地を這う虫 の商品レビュー
渋い。そして手堅い。なんとなく藤沢周平の時代小説を思い出してしまった。短編集なので、これまで読んだ高村作品とは、ちょっと趣きが違う感じ。長編よりも、より引き締まり、渋みを強め、しかし飲み込みやすくしたウイスキーのような、というか。 そうしてみると、この人の長編小説は、あれで派...
渋い。そして手堅い。なんとなく藤沢周平の時代小説を思い出してしまった。短編集なので、これまで読んだ高村作品とは、ちょっと趣きが違う感じ。長編よりも、より引き締まり、渋みを強め、しかし飲み込みやすくしたウイスキーのような、というか。 そうしてみると、この人の長編小説は、あれで派手なんだな……。
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超大作が多い著者の作品の中で、珍しい短篇集。 個人的に短篇集よりも、男は黙ってガッツり長編派なのですが、さすがは高村氏、一作一作が濃厚です。 でも文字量が少ないので、入り込み始めると終わってしまう。 著者の作品はやっぱ長編達が個人的には好きですな。
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- ネタバレ
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短編集。 最近、高村薫にはまってます。 この方は警察というモチーフが好きなのか嫌いなのか、判断に迷いますね。警察官は好きでも警察という組織は嫌いそう。 元警官が主人公な話ばかり。 それぞれ、警察官をやめて警備員になっていたり、サラ金の社員になっていたり、汚職政治家のお抱え運転手になっていたり。 何が心に残ったかは……正直なところ微妙です。面白くないわけじゃないんですけど、この人のは長編の方が面白いんです、たぶん。 後味が悪いのは『巡り合う人々』ですね。ままならないというか、なんというか。 主役のほとんどが受身なかんじで生きているので、歯がゆさはあるけれど、きっと人生ってこんなもの(笑) それでも彼らは譲れない一線を追いかけていきます。 追いかけている感じがないのは最初の『愁訴の花』の主役ぐらいですかね。
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高村さんと言えば執拗なまでの緻密な細部描写が持ち味で、長編であればこそその重厚感を堪能できると思っていました。が、本作は短編集でありながら別の味わいがあります。寡黙な元刑事たちはそれぞれ「現在」に順応しようろとするが、振り切れない「過去」を背負ってもいる。組織で染み付いてしまった...
高村さんと言えば執拗なまでの緻密な細部描写が持ち味で、長編であればこそその重厚感を堪能できると思っていました。が、本作は短編集でありながら別の味わいがあります。寡黙な元刑事たちはそれぞれ「現在」に順応しようろとするが、振り切れない「過去」を背負ってもいる。組織で染み付いてしまった垢は拭い落とせないものか。そんな悲哀を感じてしまいました。
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表題作より他の三作がよかった。なんだろう、男の人が主人公の小説ってなかなか感情移入できなくて読むのやめちゃったりするけど、「男の人も色々大変なんだなあ」と最後まで読めた。過去を振り返ったとき、なんもない、からっぽっていう人生はいやだなあ。
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内容 連続空き巣事件を追いかける守衛の奮闘ぶりを描いた表題作ほか、 サラ金の取り立て屋、代議士の運転手など 日陰に生きながらも、ある矜持を保ち続ける男たちを描いた短編集。 感想 描かれる男たちは、みな“元刑事” 一度染みついた生き方は、そう簡単には拭い去れないという現実を 淡々...
内容 連続空き巣事件を追いかける守衛の奮闘ぶりを描いた表題作ほか、 サラ金の取り立て屋、代議士の運転手など 日陰に生きながらも、ある矜持を保ち続ける男たちを描いた短編集。 感想 描かれる男たちは、みな“元刑事” 一度染みついた生き方は、そう簡単には拭い去れないという現実を 淡々と読ませる。 深い余韻の残る作品、高村節炸裂!! オモシロ度 仕事人間のアナタ、ご堪能あれ。
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ひたすら悶々とする小話がてんこ盛りです。 もうー読めば読むほど鬱屈してくるよ!(笑) それもこれも、日常生活ってこんなんやな…と思わせられるからでしょうか。 私の頭の中身など、「こんなん」より確実に稚拙で単純で狭量なものなのだと分かっているだけに身につまされますよ。
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古本屋で購入。 高村薫を読むのは 「マークスの山」以来。 まさに「深い余韻」を 堪能できる短編集。 (文庫の裏表紙に そう紹介されてた) 他作品も 読みたいな~と 思わされた。
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派手さのない、地味な物語。 これを好きとしようが苦手としようがひとの勝手だが、わたしは好きである。 http://beautifulone.jugem.jp/?eid=223/
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ゆえあって一線を退き、日こそあたらない場所ではあるが矜持を胸に生きている元刑事たちを描く短編集。市井の片隅に生きる人たちの、誠実さからくる憤怒を描かせたらこの作者はピカイチだ。
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