ミカドの肖像 の商品レビュー
欧米にはミカドゲームなるものが存在するという。ミカドという音楽バンドへの取材から出発し、いかに堤一族が西武王国として、プリンスホテルを築いていったか、皇族との関係、三島由紀夫までの洞察と壮大かつ世界的な調査に基づく歴史像を明らかにしている。猪瀬直樹の調査力に驚く。
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もう読後に皇居まで行って東京海上を見上げちゃったよ、でも確かにあの場所はガチでヤバイよね(笑)。善にも悪にも神がいるんだそうだ、だから善だけが神というのはスデに刷込まれた教育観念だそうで。だから天皇を善だけで観るのは浅いし、悪だけで観るのも全容を把握できなくなるみたい。この本だけ...
もう読後に皇居まで行って東京海上を見上げちゃったよ、でも確かにあの場所はガチでヤバイよね(笑)。善にも悪にも神がいるんだそうだ、だから善だけが神というのはスデに刷込まれた教育観念だそうで。だから天皇を善だけで観るのは浅いし、悪だけで観るのも全容を把握できなくなるみたい。この本だけに敬意を払うつもりはさらさらないけど、やっぱ筆者のような強烈な人間性からは目が離せないボクでした。
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強大な遠心力の働く日本の空虚な中心 プリンスホテルの名を冠する西武系のホテルその命名の謎、19世紀ヨーロッパを席巻したオペレッタ「ミカド」、やんごとなき大君の御姿を衆目にさらすことになった「御真影」、「ミカド」をキーワードとした3つの柱を軸に、近代天皇制とは何かを考える。 第1...
強大な遠心力の働く日本の空虚な中心 プリンスホテルの名を冠する西武系のホテルその命名の謎、19世紀ヨーロッパを席巻したオペレッタ「ミカド」、やんごとなき大君の御姿を衆目にさらすことになった「御真影」、「ミカド」をキーワードとした3つの柱を軸に、近代天皇制とは何かを考える。 第1部「プリンスホテルの謎」 西武グループ創業者堤康次郎は、戦中戦後を通して資産の管理に困窮した旧皇族たちの邸宅や土地を廉価で手に入れ、そこにプリンスの名を冠するホテルを建てることにより「どんな一流の建築家に委嘱しても手に入れることができないグレード」を大衆に販売することに成功した。土地をめぐる皇室と西武グループの密なる関係。 第2部「歌劇ミカドをめぐる旅」 19世紀ヨーロッパで人気を博したオペレッタ・ミカドは、死刑を愛好する残虐な独裁者・ミカドの治める「ティティプ」の町で繰り広げられる珍騒動を描く。世界の中心をヨーロッパに置く当時の人たちが、日本を未開の最果ての国として想像しどのように捉えていたかが見えてくる。 第3部「心象風景のなかの天皇」 世にもっとも知られている明治天皇の御真影は、西郷隆盛の肖像を描いたことでも知られる、イタリアからやってきた当時のお雇い外国人・キヨソーネの描いた肖像を再度写真として撮影したものであった。この御真影をめぐっても視えざる力が作用する紆余曲折があった。 「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」(第1条)と日本国憲法に定義される天皇ですが、そもそも「象徴」というのは曖昧で非常に捕らえにくい。著者は、万世一系を守るやんごとなき天皇の御身ゆえ禁忌につつまれた皇居を、都心のど真ん中に位置し、「ひたすら効率を求めて突っ走る日本人にとって都合のよい象徴空間であり、あらゆる争点を呑み込む巨大なブラックホール」と例えています。 しかし明治以来世界に向けて門戸を開いたこの国の中心となってきたのは紛れも無くこの核なき「空虚な中心」でした。そこには強大な遠心力が働いていてここから内外を問わず「ミカド」のエッセンスを帯びたかけらが飛散して行ったのだと思われます。「ミカド」をめぐる上記3本の柱は、本来なら一部ごとに一冊の本にできるほど緻密な考察になっています。互いに一見脈絡がないようにもみえますが、そこにあきらかにされた事実が実はそうしたかけらの一つ一つであり、同時に近代天皇制を縁取る1ピースになっていることに気づきます。 本書は、この空虚な中心に直に手を入れて確かめることが不可能であれば、どんなに距離があろうとも確実にその周縁に当ると思われるこうした事実を、時間、空間に関わらず世界に取材して丁寧に拾い集めることにより、その像を顕かにしようという労作です。 巻末に参考文献が列記されているのですが、古今東西ジャンルを問わず400冊にも及ぶその書籍のラインナップに圧倒されます。「空虚な中心としての近代天皇制を一つの像に結ぶ」というこの作業の困難さを想像するとともに、なんとしても遣り果せるという著者の執念を見たような思いに駆られました。
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・軽く手に取って読み始めてみたらとんでもない本だった。実際に天皇を語ることはせずに近代天皇制を語りつくした圧巻の一冊。皇居を見下ろすビルからプリンスホテル、ミカドゲーム、ミカドの街、オペレッタ「ミカド」、天皇御真影、富士山に浜辺と松のような日本の原風景(とされているもの)、と縦横...
・軽く手に取って読み始めてみたらとんでもない本だった。実際に天皇を語ることはせずに近代天皇制を語りつくした圧巻の一冊。皇居を見下ろすビルからプリンスホテル、ミカドゲーム、ミカドの街、オペレッタ「ミカド」、天皇御真影、富士山に浜辺と松のような日本の原風景(とされているもの)、と縦横無尽に駆け巡る。 ・前半ではあまりにかけ離れた題材を扱う各章の展開に何が言いたいのかわからず投げ出しそうになったが、中盤まで読み進めるとこれは天皇制が放った光とその影を拾い集め、実際の天皇制を浮き彫りにしようという試みだということに気づかされた。 ・猪瀬直樹の本はマンガの「ラストニュース」しか読んだことがなく、天皇制に大してどういうスタンスなのかが量れないまま、時に不快感を覚えつつ読み進んだ。読了した今となっては、その不快感は消え去った。ここまで真摯に天皇制について調べつくした男が左右どちらにいたっていい。 ・本書は雑学としても興味深い内容が多い。プリンスホテルがすべて旧皇族の土地に建っているという事実、明治天皇の御真影はイタリア人画家の手による肖像画であったこと、欧米では日本人の知らぬ所でミカドと言う名のオペレッタが一般に広く知れ渡っていること(英国人の同僚も知っていた)、富士山を原風景とするような日本風景論という言論の展開があったということ、などなど。 ・この本が昭和の終わりに書かれているというのも多少面白さを感じる。これを今皇居を見下ろす新丸ビルから書いているが、過去に東京海上ビルが120m以上の高さで設計した所100mを切る形でしか建設出来なかったという事実があった。今は丸の内にはるか100mを超えるビルが立ち並ぶが、この本の後いったいどういう変化があったのか。そこに本書が書かれた当時とは違う現代の天皇の肖像が見える気がする。
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昔読んだ本だけど電子書籍になったので再び購入。西武グループの現在の姿をみると隔世の感がある。 東京の町に興味があるので第一部は楽しく一気に読めた。第二部、第三部は難しい。正直良くわからなかった。第一部のファンなので、続編にあたる土地の神話の方が好きです。
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天皇が日本の象徴とされた今でも、天皇の存在は都市に浸透しているという話。 西武グループの堤康次郎は、ホテルに「プリンス」という冠をつけ、天皇家を利用したと言っていい。
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ツイッターにつられて猪瀬 直樹さんの本を3冊買いました。これを読み始めて、1度読んだことがあることに気が付きましたが、もう1度最後まで読みました。内容が濃い。すごい人だな・・・。
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大嫌いだった高校の、苦手だった数学の先生が、試験に出る問題を全部事前に教える合間にお勧めしていた本。 ハードカバーだとすごく重いからずっと敬遠していた本で、文庫で読む決意をようやくしたという経緯。 これを読んでから軽井沢プリンスホテル系に行く機会があったり、原宿を歩くのが楽しくな...
大嫌いだった高校の、苦手だった数学の先生が、試験に出る問題を全部事前に教える合間にお勧めしていた本。 ハードカバーだとすごく重いからずっと敬遠していた本で、文庫で読む決意をようやくしたという経緯。 これを読んでから軽井沢プリンスホテル系に行く機会があったり、原宿を歩くのが楽しくなったり、いろいろといまの風景を深読みできるようになったので、イイ一冊。
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@yonda4 初めて猪瀬直樹さんの本を読んだのだが、僕が不勉強のためどうしても内容がよくわからなかった。 第一部の西武の堤一族が戦後のどさくさに紛れ、宮家(皇族の身分の保持を許された一家)の土地を買収していく亡者ぶりはよくわかった。 しかしながら、第二部、第三部は、話の...
@yonda4 初めて猪瀬直樹さんの本を読んだのだが、僕が不勉強のためどうしても内容がよくわからなかった。 第一部の西武の堤一族が戦後のどさくさに紛れ、宮家(皇族の身分の保持を許された一家)の土地を買収していく亡者ぶりはよくわかった。 しかしながら、第二部、第三部は、話の内容が右往左往し、話の筋を見失ってしまい、読書が苦行に感じてしまった。 取材力はすごいと思うのだが、文章を理解することができなかった。
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大学の講義で第Ⅰ部が引用されていて気になったので読んだ。 とにかく量が多くて、読了するのに時間がかかってしまったが、その調査量に裏打ちされた濃さは凄かった。 とりわけ第Ⅰ部が個人的には面白く読めた。東京海上ビル、原宿宮廷ホーム、プリンスホテルなどが抱えてきた知られざる問題に光を...
大学の講義で第Ⅰ部が引用されていて気になったので読んだ。 とにかく量が多くて、読了するのに時間がかかってしまったが、その調査量に裏打ちされた濃さは凄かった。 とりわけ第Ⅰ部が個人的には面白く読めた。東京海上ビル、原宿宮廷ホーム、プリンスホテルなどが抱えてきた知られざる問題に光をあて、なぜそのような結果になったのかを追っている。 全体を通して見えてきたのは、日本という国に住まう日本人は、多くの局面で「空虚」に翻弄される主体性無き人格なのかも、ということだった。
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