ミカドの肖像 の商品レビュー
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帝(天皇)に関するあれこれを取材したドキュメンタリー。 皇居を臨むビルの高さが制限されたことやプリンスホテルの名前の由来から 立地場所の由来、天皇崩御の際のしきたりやらオペレッタ「MIKADO」、 ミカドゲームという海外の遊びから御真影の裏話まで とにかく情報量も取材量も圧倒的で引き込まれました。 とはいえ800ページを超える大作なので読むのには時間がかかりました。 1980年代に書かれた文章ですが古臭いことも全くありませんでした。 今でこそ皇室のスキャンダルも色々と報じられていますが 昔の宮家も放蕩な人が結構いたり大概だったのだなぁと興味深かったです。
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ボリュームがあって後半は特に読むのが大変だったけど、面白かったです。前半だけでも読んでみて。 日本国の天皇(ミカド・プリンス)とは何か?を日本はもちろん海外からの視点でも少しづつ丁寧に、しつこくしつこく謎を解きほぐしていきます。世界一周して取材、スゴイ。 西武グループが皇族の土...
ボリュームがあって後半は特に読むのが大変だったけど、面白かったです。前半だけでも読んでみて。 日本国の天皇(ミカド・プリンス)とは何か?を日本はもちろん海外からの視点でも少しづつ丁寧に、しつこくしつこく謎を解きほぐしていきます。世界一周して取材、スゴイ。 西武グループが皇族の土地を買い上げて建てた『プリンスホテル』の謎から堤康次郎の執念が明かされ、『ミカド』というゲームの謎はアメリカの「ミカド」という町からオペラ「ミカド」につながっていく。めちゃくちゃ面白い。 猪瀬氏は天皇を『空虚な中心』と表現しています。天皇を神聖化するための数々のタブーや暗黙の了解により、国民は天皇の実態をよく知らない「お上の存在」という意味でポッカリ空いた空間はイメージできますが、むなしい心持ちや、うつろな感じという『空虚』という表現はこの本を読むとよりしっくりきます。 そんな空虚な中心から日本のレジャーランド化や大衆の近代化の「うねり」を感じました。 私は日本人だから、この国の天皇とはどんな人物なのか?他の国からどう思われているのか?やっぱり興味があるんだなぁ。
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天皇という空虚な中心.日本人のアイデンティティを探究した本. ただし天皇そのものは語らず,天皇の周囲を取り巻くものにスポットライトをあてそれをとことん探究する. ジャーナリズムとはこういうことか!と感じざるを得ないボリュームと内容の濃さに圧巻.この濃密さがフィクションを凌駕するリ...
天皇という空虚な中心.日本人のアイデンティティを探究した本. ただし天皇そのものは語らず,天皇の周囲を取り巻くものにスポットライトをあてそれをとことん探究する. ジャーナリズムとはこういうことか!と感じざるを得ないボリュームと内容の濃さに圧巻.この濃密さがフィクションを凌駕するリアルの面白さに繋がっている. この本を手に取ったということ自体、皇族に対する何かしらの独特な観念を持っているということの所作なのかもしれない 時間の都合上第三部はあまり読めなかった.またいつか. 猪瀬氏の他の作品も読もう. ================================== 問い: 日本人一人一人にとって、天皇とはなんなのか "世界一の大都会東京には”空虚な中心”がある" 皇居付近のビル建設のタブー・圧力,天皇専用鉄道ダイヤを組むスジ屋 "美観とは主観のことだから、百人いれば百様の意見が出るのは当然" 丸の内の東京海上のビル 99.7m ミカドを取り巻くタブー 原宿 宮廷ホーム 2001年以降未使用 上皇后 ロマンス婚 軽井沢のテニスコート、 →大衆の夢のモデルケース? GHQ->皇籍離脱ー>免税特権など剥奪ー>課税 政府は一時金という名の手切金をわたす 新高輪プリンスホテル 北白川家土地 売買にて金利による支払いの先延ばしと西武Gへの縁故採用。天下り的な 皇族は一時的な課税所得が減った。西武は金利を払って余りあるキャピタルゲインを得た。 「西武に土地を売れば、あなたを社員として迎えたい」 堤家(西武グループ)は、その天皇家の"藩屏である皇族の宮殿と宅地を収奪し、そのブランドを借用することによって、新時代のチャンピオンに成り上がったといえよう。 プリンスヒロヒトと英国皇太子の親善試合 私鉄網の発達時代、各社は終点にデパートを、もう一方の端にレジャーランドを設置。→私鉄は発生の時からきっぷをうるのではなくライフスタイルを売っていた。 「労働は苦痛を伴う激しい競争の中で繰り広げられています。かつては労働自体が苦痛でした。今競争がきつくなっているのです。特に日本のような平等社会は、個性的であることが恥ずかしい。そのためにアイデンティティーの危機すら招いています。」 ミカドゲーム 西洋の歌劇ミカドが揶揄する。日本観("陛下の思し召しはすなわち法なのです。") 宮さま宮さま 日本初の軍歌。江戸幕府を得た300年以来の王政復古 "西武プリンスホテルが皇族の土地を手中におさめたのは、都心という得難い立地条件のほかに、それに付随した神話も同時に購入するためであった。" "ホテルを利用する顧客は、ベッドで就寝する目的以外の様々なソフトを買いに来る。宴会、結婚式、飲食、買物、観劇、眺望、入浴、スポーツ、セックス…。" "ホテルにおけるそれらの行為は、非日常に属するモノでなければならない" 解説 "私は自分を指導する大学院生猪瀬氏の著作を読ませている。それは綿密な事実調査を積み重ねていくことから圧倒的なリアリティを書き出し、そこから社会の「隠された構造」を照射すると言う方法が、優れた文化人類学者の営為と極めて近いからだ。
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天皇のイメージを、天皇を取り巻く様々な人々が炙り出そうとした本。天皇そのものの考察はないが、例えば、宮家の土地を次々と買い漁った西武グループが、なぜ宮家の土地を手に入れたのかなどを通じて、当時の宮家や皇室の状況が描き出されている。西武線沿線に住んでる自分としては、とても面白かった...
天皇のイメージを、天皇を取り巻く様々な人々が炙り出そうとした本。天皇そのものの考察はないが、例えば、宮家の土地を次々と買い漁った西武グループが、なぜ宮家の土地を手に入れたのかなどを通じて、当時の宮家や皇室の状況が描き出されている。西武線沿線に住んでる自分としては、とても面白かったです。
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猪瀬氏の若い頃の大作。 この視点でここまでしぶとく調べ尽くすというのは、なかなかないと思う。 前半が西武グループ、プリンスホテルは元皇族の土地に建っていると言う話。 後半はミカドというオペレッタを通して海外から日本がどう見えているのかという話が中心。 日本という国の中で象徴であ...
猪瀬氏の若い頃の大作。 この視点でここまでしぶとく調べ尽くすというのは、なかなかないと思う。 前半が西武グループ、プリンスホテルは元皇族の土地に建っていると言う話。 後半はミカドというオペレッタを通して海外から日本がどう見えているのかという話が中心。 日本という国の中で象徴である天皇が、海外の目からは中心でありながら空虚に見えるというのを様々な事実から描こうとする。 前半は西武グループ堤代表の伝記としても読めておもしろかったが、後半は読んでてだれてきた。 細かい話にしつこく迫る様子が、ある意味猪瀬氏の持ち味であり強味なのだが、あまりに細かいところまで突っ込むのでついていくのがしんどくなってくる。 この視点と追求力はすさまじく、正直このような都知事のもとで働く東京都職員はさぞかし大変だったろう。 というかこの特長は、都知事というよりは野党議員が持つべき?
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著者の猪瀬さんの著作を読んでみたいと思ったので読んだ本。自分の読書のレベルよりも語彙や内容が難しくて、読むのに苦労した本。プリンスホテルの土地入手の流れやオペラに「ミカド」という演目があるということをこの本を読んで初めて知った。この本を読んで作家から東京都の副知事になれた理由がわかった。次は猪瀬さんのもっと簡単な内容の本が読んでみたいと思った。
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天皇にまつわる様々な出来事を綴ったノンフィクション。内容が多岐に渡り、読み応え抜群。テレビでは放送できないタブーに触れるような内容が本ならではのおもしろさ。
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西武の堤家が皇族たちから安く土地を買いあさったといった歴史が綿密にまとめられているが、詳細すぎて通勤の合間に読むのには辛く、挫折。本テーマについて強い興味があるわけではない人には辛いか。
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ミカドの痕跡を近代史や海外から掘り起こし、天皇制と近代日本について論じた力作。あたかも枝ぶりの良い巨木を眺めるようなスケール感はあるが、枝葉が広がり過ぎてしまった感も否めない。もう少し剪定をして小ぶりにまとめて欲しかった。 ただし、西武グループと皇室の関係を描いた第一部の「プリン...
ミカドの痕跡を近代史や海外から掘り起こし、天皇制と近代日本について論じた力作。あたかも枝ぶりの良い巨木を眺めるようなスケール感はあるが、枝葉が広がり過ぎてしまった感も否めない。もう少し剪定をして小ぶりにまとめて欲しかった。 ただし、西武グループと皇室の関係を描いた第一部の「プリンスホテルの謎」は抜群に面白かった。 西武という企業の経営のカラクリが分かるばかりではなく、堤康次郎、清二、義昭、というそれぞれの時代に君臨した稀有な親子の内面にまで肉薄するノンフィクションの傑作だと思う。第二部では「ミカド」という日本では馴染みのないオペレッタが、欧米では広く日本に対するイメージ形成に影響したこと、第三部では明治天皇の「御真影」や志賀重昂の「 日本風景論」という書物が、日本人自身の心性や文化に深く影響を与えたことを論じている。いずれも切り口が斬新でジャーナリストとしての猪瀬氏の力量に感服。東京都知事になって味噌がついてしまったのはくれぐれも残念。
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堤義明氏の逮捕の報道は、ぼくでもちょっとした驚きだった。西武グループという大きな看板を持った大物の逮捕だけにそう思ったのだが、同時に以前読んだ一冊の本のことを思い出した。 猪瀬直樹著「ミカドの肖像」 近代天皇制と日本人との関係を、これまでの天皇論とはまったく異なる角度から猪瀬...
堤義明氏の逮捕の報道は、ぼくでもちょっとした驚きだった。西武グループという大きな看板を持った大物の逮捕だけにそう思ったのだが、同時に以前読んだ一冊の本のことを思い出した。 猪瀬直樹著「ミカドの肖像」 近代天皇制と日本人との関係を、これまでの天皇論とはまったく異なる角度から猪瀬氏らしい独自の取材と論法で、立体的に探っていくなかなかの秀作で、ぼくは天皇のことをいろいろ調べてた折に読んだのだが、それ以上にそこに出てくる西武グループの堤一族と皇族との関係にスキャンダラスな要素も含みつつ刺激的だった。当時ぼくからしたら西武ライオンズやパルコのセゾングループの西武だから、そんな西武と天皇との関係は素直におもしろかった。 このとき、ぼくは間違った事実を覚えていたらしい。堤康二郎の三男の義明をぼくはずっと西武セゾングループの方、つまりは百貨店の方を仕切っていて、異母兄の清二が西武鉄道を主とする西武グループを継いだものと思っていたのだ。実際はまったく逆だった。 でもそれもそのはず。兄の清二は、皇族と関係のあった康二郎を尻目に日本共産党に入党したり、自ら勘当されるように仕向けたりと、康二郎に反発していたようなのだ。そんなとき義明は康二郎の後ろをひた歩き、帝王学を学び、康二郎の築いたものを継承しえたのだろう。 堤一族がこうしてひとつの時代を築き、時代から去ろうとしているわけだ。西武という大きなものが解体されていく中で、昭和の終焉をいまさらながらに感じるのは、堤一族と天皇との意味深な関係をどうしても想起してしまうからなのか。
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