ぼっけえ、きょうてえ の商品レビュー

岩井志麻子(著者)

2012/10/15

こわわわわわわわわ
何が怖いかって異形のものよりよっぽど人間のが怖いってところが怖い
執念とか愛憎とか救われない
どうでもいいけど志麻子いままでどんだけ辛い恋愛したんすか学びたい

「前にも言うたろう、妾は人に優しゅうされたことがないけん、優しゅうされると辛うて辛うてかなわんのじゃ。責められとるような気持ちにさえなる。じゃからやっぱり、地獄が気楽でええんよな、妾らには。人間扱いされたら困ってしまうんよ。鬼の子じゃけん。」

岡山弁がとても心地よい。

「妾らもう、尊いもんとか有り難いもんとか、そんなのはどうでもええんじゃ。今さら尊いもんを拝んでなんになろうか。
　死ぬまでにきれいなきれいな、きれいな物が見たいんじゃ。」

絶望さえできない。救いがない。希望もない。悲しむこともできないということ。
子桃かわいい。阿呆で愚直で愛情が深いこってどうしてこうかわいいんだ。人が汚れるのって多分行為とかの問題でなくてもっと他のとこにあると思う。

「あまぞわい」もすき。

「のう、キン坊よ。女いうもんは、どねぇなろくでなしの男でも、いったん添うたら恋しゅうて恋しゅうてかなわんのじゃで。女は惚れた男のためなら何でもするもんじゃ。身を捨てても尽くすし、死んだ後も慕うて泣き続ける。可愛いもんじゃろ。」

男はファムファタールによって身を滅ぼすけど女はどうしようもない男のためにも身を滅ぼすからおもしろい。なんでだろ。

2009/10/04

夏だし、涼を求めるならホラーでしょ、ってなわけで
これを選んでみました。
薄い本だったので、タイトル作1本かと思っていたら
短編４本が収録されていたのにはちょっとびっくりでしたが。

…えーっと…ホラーはホラーなんですけども、
『リング』とか『着信アリ』とかとは
ちょっと違う怖さがあります。
怪談としての怖さではなくて人間の業とか、
そういうもって生まれた現実の恐怖というか…。

そして文章も岡山弁によるもので
なおさらリアル、というか…
臭いさえ感じさせる文章にぐいぐい引き込まれます。

端麗で秀逸な文章と素晴らしい構成力なんですが
そこに泥臭さだとか女の「血」を混じりあわせたような
そんな小説だなぁと感じました。
個人的には『依って件の如し』が一番おもしろかったですね。
幽霊よりもやっぱり人間が一番怖い、という認識を
更に強固なものにしてくれました。
…でもこの作品にでてくる地獄の描写…
私も昔、浄土真宗のお寺でお盆の時に図を見たことがあるんですが
その怖さを思い出しました…。
人間の想像力ってすごいですよね…。

2009/10/04

ホラー小説大賞受賞作を読んでみようキャンペーン第二弾。
このタイトルよりもその次に収録されてる話の方が私は怖かった。

2009/10/04

１０月２８日「ぼっけえ、きょうてえ」読。他の短編はあんまり読む気しなかったので読みませんでした。あんまり何が怖いのかよく分かんなかった。。ってかちょっと期待しすぎたかも。怖さの。

2009/10/04

初めてホラー作品を読んでみました。
この作品は「面白い」「楽しい」「不思議」「グロい」「怖い」「美しい」「エロスｗ」というすべての要素が入っているような・・・。
本当にこわかったです。でも最高でした。

2009/10/04

ホラー小説大賞という事で、そんなに怖くは無いんですけど、確実に面白い。「依って件の如し」が一番好きです。確実に情景を伝えてくれる巧い文章だと思います。いいなぁこれおもしろいなぁ。

2009/10/04

岡山弁ですごく、恐ろしいの意味。
ほんとーに怖くて後に残る。
お化け、幽霊は一切出てこない。人間本来の怖さ。それが凄まじくおどろおどろしい。人間の恐ろしさだけに、暗い。でも。面白い。

2009/10/04

第六回日本ホラー大賞受賞作、という言葉に惹かれて読みましたが、本当にホラー大賞の名に恥じぬ面白い（怖い？）話でした。一人語りの形式で淡々と書かれたところがまた怖さ盛り上げてます。ホラーファンは是非読むべし！　ちなみにこの作者は別名義で少女小説を書いてるらしいですが、その名前と作品名を知っている人は教えて下さ〜い。

2009/10/04

日本の昔話というホラーの原点を再確認しました。寂れた寒村の歴史、それこそがなんの脚色も必要とせずにホラーになる。堕胎、川辺に捨てられる屍、人心が生み出す地獄。嗅いだこともない腐臭が体にまとわりついてくるようでした。100年ほど前にはこれだけ死が、屍体が身近であった事実がなにより怖い。死を恐れるのは人間の根源的なものだと思っていたけれど、人を殺し、死体を埋めた人間の血が自分にも流れている可能性がある･･･。感覚が麻痺して眩暈が襲ってきました。でも、どの作品にも一滴の優しさ、愚かさが含まれているのがアクセントで効いています。もちろんそれがいっそうの恐怖を掻き立てることにはなるんですが･･･。

2009/10/04

ホラーってあんまり好きくないんだけど、これは結構すんなり読めたかも。岡山の方言が怖さに拍車をかけてます。