神々の沈黙 の商品レビュー
この説の真偽はともかくとして。 おもしろい。 内容はかなり細かく細分されているし、膨大な文献の量を見ても真剣な論述であることは間違いないけれど。 内容が、ドラマチックだし、ロマンチックだと思う。 神の声が聞こえなくなった現在、神話に生きていた人たちはどのように行動をするか。 宇宙...
この説の真偽はともかくとして。 おもしろい。 内容はかなり細かく細分されているし、膨大な文献の量を見ても真剣な論述であることは間違いないけれど。 内容が、ドラマチックだし、ロマンチックだと思う。 神の声が聞こえなくなった現在、神話に生きていた人たちはどのように行動をするか。 宇宙のはじまりも、神の声も、いつになったら私たちには手が届くようになるんだろう。
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人類の意識は、今からわずか3000年前に目覚めたもの。という仮説を様々な検証をもとに打ち立てた。人間が文字と意識をえた代わりに神々は沈黙したとジュリアン・ジェインズは、表現した。知覚と意識は同一視したはならないと彼は強く訴える。面白い。
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内容 3000年前まで人類は「意識」を持っていなかった! 古代文明は、意識を持つ前の<二分心>の持ち主の創造物。 豊富な文献と古代遺跡の分析から、意識の誕生をめぐる壮大な仮説を提唱。 賞賛と20世紀最大の大議論を呼んだ「知られざる巨人」渾身の書!
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以前に読んだ「多神教と一神教」で紹介されていたことより関心を持ち、入手する。人類の意識の起源に関する壮大な仮説の書。ポイントは2点。・人類に意識が生じたのはわずか3000年程前の事である。$$・それ以前は、外部刺激は右脳で処理され、絶対的指示として、ヒトを動かしていた。この絶対...
以前に読んだ「多神教と一神教」で紹介されていたことより関心を持ち、入手する。人類の意識の起源に関する壮大な仮説の書。ポイントは2点。・人類に意識が生じたのはわずか3000年程前の事である。$$・それ以前は、外部刺激は右脳で処理され、絶対的指示として、ヒトを動かしていた。この絶対的指示を”神”と呼んでいる。 著者は、当初は生物学者として動物の意識の進化を探っていたが、逆に、今ある意識がいつから生じたのかを考察するなかでこの”発見”に行き着いたらしい。ただし、形がないものを検証するために、、本書で展開される論証は、心理学・人類学・歴史・宗教・文学・音楽など、あらゆる分野から題材を収集している。また同じ理由でと推測するが、本書が1978年に著されてから、後に続く研究があまりにも少ない。 読み終わって、首肯すべき論拠もあるが、俄かには信じがたいというのが素直な感想です。トンデモ本とも思われがちだが、その判断をするための比較検証・論考も少ないため、今はまだ、判断保留です。
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30年以上も前に書かれた本なのだけれど、 内容は随分先に行っちゃってる感のある稀代の奇書。 古代ギリシャ時代の文献などを資料として扱いつつ、 3000年前の人類においては、右脳に宿った「神」が 命令を下して人の行動を左右していたというトンデモな仮説 が展開される。 話題が多岐...
30年以上も前に書かれた本なのだけれど、 内容は随分先に行っちゃってる感のある稀代の奇書。 古代ギリシャ時代の文献などを資料として扱いつつ、 3000年前の人類においては、右脳に宿った「神」が 命令を下して人の行動を左右していたというトンデモな仮説 が展開される。 話題が多岐にわたりすぎている嫌いもあるが、 個人的には学術書としてというよりはエンタメ本として 楽しめた。 村上春樹「1Q84」で、青豆が 教祖と対峙する場面での教祖による「リトルピープル」の 説明との微妙な共通性も見えて面白い。
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心理学界に一席を投じた書だが、中級以上の魔術師にとってはInvocationの技法を精錬させるための極めて重要なヒントが得られる。 どう使うかは読者次第。
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自分の常識を疑い、壊す能力に敬服する。自分の主張のゴール地点の設定を行った時点で、すでにこの人物の偉大さが決定されたも同然だったと思う。
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まだ、数ページしか読んでいないけど、手元に置いておきたいと思ったいくつかの本の一冊。 「アナロジーの力」と同じ、基本図書。
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今から3000年以上前の人々には「意識」がなかったのだという仮説を、「イーリアス」「オデュッセイア」などの古代の様々な文献や、壁画などの資料を基に、丹念に検討して解明していく、巨大スケールの解説書。とにかく、古代文明についての調査の細かさと、その仮説の隙のない緻密さがハンパじゃな...
今から3000年以上前の人々には「意識」がなかったのだという仮説を、「イーリアス」「オデュッセイア」などの古代の様々な文献や、壁画などの資料を基に、丹念に検討して解明していく、巨大スケールの解説書。とにかく、古代文明についての調査の細かさと、その仮説の隙のない緻密さがハンパじゃない。 「意識」がなかった時代、人はどうして生活をしていたかというと、「右脳に聞こえてくる神々の声」に従ってすべての行動を決めていたのだという。今から3000年前というと、人類の歴史からすればつい最近のことで、これはびっくりする話しだ。 人は、自分の「意識」というものをかなり信頼しているけれど、それは、「意識」=「自分」という思い込みがあるからだ。 「我思うゆえに我有り」とは言っても、思わなかったことは自分自身では把握出来ないのだから、「我思わなかったとしても我有り」なのかもしれない。 「意識」というものは実は、アイデンティティーをそれほど明確に保障してくれるものではないだろうと思う。 学問的には、この本で説明されていることはまだ仮説の段階なのだけれども、これだけ筋道だった解説で、はっきりとした証拠を挙げられると、疑う余地がないくらいの説得力を感じる。 ある程度以上の人口が集まれば、そこには国家や文字を成立させなければいけない事情が生まれて、それらをきちんと存続させるには、どうしても「意識」を人が持たなければならなかった。そして、いったん意識を持ってしまった人類は、もう、元の「意識がなかった」状態には戻ることは出来ない。 自分の意識というものを持たず、頭の中に聞こえる声に忠実に従って生きるというのは、現代の感覚からすると奴隷のような不自由さにも思えるけれど、悩みを持つことがない分、幸せな気もする。 「意識」を持つことと引き換えに神の声が聞こえなくなるというのは、進化ではなく、退化だったのかもしれないと思う。 進化の不連続性は恐ろしいまでに厳然としていた。とりわけ、人間の意識の働きが、生物界一般の漸進的発達、さらに人類の肉体の進歩を決定したのと同じ法則によって進化したはずはなかった。(p.20) 人類と言語と都市が<二分心>に基づいて組織されるならば、いかなる歴史もほんの一握りの決まったパターンしかとりえないのではなかろうか。(p.192) ギリシアの意識ある主観的心は、歌や詩から生まれた。この心は、そこから固有の歴史的変遷を遂げ、ソクラテスの<物語化>による内観へ、アリストテレスによる空間化された分類・分析へつながり、さらに、そこからヘブライ思想、ヘレニズム思想、ローマ思想へと発展する。そしてそれに続き、ギリシアの意識ある主観的心のおかげで、二度ともとへは戻れぬ世界の歴史が始まったのだ。(p.354) しかし、話を先に進めよう。意識が心の営みに占める割合は、私たちが意識しているよりははるかに小さい。というのも、私たちは意識していないものを意識することができないからだ。これは言うのはたやすいが、十分理解するのはなんと難しいことか。暗い部屋で、まったく光の当たっていない物を探してほしいと、懐中電灯に頼むようなものだ。懐中電灯はどの方向にあろうと自分が向く方向には光があるので、どこにでも光があると結論づけるに違いない。これと同じように、意識は心のどこにでも行き渡っているように思えてしまう。実際にはそうではないのに、だ。
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