流しのしたの骨 の商品レビュー
見たことのない、想像をしたことがない家族の姿が描かれていたから、もやもやしている。実年齢より5歳は幼いように映る家庭内のルール、子供なのに「子供のように」振る舞ったと語り手が言うことへの違和感、物語の起伏はなくあくまで淡々と進んでいくこと。家庭の閉鎖性ってのは外から見るとこう見え...
見たことのない、想像をしたことがない家族の姿が描かれていたから、もやもやしている。実年齢より5歳は幼いように映る家庭内のルール、子供なのに「子供のように」振る舞ったと語り手が言うことへの違和感、物語の起伏はなくあくまで淡々と進んでいくこと。家庭の閉鎖性ってのは外から見るとこう見えるのかもしれない、ということが主題なのか。
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大学生の娘が「すごくよかった」というので読んでみた。 主人公に感情移入するタイプなので最初は読みにくかったけれど、「変な家族の話を書きました」というあとがきを読んで俯瞰的に読めるようになったのか、途中からは一気読み。読後感はよかった。 家族の仲がいいという言葉では表現できない...
大学生の娘が「すごくよかった」というので読んでみた。 主人公に感情移入するタイプなので最初は読みにくかったけれど、「変な家族の話を書きました」というあとがきを読んで俯瞰的に読めるようになったのか、途中からは一気読み。読後感はよかった。 家族の仲がいいという言葉では表現できない信頼感、安心感のようなものが感じられました。 親ガチャという言葉が流行語大賞の候補に入った今年ですが、家族もそれぞれ。 成人年齢が18歳に引き下げられる来年4月以降は、主人公のような生き方はできなくなるのかなあなんて思いもしました。
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ある一家の日々を切り取ったお話です。 自分の役割とあるべき像をきっちり持った母親と、自分の認めたルールに従うどっしりした父親、そして4人の兄弟がいます。1番上の既婚のそよちゃん、太ることを恐れてエネルギッシュなしま子ちゃん、主人公で自分の心の動きをよくわかっていること子ちゃん、...
ある一家の日々を切り取ったお話です。 自分の役割とあるべき像をきっちり持った母親と、自分の認めたルールに従うどっしりした父親、そして4人の兄弟がいます。1番上の既婚のそよちゃん、太ることを恐れてエネルギッシュなしま子ちゃん、主人公で自分の心の動きをよくわかっていること子ちゃん、1番下の、とても感じのいい弟の律くん。そして、こと子ちゃんの彼氏である大学生の深町くん。彼らが主人公で、彼らの考えやちょっとした出来事や、習慣を読むことになります。 このお話しではこの家族独特の暗黙のルールや空気感が流れており、まるで読者は仲のいい友人の家に初めてお泊まりをしに来たけれど、実は仲が良く沢山のことを知っていると思っていた友人は外での姿で、家の中での友人やその家族の普通に自分が浮いてしまう、だけど面白いと思って観察してしまう、そんな感じがしました。こと子ちゃん目線でそうした部分が切り取られるのですが、彼女は自分の家のことしか知らずに一つも疑わないというようなことはありません。例えばお母さんが◯◯をするときは××をする、ということが描かれるとき、××をしなければならないと思っている、というように俯瞰しています。なので余計に読者はへえ〜面白い人がいるのねというように覗き感覚で読み進められるのだと思います。
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なんで流しの下の骨って題名にしたんだろうな… 変わった家族のお話でした 作者の描く世界の落ち着いた穏やかな雰囲気が好きです
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常識で考えると宮坂家の家族は困った人たちだ、と言ってしまいたい。6人家族がみんな世間の考えとちょっとずれて変なのだ。 だって高校を卒業して19歳になる「こと子」(語り手)からして、なにもしないでぶらぶらしているのだもの。両親がちっとも心配しているようすがない。おおらかに見守って...
常識で考えると宮坂家の家族は困った人たちだ、と言ってしまいたい。6人家族がみんな世間の考えとちょっとずれて変なのだ。 だって高校を卒業して19歳になる「こと子」(語り手)からして、なにもしないでぶらぶらしているのだもの。両親がちっとも心配しているようすがない。おおらかに見守っているのかどうか。 ところが、どこかおかしい不思議な行動をしてしまう姉「そよ」、次姉「しま子」、弟「律」のきようだいに囲まれた語り手は、感性を研ぎ澄ましのどかにのどかに、なぜか憎めない(叱れない)。晩秋から春たけなわまで、日常を過ごしていく物語。 ちょっと小津安二郎の「東京物語」などの、原節子出演映画のような世界を彷彿させ、文学では永井龍男描くところの家族も思い出させ、しんみりしたのだが。 しかし、また全く違う雰囲気なのであって、それは時代が現代だし、このおしゃれっぽさは江國香織ならでは。 よその家庭の事情はおもしろくてせつない。なぜって、自分たちの家庭がけしてたいらではないから。 ともかく読み終わって「こうなれたれねー」と癒されたのはたしかだ。ということは「へん(変)」はいいことなのだ。
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好きな文章がいっぱいあって、なんだか嬉しくて読みながら何度も頬が緩んだ。 江國さんの描く色彩(冷蔵庫色とか)、光、匂いから、景色だけでなく物語の空気感、人物の気持ちが伝わってくる。穏やかに続く日々を豊かな表現の幅で様々に映し出している。 こと子ちゃんの夜の散歩とか、空を見上げる描...
好きな文章がいっぱいあって、なんだか嬉しくて読みながら何度も頬が緩んだ。 江國さんの描く色彩(冷蔵庫色とか)、光、匂いから、景色だけでなく物語の空気感、人物の気持ちが伝わってくる。穏やかに続く日々を豊かな表現の幅で様々に映し出している。 こと子ちゃんの夜の散歩とか、空を見上げる描写とか、自分の心に正直に生きてる感じとか、すごく好きだなと思った。律との会話もとっても好き。 宮坂家はちょっと不思議なところもあるけれど、素敵な習わしのようなものがいっぱいある。それぞれの性格や考えていることが違って、でもお互いに思い合って、時には寄り添ったり見守ったりしながら生活を共にする家族。家族で住んでいても、自分一人の生活があり、人生がある。それぞれがそこに向かい合いながら、一緒にいることで励まされたり優しい気持ちになったりするのがなんかいい。
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母親のお手伝いで、まめの筋とりみたいな単純作業中に本を音読して聞かせるってのがなんか良いと思った。 こと子ちゃんは妙に魅力的なので、自分が男だったら好きになってしまうなと思った。 家族ってこんなに遠慮し合っているものなんだなぁと思った。 何故?とか思ったら聞けばいいのにと思って度...
母親のお手伝いで、まめの筋とりみたいな単純作業中に本を音読して聞かせるってのがなんか良いと思った。 こと子ちゃんは妙に魅力的なので、自分が男だったら好きになってしまうなと思った。 家族ってこんなに遠慮し合っているものなんだなぁと思った。 何故?とか思ったら聞けばいいのにと思って度々もどかしかった。
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数年毎に開いては再読したくなる本のひとつ。 善良でいて皆んながそれぞれ少し変わった家族の話し。 他所のおうちの習慣や行事って新鮮に感じるけれど、普通だと思っている自分の家族だってどこかしら奇妙で愛すべきものなんだなと振り返らせてくれる。 お母さんに三姉妹、律くん・深町直人・津下さ...
数年毎に開いては再読したくなる本のひとつ。 善良でいて皆んながそれぞれ少し変わった家族の話し。 他所のおうちの習慣や行事って新鮮に感じるけれど、普通だと思っている自分の家族だってどこかしら奇妙で愛すべきものなんだなと振り返らせてくれる。 お母さんに三姉妹、律くん・深町直人・津下さんにお父さんetc、上から下まで色々なバリエーションで感情移入していけるキャラクター性が高い江國作品。 語り部のこと子ちゃんの人柄もあって、出てくる人みんな好きになっちゃうんですよねえ。 恋愛要素はある、あるけれど顛末が主題ではなくて私は人生のどこにそれを置こうか?と自問させられる…全然そんな装丁じゃないのも3周まわっていいんだ…。 恋愛系よりもこれをドラマ化してくれたら絶対絶対素敵なのに!ってずっと願っているのです。
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一番好きな小説のひとつ。 ただただ、ある家族の日常を描いただけのお話。この家の人達は(外から見ると)ちょっと風変わりで、でも、娘の視点で全然変じゃないかのように語られている。別に人と違ったっていいんだって気持ちになれて、読むとほっとする。
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いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな‘小さな弟’律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福...
いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな‘小さな弟’律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。
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