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おやすみ、こわい夢を見ないように の商品レビュー

3.4

73件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

    31

  4. 2つ

    8

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2011/06/09

タイトルにもなったお話が好き。主人公の弟くんの健気さ?が可愛いと思った。 『うつくしい娘』は何だか衝撃的。 『私たちの逃亡』は、人の狂気というか、黒い部分が見える話だった。若い子って、こう思うよなぁ…と。平気で“死ね”とよく言えたなと思う。

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2011/06/03

短編集。珍しく男目線からも描かれている。 このバスはどこへ・スイートチリソース・おやすみ、こわい夢を見ないように・うつくしい娘・空をまわる観覧車・晴れた日に犬を乗せて・私たちの逃亡 収録

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2011/05/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

とびきりの、それも明確な殺意があるほどの憎悪を持つ、少し間抜けな人々の短編。 これだけ憎しみをむき出しに描いてあるのに、毒気を込めた風船の栓を抜いたように終わる。

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2010/10/24

読んでいて、ぞくっと、怖くなりました。 日常に忍び込んでくる悪意や憎悪。 その表現が見事だな、と思いました。

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2010/10/19

角田光代はすごいなぁ。 例えば「くさくてまいってるって、利用者の方から苦情がきてるんです」というセリフ。本当は苦情なんかきてやしないのに、浮浪者に八つ当たりをする。それはもはや自分の職業意識ではなく、ただの八つ当たりなのだ。でも、そう口に出さずにはいられなかったのだ。そうしなけれ...

角田光代はすごいなぁ。 例えば「くさくてまいってるって、利用者の方から苦情がきてるんです」というセリフ。本当は苦情なんかきてやしないのに、浮浪者に八つ当たりをする。それはもはや自分の職業意識ではなく、ただの八つ当たりなのだ。でも、そう口に出さずにはいられなかったのだ。そうしなければ、自分を保てなかったんだ。 例えば「ポテトチップスのにおいがする息をまき散らしながら」という描写。かつて憧れていた人を地の果てに落とすのに、この表現はすごい。他のどんな汚い言葉よりも嫌悪感が漂う。 この本を読んだ私は、別れた恋人に想いを馳せ、引きこもりの弟を登場人物と重ねて胸を痛め、現在の不毛な恋を清算しようと心に誓い、犬を安易に車に乗せるもんじゃないよなぁ…と実感し、「はて、自分が殺したい人は誰だろう」と考えあぐねる。でも殺したいほど憎たらしい人など思い浮かばず、そのことに安堵し、けれども似たような感情が自分の中にクスブッテイルことを認める。 小さな描写の一つ一つが「あぁ、私と同じだ」と思い及ぶ。 もう覚えていないような小さな心のほつれを角田光代は思い出させてくれる。痛い記憶を掘り起こす作業は決して楽しくはないのに、私はまた角田光代を読んでしまう。薄汚い感情を抱くのが自分だけはないと、確認するための作業なのかもしれない。

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2010/09/23

内容(「MARC」データベースより) 憎悪は愛の裏返しってこと? それとももっと気まぐれなもの? 新婚夫婦、高校生カップル、同棲中の恋人たち。あなたの気持ちをざわざわとさせる、衝撃的な7つのドラマ。

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2010/09/20

「このバスはどこへ」のくり子のかつて小学校時代に理不尽ないじめを受けたサル山(篠山先生)への逆襲に、「スイート・チリソース」の翠の勤める図書館に出入りする浮浪者の女への強い嫌悪と彼女が読んでいた毒殺にまつわる本をめぐる想像に、「おやすみ、こわい夢をみないように」の姉沙織の復讐に常...

「このバスはどこへ」のくり子のかつて小学校時代に理不尽ないじめを受けたサル山(篠山先生)への逆襲に、「スイート・チリソース」の翠の勤める図書館に出入りする浮浪者の女への強い嫌悪と彼女が読んでいた毒殺にまつわる本をめぐる想像に、「おやすみ、こわい夢をみないように」の姉沙織の復讐に常軌を逸した賛同と協力を捧げる弟光の溜まった憎悪に、「美しい娘」の加代子の娘、衿の憎しみをためこんだ太り様に、「空をまわる観覧車」の重春は浮気相手だったりり子の呪いにおびていたが一番憎しみを抱いていたのは許してもらえていたと思っていた妻亜佐美だったことがわかる十円玉で人を殺せるかという彼女の話だったり、「晴れた日に犬を乗せて」の完璧にいい人の典行の心に居座る自分達の子どもを勝手に堕胎してしまったかつての恋人栞への復讐だったり、「私たちの逃亡」の理沙の底知れぬ他者や外に向かう怒りだったり、ここに溢れる人間の憎しみパワーはとってうもない。

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2011/03/11

角田氏著書はこれが初めて。 面白い。 人間の悪意を描いた短編集。 言葉の使い方や表現力がうまいなぁと思う。

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2010/06/03

7つの短編集。 人間の根底にある感情、登場人物の感情がじわじわと読み手の心へ侵食してくる。 後味の悪い本だと言う人が多いけど、僕はどの話を読んでも 清々しい気持ちになる。 清々しい悲しさ、清々しい寂しさ。 特に好きな話は表題作の「おやすみ、こわい夢を見ないように」。 誰もが一人...

7つの短編集。 人間の根底にある感情、登場人物の感情がじわじわと読み手の心へ侵食してくる。 後味の悪い本だと言う人が多いけど、僕はどの話を読んでも 清々しい気持ちになる。 清々しい悲しさ、清々しい寂しさ。 特に好きな話は表題作の「おやすみ、こわい夢を見ないように」。 誰もが一人で何かと戦っているけど きっと誰かはそんな自分のことを知っているんだなと思った。 らろりー、素敵だなぁ

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2010/06/27

元彼から執拗な嫌がらせを受ける女子高生、解き放つことができない悪意をため込み醜く太っていく娘をもつ主婦、浮気がばれ妻のいいなりになる男・・・そして、家に引きこもり憎しみの種を発酵させていく少女。 -あたしはこれから人を殺しに行くんです- そう言ってバスを降りて行った女はどこへ向か...

元彼から執拗な嫌がらせを受ける女子高生、解き放つことができない悪意をため込み醜く太っていく娘をもつ主婦、浮気がばれ妻のいいなりになる男・・・そして、家に引きこもり憎しみの種を発酵させていく少女。 -あたしはこれから人を殺しに行くんです- そう言ってバスを降りて行った女はどこへ向かうのだろうか・・・ 7編の短編ですが、同じ人物と思わしき女が登場します。けして物語の核とはなってるわけではないもですが、その編の主人公が殺意を自覚するキーだったりします。 「殺してやる」「あんな奴いなくなればいい」 主人公たちが呟く呪詛の言葉。他人から見ればそんなことで?と思うようなことでしょう。でも逆に、きっと誰の中に芽生えてもおかしくない殺意、そういえば自分の中にもあるかもしれない恨み。理解できてしまう恐ろしさ。 そして彼らも本気で殺意を抱いてるわけではなく、んー違うかな、くすぶり続けるように長い間、あるいは瞬間的に抱くのは強い殺意、でも自分に人は殺せないということに気づいているのかな。行き場をなくした殺意は消えたわけであなく、自分の奥に溜まっている。そんな風に身近で、ひたひたと迫ってくるような怖さが感じられました。 自分もそうかも、あるいはそう思われているのかも・・考え出すと非常に怖い。

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