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百物語(文庫版) の商品レビュー

4.2

77件のお客様レビュー

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2019/10/29

杉浦日向子さんの代表作のひとつ。 怪異譚を100集めると化け物が現れるというのだが、99話まで語ったところでやめておこう、という趣向になっている。 内容は1話が7ページ程度で、舞台は江戸時代。狐が化けたり、異形のものが部屋の隅にいたり、夢に捕らえられたりする。必ずしもはっきり...

杉浦日向子さんの代表作のひとつ。 怪異譚を100集めると化け物が現れるというのだが、99話まで語ったところでやめておこう、という趣向になっている。 内容は1話が7ページ程度で、舞台は江戸時代。狐が化けたり、異形のものが部屋の隅にいたり、夢に捕らえられたりする。必ずしもはっきりとした結末があるわけではなく、断章というか、ふつっと途中で終わってしまうようなお話も多い。はてこれはどういう意味なのだろうと考え、コマを眺めているうちに、なんとも言えぬ心許なさとともに恐ろしさがゾクっと立ち上ってくる。 実に不思議な作品である。 お話もそうだが、極度に省略され、時には白々と、あるいは黒々と単純化された絵柄も、却って心裏の深奥を覗くようであり、深くて怖い。 筆者は江戸~明治期の風俗に通じて、考証の確かさは定評のあるところ。 女御やちょんまげ、所持品などの描きわけを見ているだけでも楽しいし、第1コマ目からその世界へと引きずり込まれる独特の画力は、見事というしかない。

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2018/12/19

杉浦日向子 「 百物語 」 怪異物語集。著者の最後の漫画? 人とバケモノ、あの世とこの世、生と死、夢と現実 の境界線が曖昧な世界観は見事。 人物の表情や風景からも 伝承性、怪奇性、人間性をうまく描写している。限られたページの中で 質の高いオリジナル作品を これだけ描くのは...

杉浦日向子 「 百物語 」 怪異物語集。著者の最後の漫画? 人とバケモノ、あの世とこの世、生と死、夢と現実 の境界線が曖昧な世界観は見事。 人物の表情や風景からも 伝承性、怪奇性、人間性をうまく描写している。限られたページの中で 質の高いオリジナル作品を これだけ描くのは 大変 「正体など見きわめる必要はない〜あれ(亡き妻の霊)は わからぬものなのだ。迷わず 転居した方がいい」

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2018/11/18

先日『遠野物語remix』を読んで怪談奇談の面白さを実感していたところ、往来堂書店「D坂文庫2013夏」に本書がラインアップされているのを見つけ、即買い。 漫画で描かれたこの江戸時代の怪異譚集から感じられるのは、怖さ怪しさだけではなく、滑稽さであったり、優しさであったり。そして本...

先日『遠野物語remix』を読んで怪談奇談の面白さを実感していたところ、往来堂書店「D坂文庫2013夏」に本書がラインアップされているのを見つけ、即買い。 漫画で描かれたこの江戸時代の怪異譚集から感じられるのは、怖さ怪しさだけではなく、滑稽さであったり、優しさであったり。そして本書を読んでいる途中で気づいたことは、実は怪談とは人間が普段の営みの中で持つ感情のひとつの表現方法なのでは、ということ。後悔とか憎悪とか、そして時には愛情でさえ表に出すことにはばかりがある。それを効果的に表現する方法が怪談。こう考えると、どの話からも人間の生の声が聞こえてくる(気がする)。 ちなみに、本書は『ダ・ヴィンチ9月号』の「初心者でも楽しめる怪談本ランキング」の第4位。

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2018/05/05

ちょろけんの表現が時代考証をやって無いつうてもアレだとか、森銑三先生の本からのアレはーの前に、  その『物言ふ小箱』からの話(その五十四)の、ふてぶてしいぬこのもふもふが怖い次に、あの、 「いや どなたかござる」  てふあの、これみみみみみみみみ耳嚢の。

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2017/11/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いくつかこの作者の作品を読んだことはあるのだが、 骸骨店員本田さん のインタビューを読んで選択。 江戸時代の事なのだろうけれど、風俗等が本当自然ですんなりと受け入れられる。 熟知しているからこそ、逆にアッサリと描けるのだろうか。。 時に拙くとさえ感じてしまう絵なのに、ここぞ!という時の妖艶さ、不気味さが凄い。。。 妙に記憶に残る話があったりして 確かにふとした時に、再読したくなる作品だと思った。

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2017/09/07

恐怖ではなく、ほっこりした怪異。江戸の人が、不思議な現象・人が恐怖を感じる闇に上手に付き合っている印象を受けた。師匠の絵が、これまた良い!

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2017/06/13

つい300年前ま物の怪は生活に溶け込んでたのかなあと 怖いけど怖いだけでもなく、ちょっともの悲しくて懐かしいような

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2017/05/04

拍子抜けするようなオチっていうか、オチのないものも結構あるんだけど、逆にそれが、日常と非日常の境目をおおらかに捉えている昔の人の印象に繋がって、嫌な感じはしない。そういうおおらかさを、自分も常に持ち合わせていたいと思います。

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2016/11/23

この作品は好きすぎて好きすぎて文章がまとめられません。人と物の怪達が普通に隣り合わせで暮らしていて、特に害を成すわけでもなく当然のこととして生きている。しかもそれが日本に昔からあったというのが最高です。

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2016/10/08

「小説新潮」に1986年4月から1993年2月まで連載された、不思議なる物語り、100話。 杉浦日向子さんなので、もちろん怖がらせるためだけのギャーギャーしてる話ではない。江戸時代の人びとの、不思議に出会い、巻き込まれたり、受け入れたり、ただただ生活の中にある不思議が描かれていて...

「小説新潮」に1986年4月から1993年2月まで連載された、不思議なる物語り、100話。 杉浦日向子さんなので、もちろん怖がらせるためだけのギャーギャーしてる話ではない。江戸時代の人びとの、不思議に出会い、巻き込まれたり、受け入れたり、ただただ生活の中にある不思議が描かれていて、じんわりと怖い。

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