ぼっけえ、きょうてえ の商品レビュー
1人で居れなくなる怖さではないけど、何かが近くにいてもおかしくないと感じるくらい。別にそれが自分に害をなすものでないし、居るのが自然の理だからふわっとしてるような。そのくらいの怖さとの距離感が良かった。 ホラー小説としても良い上に、人の恨みとかの心情描写がすっごく面白い。 愛し...
1人で居れなくなる怖さではないけど、何かが近くにいてもおかしくないと感じるくらい。別にそれが自分に害をなすものでないし、居るのが自然の理だからふわっとしてるような。そのくらいの怖さとの距離感が良かった。 ホラー小説としても良い上に、人の恨みとかの心情描写がすっごく面白い。 愛しくて、でも恨めしいって気持ちに感情移入しすぎてしまう。 女が男を恨んで、別の人まで巻き込んで不幸にしていく話、っていうイメージ。だけど、そのくらい恨むのも仕方ない、って共感と安心してしまった。
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怖い、というより気色悪い。ずっとあの世界観が自分の周りにまとわりつくような。。 自分がああいう時代のああいう境遇に生まれなくて良かった。 方言については、同じ関西だからか、問題なくすんなり読めました。
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高校生の頃書店で斜め読みし、あまりのおぞましさに諦めたもの。夏の暑さを払いたくて手に取った。 刷り込まれた日本人の血に訴えかけてくるような、泥臭くて重い、まとわり付く湿気のような気持ち悪さ、怖気を感じる。この本を家に置いておきたくないと理屈抜きで思った。
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志麻子さんが第六回日本ホラー小説大賞を受賞されたのがこちらの表題作。このタイトルは岡山地方の方言で「とても、怖い」の意味だそう。装丁の女郎がまた幽霊のようないでたちで不気味。甲斐庄楠音という人の「横櫛」という作品だそう。この白粉で微笑む姿が艶やかであり不穏。 4つの短編集だがど...
志麻子さんが第六回日本ホラー小説大賞を受賞されたのがこちらの表題作。このタイトルは岡山地方の方言で「とても、怖い」の意味だそう。装丁の女郎がまた幽霊のようないでたちで不気味。甲斐庄楠音という人の「横櫛」という作品だそう。この白粉で微笑む姿が艶やかであり不穏。 4つの短編集だがどれも仄暗い。表題作は独特の方言で女郎が語る寝物語。方言に凄みを感じる。続いての「密告函」では虎列刺(コレラ)が流行ったお話。あと「あまぞわい」と「依って件の如し」と続くのだが、どれも男女の関係を生々しくも濃厚に、異臭を放つような物語。
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岡山に数年間住んでいた事もあり、岡山弁のタイトルと日本ホラー小説大賞受賞作に惹かれて購入。 個人の感想としてホラー感も無く、岡山弁に馴染みのない方は読みにくい気がします。 説明 受賞歴 第13回(2000年) 山本周五郎賞受賞 第6回(1999年) 日本ホラー小説大賞受賞 内容紹介 日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞受賞作、待望の文庫化! 岡山の遊郭で醜い女郎が客に自分の身の上を語り始める。間引き専業の産婆を母にもち、生まれた時から赤ん坊を殺す手伝いをしていた彼女の人生は、血と汚辱にまみれた地獄道だった……。 内容(「BOOK」データベースより) ―教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。
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怖い話というのは人によって違うんだな。 表題の「ぼっけえ きょうてえ」は私にとってはあまり怖くなかった。血にまみれた業の深い話。目に見えない異界の者あの世と通じる話。 「密告函」は身内の見えない悪意に対する恐怖。更に自分にどうしようもなく罪悪感があるから手に負えない。やはり見え...
怖い話というのは人によって違うんだな。 表題の「ぼっけえ きょうてえ」は私にとってはあまり怖くなかった。血にまみれた業の深い話。目に見えない異界の者あの世と通じる話。 「密告函」は身内の見えない悪意に対する恐怖。更に自分にどうしようもなく罪悪感があるから手に負えない。やはり見えないものは恐い。
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怪談ばなしで土着性タップリ。 お話の形が昔話ながらも、出てくる異形のものどもが肉感この上ない。 グロテスクなのに妙に聖性感じるのは、話の形式によるのかもな。
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表題作は第6回日本ホラー小説大賞受賞。 女郎が客の枕元で囁く寝物語『ぼっけえ、きょうてえ』。 寒村の役場に勤める平凡な男と妖しい女の末路『密告函』。 貧しい漁村に渦巻く男女の怨念『あまぞわい』。 土間の暗闇に怯え続ける少女が見た地獄『依って件の如し』。 一気に読んでしまいまし...
表題作は第6回日本ホラー小説大賞受賞。 女郎が客の枕元で囁く寝物語『ぼっけえ、きょうてえ』。 寒村の役場に勤める平凡な男と妖しい女の末路『密告函』。 貧しい漁村に渦巻く男女の怨念『あまぞわい』。 土間の暗闇に怯え続ける少女が見た地獄『依って件の如し』。 一気に読んでしまいました。ページをめくる動機が「怖いもの見たさ」なんだからどうしようもない。そして本当に「怖いもの」を見てしまった後は、見る前の自分には戻れないのです。 本書の怖さは、『ぼっけえ、きょうてえ』で主人公が幼い頃にお寺で見たという地獄草紙や、『依って件の如し』のシズが祭りの晩に覗いた極彩色の地獄巡りのような、後々の人生をも侵食しそうな恐怖でした。 本の中からこちら側にまで悪臭が漂ってきそうな臨場感。誰かに耳元で囁かれているかのように錯覚してしまう岡山の方言。 嗅覚と聴覚を刺激されるホラー小説、ああ、めちゃめちゃ怖かった。
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表題作の破壊力、凄かった。それに伴ってか、カバーの絵が、とてつもなく怖いものに感じられる。方言の語り口調は読みにくいけど、迫ってくる感じがなんとも言えない。リアリティがあって。間引きの描写は恐ろしかった。 あと、なんか描く女の人が妙に色っぽいというか婀娜っぽいというか…男と女の情念みたいなものも濃くて胃にきた。
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まるで当時書かれたのかというくらいリアルな写像。貧困、餓死、病魔は確かにホラーと結びつきが強いが、ここまで効果的に怖さを演出することが出来るのは、著者の技巧による部分がでかいのだろうなあ。怖い、をきょうてえと言い換える感覚がすでに鋭敏で凡人の発想では到底追いつけない高みにいること...
まるで当時書かれたのかというくらいリアルな写像。貧困、餓死、病魔は確かにホラーと結びつきが強いが、ここまで効果的に怖さを演出することが出来るのは、著者の技巧による部分がでかいのだろうなあ。怖い、をきょうてえと言い換える感覚がすでに鋭敏で凡人の発想では到底追いつけない高みにいることを感じる。きょうてえきょうてえと繰り返す登場人物が、すでに気が触れている。それがまず怖い。
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