冷たい密室と博士たち の商品レビュー
S&Mシリーズ2作目。 今回読み返してみて思ったのが、 この作品の影響を無意識に受けていたんだ ということ。 人を待たせるのは人の時間を奪うこと、 問題を解くことより出すことの方が難しいこと、 この2点は特に今の私に根付いていて、 犀川先生の受け売りだったことを思い出して び...
S&Mシリーズ2作目。 今回読み返してみて思ったのが、 この作品の影響を無意識に受けていたんだ ということ。 人を待たせるのは人の時間を奪うこと、 問題を解くことより出すことの方が難しいこと、 この2点は特に今の私に根付いていて、 犀川先生の受け売りだったことを思い出して びっくり。 今作も前作同様、 知的な会話を繰り広げていて楽しい。 ただ、今作はいつものコンビS&Mだけでなく 犀川の友人の喜多が出てくる。 この犀川と喜多の会話もまた面白い。 萌絵のときは教師然といった、 どうしても上下の関係を感じさせるけれど、 犀川と喜多は対等で会話が軽い。 会話はかなり知的なのに少し少年っぽさすら感じる。 それが新鮮でより楽しめた。 印象的な台詞は 「最も役に立たないということが、 数学が一番人間的で純粋な学問である証拠です。」 の部分。 学生の頃、なんでこんな無駄なこと学ぶんだろうと 考えていた自分が、ちょっと救われた感じ。
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本書は全体が冷たくて寒い雰囲気のため、あまり好きな作品ではない。 ただ、タイトルの通りそういった印象を残すことには成功している作品である。
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読み直し。 面白かった。こちらは全く内容を覚えてなかったので新鮮に読めた。 犯人は全く分からなかった。密室の謎も。 新しく登場した、犀川先生の旧友喜多があやしい、と思ったんだけどな。 最も安全な案に絞っていく、か。 わたしの場合はトリックを暴くよりも、探偵などがどのようにトリック...
読み直し。 面白かった。こちらは全く内容を覚えてなかったので新鮮に読めた。 犯人は全く分からなかった。密室の謎も。 新しく登場した、犀川先生の旧友喜多があやしい、と思ったんだけどな。 最も安全な案に絞っていく、か。 わたしの場合はトリックを暴くよりも、探偵などがどのようにトリックを暴いてき、犯人にたどり着くのかを楽しむので、それほど問題ではない。 犀川先生はほんとうに天才なのか、「分からないんですか?」では、刑事同様にちょっとイラッと感じて良いですね。
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建築学科助教授の主人公と女子学生のペアが巻き込まれる冷たい密室殺人事件。極地環境研究施設内で行われた二人の殺人。その犯人・トリックは、そして動機はどこにあるのか。理系人たちが謎に迫る。。。 まあ、読み終わってしまうとトリックも動機もこんなものか。というところだけれど、コロンブス...
建築学科助教授の主人公と女子学生のペアが巻き込まれる冷たい密室殺人事件。極地環境研究施設内で行われた二人の殺人。その犯人・トリックは、そして動機はどこにあるのか。理系人たちが謎に迫る。。。 まあ、読み終わってしまうとトリックも動機もこんなものか。というところだけれど、コロンブスの卵の故事のとおり、種明かしされれば当たり前に思えるのは、真っ当なミステリの宿命か。 "理系ミステリー"の嚆矢とのことだが、個人的にはそれほど盛り上がりは感じなかった。トリックは古典的なものだし、そもそも論理的思考が無ければ謎解き物は成立しないのだから、そこに理系も文系もないと思うんだけど。
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※このレビューにはネタバレを含みます
前作から期間を空けて読了。 いくつか推理小説を読んできたが、森氏のこのシリーズは群を抜いて脳を使わされるという印象。一字一句に何か重要そうな事柄が隠してありそうという期待感と、シンプルに文字で表現するには難解な情景描写は読み手の能力が試されると感じる。ちなみに私は半分くらい振り落とされた。 内容は割とシンプル。 密室で起きた2件(あるいは3件)の殺人事件の謎を解くというもの。ただ、前作に比べるとトリックも動機も比較的おとなしめで突飛な感じはせず。 作中の「責任と責任感」の違いという問いかけが地味に好き。
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ロジックと感情のバランスが心地いい。 情報と動機の開示されていく手順が私にとってはとても気持ちの良いものだった。必要な情報をきちんと読者に渡してくれるミステリは好き。
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前作「F」の真賀田四季という人物があまりに人間離れしていたので少し身構えていましたが、今作は非常に人間味が溢れた人物が犯人であり、心情も理解しやすく少しビックリしました。とはいえ、肩透かしだったかというとそのようなことはなく、論理的に組み立てられたトリックが明かされる流れは非常に...
前作「F」の真賀田四季という人物があまりに人間離れしていたので少し身構えていましたが、今作は非常に人間味が溢れた人物が犯人であり、心情も理解しやすく少しビックリしました。とはいえ、肩透かしだったかというとそのようなことはなく、論理的に組み立てられたトリックが明かされる流れは非常に魅力的であり、大満足の一冊です。 また、前作でも感じましたが、登場人物が非常に魅力的で素晴らしいですね。特に今回から登場した喜多先生は、犀川先生とは真逆の性格でありながら気のおけない友人であり、同レベルの高度なやりとりができる人物として、とても好きなキャラクターです。(途中まで犯人かも知れないと思っていたので、気が気じゃありませんでしたが…)おそらくシリーズのキーパーソンの一人だと思うので、今後の活躍が楽しみです。
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すべてがFになるほどの衝撃はなかったが、面白かった!割とわかりやすくまとまっていて、本格ミステリーの要素が満載だったが、それが森博嗣ぽくないと感じた。
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S&Mシリーズ第2弾で『すべてがFになる』の1年後を描いた作品。低温度実験室を訪れた犀川と萌絵が衆人環視かつ密室状態の殺人事件に巻き込まれる。 評価点 トリック →前作と比べると大きな疑問点はなく納得感のあるものだった。あと一歩で完全犯罪だったトリックが想定外の事象によってほころびを見せ、奇妙な空間を作り出していた部分が特に気に入っている。前作は死体発見時のインパクトが大きく不気味さのピークだったが、今作はトリック自体に(犀川の解説も込みで)不気味さが演出されており後半にかけて盛り上がっていった。また、一見無駄に思えた萌絵と喜多のガバガバ推理パートだったが、その推理から着想を得て犀川が一本のきれいなストーリーを紡いでいく構成も何気に好きだった。 セリフ回し →前作に続いてシリーズ最大の魅力。クイズ形式で簡潔に心理を突くのが面白い。 「責任と責任感の違いがわかるかい?」「数学が何の役に立つのか、ときいてきたらどう答えられますか?」「内緒と沈黙は、どこが違う?」に対する回答が非常に魅力的だった。 疑問点 終盤の展開 →萌絵が夜中の研究室に侵入したり、犀川が犯人に対してメールを出したりこの2人にしてはアグレッシブな行動が目立った気がする。萌絵も犀川も殺されてもおかしくない場面になったので読んでいるときの心情としては緊張感があり盛り上がった場所であったのは確かなのだが、振り返ってみるとちょっとした違和感かもしれない。 犀川と萌絵のコンビがより好きになった作品となった。今後も2人の動向に注目したい。
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S&Mシリーズ2作目。 前作の「すべてがFになる」と比べるとインパクトに欠けるものの、王道のミステリィを楽しめた。 犀川と萌絵のユーモアのある会話劇は今回も健在。ずっと会話シーン読んでいたい
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