あやし の商品レビュー
杉浦日向子『百物語』を思い出させる、ほっこりした怪異という印象。「布団部屋」では亡くなった姉が妹を守る健気さにほっこり。「安達家の鬼」の哀れな鬼、「時雨鬼」ではお信が悪い男に引っかからないよう忠告する桂庵の女房の姿をした鬼が印象的。「蜆塚」も桂庵を舞台にした怪異なのだが、不老不死...
杉浦日向子『百物語』を思い出させる、ほっこりした怪異という印象。「布団部屋」では亡くなった姉が妹を守る健気さにほっこり。「安達家の鬼」の哀れな鬼、「時雨鬼」ではお信が悪い男に引っかからないよう忠告する桂庵の女房の姿をした鬼が印象的。「蜆塚」も桂庵を舞台にした怪異なのだが、不老不死の男の正体に気付いてしまった米介の無残な死が、浅草御蔵の御蔵蜆の恨みへと結びついてしまう変化球ときた。真相を知る語り手と読者だけがゾクッとする趣向だ。
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- ネタバレ
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江戸を舞台にした、ふしぎ(怪奇)噺9篇(「居眠り心中」「影牢」「布団部屋」「梅の雨降る」「安達家の鬼」「女の首」「時雨鬼」「灰神楽」「蜆塚」)を収録した奇談小説集。 ―― https://bookmeter.com/reviews/70012876
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時代物の怪談話。江戸の町が目の前に広がるかのような描写で、商家の奉公人たちの物語が語られる。それぞれいろいろな想いや事情で生きる彼らの物語は、どの話も、これから何が語られるんだろうと引き込んでくる。そして顔を出す妖しいものたち。人の情念の怖さもあれば、得体の知れない何かによる怖さ...
時代物の怪談話。江戸の町が目の前に広がるかのような描写で、商家の奉公人たちの物語が語られる。それぞれいろいろな想いや事情で生きる彼らの物語は、どの話も、これから何が語られるんだろうと引き込んでくる。そして顔を出す妖しいものたち。人の情念の怖さもあれば、得体の知れない何かによる怖さも。 「影牢」がいろいろな意味で抜きん出て怖い。「女の首」や「安達家の鬼」は、哀しくも優しく、じんとしますね。他とは質感の違う怖さの「蜆塚」もよい。ほんとうにどの話もよいです。
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江戸時代の商家を舞台として描かれる、この世のものではないものが絡む短編。 奉公人の日々の決まり事やら、背景の設定が私たちの日常とは違っている上ぶれないから、本当に怖いのは、人かも・・・とストレート伝わってきて、こわいこわい。 それでも、一番、心が温まるのも人ゆえか。 再読だ...
江戸時代の商家を舞台として描かれる、この世のものではないものが絡む短編。 奉公人の日々の決まり事やら、背景の設定が私たちの日常とは違っている上ぶれないから、本当に怖いのは、人かも・・・とストレート伝わってきて、こわいこわい。 それでも、一番、心が温まるのも人ゆえか。 再読だったことに読後気が付いて、自分のバカさ加減にあきれる。
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江戸、商家の奉公人たちにまつわる「妖」な短編9作 どの妖も、ただ怖いだけではなく 哀しいのが宮部作品の特徴。 なるほど、これが三島屋シリーズに繋がっていくのだなぁ
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若旦那に気に入られた銀次が見聞きした話ー居眠り心中 蝋問屋岡田屋に起こった惨劇とはー影牢 酒屋兼子屋の女中奉公に上がったおゆうはー布団部屋 しっかり者の姉の行く末ー梅の雨降る 義母の昔語りー安達家の鬼 孤児になった太郎が奉公に上がった先にー女の首 口入れ屋にやってきた娘が出会った...
若旦那に気に入られた銀次が見聞きした話ー居眠り心中 蝋問屋岡田屋に起こった惨劇とはー影牢 酒屋兼子屋の女中奉公に上がったおゆうはー布団部屋 しっかり者の姉の行く末ー梅の雨降る 義母の昔語りー安達家の鬼 孤児になった太郎が奉公に上がった先にー女の首 口入れ屋にやってきた娘が出会った女ー時雨鬼 下駄屋の平良屋で刃傷沙汰がおこるー灰神楽 口入れ屋の二代目が耳にした不思議な話ー蜆塚 以上商家の奉公人にまつわる9本の短編。 お話として一番好きなのは「女の首」 他はちょっと短くて「ふぅん」という域を出なかった。 奉公人や商家の毎日が垣間見れるようで、そのあたりは楽しい。
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怖い怖いと聞いていたので、構えて読み始めたせいか、前半は、全然怖くないじゃない、と感じていました。でもラストの「灰神楽」「蜆塚」は怖かった!家に一人だったので思わず周りを見回してしまいました。「足立家の鬼」と「女の首」が好みです。得体のしれない怪というよりは人間の怨念や心の闇によ...
怖い怖いと聞いていたので、構えて読み始めたせいか、前半は、全然怖くないじゃない、と感じていました。でもラストの「灰神楽」「蜆塚」は怖かった!家に一人だったので思わず周りを見回してしまいました。「足立家の鬼」と「女の首」が好みです。得体のしれない怪というよりは人間の怨念や心の闇によるものが多かったので恐ろしさよりも哀しさの方が印象として残りました。
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毎年、暖かくなるとなぜか読みたくなる一冊。時代もの好きにもオススメ。どこか懐かしく、温かい気持ちになる、味わい深い短編集。
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宮部みゆきの時代物は、妖しい話が多い。 「安達の鬼」では、孤独な鬼と心を通じるようになった女が、鬼と共に生きることを選ぶようになる。でもそれは決して恐ろしいことではなく、まるで唯一の家族のよう。 いつもそばにいて見守ってくる存在。
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