせるのは彼だけです。
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この文体が欲しい! 文学好きの知人からご紹介頂きました。はじめての町田康でございます。某ビレ○ン様のPOPを読んでからワタクシ、常ならぬ興味を幾年もの間持ち続けおりましたが、ついに読むことと相成りました。 期待に胸を膨らませつつページを繰るワタクシ。めくります。めくります。めく...
この文体が欲しい! 文学好きの知人からご紹介頂きました。はじめての町田康でございます。某ビレ○ン様のPOPを読んでからワタクシ、常ならぬ興味を幾年もの間持ち続けおりましたが、ついに読むことと相成りました。 期待に胸を膨らませつつページを繰るワタクシ。めくります。めくります。めくり上がります。ページを繰る手を止めることができません。というのは盛り過ぎでありますが、なにしろ衝撃的な文体でございまして、思わず筆も滑ってしまうのであります。と申しますのも近頃のワタクシが目指している文体のイメージに非常に近いからでございます。大らかにまとめますと口語体とでも申しましょうか。 北野勇作、筒井康隆、小林大悟(この方は小説家ではありませんが)。頭の中をそのままさらけ出したようなそういった語り口にワタクシ、コレ、大きなそして恐らくは過大なオモシロミを感じる次第なのであります。何年か前のワタクシはこう申しておりました。「北野勇作のような文章が書ければ」と。それからは筒井康隆で変態の頭の中を。小林大悟で詩人の頭の中を。覗き込むようにまじまじと鑑賞して参りました。そこで満を持しての町田康なのでございます。 「変態」、「詩人」ときて機が熟したところでの「ダメ人間」なのでございます。 そうでございます。本書はダメ人間の頭の中をただただひたすら書き綴ったものなのであります。山場はもちろんオチも意味なぞあるわけもございません。あるのはただ「ダメ人間」でございます。ダメ人間はダメであることを自覚しないがゆえのダメ人間であり、そんなダメ人間のダメ人生を綴ったのが本書なのであります。 本文を読まれまして本書を読もうと思い立たれた奇特な方には気分を害されるかもしれない読書体験が提供されるということを重々肝に命じられた上で読まれることをくれぐれもご忠告差し上げます。
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元・パンクバンドINUのメンバー。メシ食うな、の イメージしかなかった。 主人公は退廃的で夢みがちな逃避癖をもつ屑、つまりは落伍者なわけで、でも魅力的でこみ上がる笑いは決して見下し馬鹿にした笑いではないように思える。多分。 『夫婦茶碗』は織田作之助『夫婦善哉』を彷彿させる侘し...
元・パンクバンドINUのメンバー。メシ食うな、の イメージしかなかった。 主人公は退廃的で夢みがちな逃避癖をもつ屑、つまりは落伍者なわけで、でも魅力的でこみ上がる笑いは決して見下し馬鹿にした笑いではないように思える。多分。 『夫婦茶碗』は織田作之助『夫婦善哉』を彷彿させる侘しさであった。 『人間の屑』は、まず、タイトルが好い。作者自身の投影なのか?と思わされてしまう(作者が人間の屑なのかどうかは全く知らないけどね)。
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初町田康。想像以上のダメ人間っぷりに笑ったりトンデモ展開に驚愕したりちょっとしんみりしたり。猫描写に愛を感じる。
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町田康の作品は好きでよく読むのだが、今回は他の作品と比べるとやや力の欠ける印象。物足りなさを感じた。何が物足りなかったかと言うと、それは笑い。個人的に町田康の作品には常に笑いを求めてしまうあまり、今回はそのツボが少なかったように思う。「夫婦茶碗」「人間の屑」二篇収録。
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町田康二冊目 町田康はその時々で詰まらんかったり泣きそうになったり苛立ったり不思議だな~でも好きですねえ言葉のセンスがもう! 個人的には人間の屑の方が好きかな 狂った雰囲気が混じってくるのが堪らないです 解説にもありましたがこれが計算された一つの作品なのだから凄いよね
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