地に埋もれて の商品レビュー
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憎むほど、愛してはいなかった。 ・ 「わたしだけは覚えているから。生きている限り忘れないから」 「透明な旅路と」に出てくる、白兎のシリーズ(?) 前作より 白兎が儚げで、大人で、綺麗だった。 一緒に死んでくれ、そう言われて頷いたのに、気がついたら彼は自分を埋めていた。 藤の木の下での、少年との出会いは、そこから掘り出されるところで始まる。 でも、本当はもっともっと前に。 人が一番恐れることって死ぬことよりも寧ろ忘れ去られることなんじゃないかと。 自分が今、誰かと会話してること。自分が誰かに恋をしていること。 そういうことも、いつか、誰も知らないようになる。 それが一番怖いのかもしれない。 本論からはずれるけど、切実にそう想った。
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本の帯に「ホラー・ファンタジー」とある。そんな感じ。 優枝は恋人に埋められた。生きてるのか死んでるのか分からない まま白兎という少年と現世で自分を捨てた母や暴行未遂事件や マザコン恋人のいろいろを追う。 母の最期はずるい。憎かったのにうるうる。 最後は意外。よく出来てるなあ。表紙の藤の絵もきれい。
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いきなり主人公城台優枝が地中に埋められる所から始まる。 不倫相手日出彦とは優枝が務めていた葬祭センターのお客だったことから始まる。 彼は医師。しかし、何一つ自分で決められない、すべて亡くなった母親のいう通りの人生を送ってきていた。その母親が亡くなり、信じられないほどのマザコンぶり...
いきなり主人公城台優枝が地中に埋められる所から始まる。 不倫相手日出彦とは優枝が務めていた葬祭センターのお客だったことから始まる。 彼は医師。しかし、何一つ自分で決められない、すべて亡くなった母親のいう通りの人生を送ってきていた。その母親が亡くなり、信じられないほどのマザコンぶり。妻も子供もあきれ果てる。そんな日出彦を放っておけないところから始まった。 しかし、病院でのっぴきならない『しくじり』をしてしまい、優枝に心中を持ちかけた。幼いころ弟を連れ家を出て行った母親、後に残った父親との二人暮らし。思い残すことは何もないと思い込んでいた。日出彦の誘いにあっさありとOKをだし、用意された薬を飲んだ。しかし、日出彦は死にきれず、優枝を埋めた。 消えかかる意識の中で、誰かに掘り起こされた。不思議な少年白兎だった。 二人で優枝のアパートに戻る。白兎は日出彦恨めという。しかし、優枝は日出彦に対し何の感情も残ってはいなかった。 そこへ、田舎からの電話。電話の主は赤ちゃんの時に分かれた弟の慶介だった。1年前から鞄職人の父親に弟子入りしているという。しかも、母親は入院中。もう長くはないので会ってほしいという。 優枝は葛藤の末故郷に戻り、母親に会う決心をする。故郷には戻りたくない思い出したくもない過去がある。 17歳の時、男に襲われた。男は逮捕されたが、拘置所で自殺。その母親も自殺未遂。世間のパッシングは優枝に・・・そんな経験があったのだ。 白兎も一緒にいるはずなのに、ほかの人にはわからないようだった。白兎は現の者ではないのだ。 母を見舞い、母と二人で話した。実は慶介は父の子ではなかったと。母には白兎が見えた。優枝が幼かった頃、池に落ちた時にもあっていた。 母親の葬儀をすませた優枝に白兎は「日出彦に会って欲しい」という。優枝が埋められていた場所に日出彦はいた。日出彦に向かって優枝は「忘れないから、ずっと覚えているから」と告げると、優しくうなずき消えていった。 白兎がいうには死にきれず優枝を埋めた後、家に戻った日出彦は心臓発作で亡くなっていたのだ。しかし、自分が死んでいることにも気づかずこの世をさまよっていたのだという。しかし、優枝が忘れないと言ってくれたことで安心して成仏できたらしい。 一気に読んでしまった。とても不思議な話だった。
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あさの先生の少年の描写は相変わらず瑞々しいです。 コレ読んで山岸涼子先生のマンガ「朱雀門(六の宮の姫君のお話が出てくる)」を思い出しました。 『生を生きない者は死をも死ねない』というテーマ。
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さらりと読める。ホラーと言うけどホラーでもない。だけど、ミステリーに分類してはいけないような気がするのは確か。
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あさのあつこさんの本の中でも 私の中で上位に入る作品。大好き。 ホラーファンタジー?…なのかなぁ?? ホラーって感じではないです、不思議な感じ。 優枝さんと白兎のかけあいが面白かったり可愛かったり。 あさのさんの作品は家族の事が大きく関わってくる話が多いと思うのですがそういう場面...
あさのあつこさんの本の中でも 私の中で上位に入る作品。大好き。 ホラーファンタジー?…なのかなぁ?? ホラーって感じではないです、不思議な感じ。 優枝さんと白兎のかけあいが面白かったり可愛かったり。 あさのさんの作品は家族の事が大きく関わってくる話が多いと思うのですがそういう場面や話も好きです。悲しかったり、感動したり、あたたかい気持ちになったり。 他いろいろ(笑) あさのさんの文が好き。話の内容も私的ドンピシャ、好みです。 白兎が出る作品はもう一つありますね。そっちもすごくスキです。またこの子が出る不思議で優しい物語が読みたい。 出ないかな^^ あとすごくスキなのに、これも前に図書館で借りて読んだきりなので安くどこかで見つけたら手元に欲しいです。(読み返したので満足はしているけれど) 作品レビューはまたいつか時間ある時にゆっくり書きたいです。(今は簡単に。)
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月明かりの夜、藤花の下、わたしは土の中から引き戻された。 夢なのか、それとも幻なのか……。 黄泉と現が交差する、生と死のミステリー。 「人は何度も再生できる。自分の力で生き直すことができる。 あなたへ??この思いが届きますように。」 すごく読みやすくて、数時間で読破。 あんまり...
月明かりの夜、藤花の下、わたしは土の中から引き戻された。 夢なのか、それとも幻なのか……。 黄泉と現が交差する、生と死のミステリー。 「人は何度も再生できる。自分の力で生き直すことができる。 あなたへ??この思いが届きますように。」 すごく読みやすくて、数時間で読破。 あんまり好みの小説ではない。 なんか不気味で、ゾッとするシーンが多かった。 あさのさんのイメージと違う作品だった。 白兎 格好良い・・けど一体何者だったんだろう〜 よくわからなかった。 もう一回しっかり読み直したら わかるのか? しかしそんな気力はないので 解らずじまい('∀`)うふふ
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土を掘る音。埋められた私。死にかけた私。 掘り起こしたのは、浮世離れした少年。 「復讐しなよ」「憎めばいい、思い切り」軽口のように当然のように彼は彼女に囁く。 ホラーファンタジーの色合いも重なる、死者と生者、生き方。様々なものがひっそりと息づいている。 最後には自力で立ち上がる、...
土を掘る音。埋められた私。死にかけた私。 掘り起こしたのは、浮世離れした少年。 「復讐しなよ」「憎めばいい、思い切り」軽口のように当然のように彼は彼女に囁く。 ホラーファンタジーの色合いも重なる、死者と生者、生き方。様々なものがひっそりと息づいている。 最後には自力で立ち上がる、生きている彼女が眩しいくらいに思った。
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読み始め、もろにホラーなのかと思ったらそうでもなく。 ほんとに、人は人を恨めと言われて恨めるものではなく、 許せと言われて許せるものでもない・・・ですね。 話自体はそう面白いと思えなかったけれど、 主人公の心情にはなにか共感するものがあったような。
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優しく、甘く、腐り溶かしきるように。 結局、優枝が父と同じようにあの人を駄目にしたのかな。けれど、そのおかげであの人は救われた。 連鎖を考えると、ひっきりなしで面白いです。
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