ある秘密 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
淡々と進んでいく。 生きてても惨めだとおもったのかなぁ。子どもも道連れにしたのは、子どもまで奪われるのが嫌だったからか。後悔しなかったんだろうか、怖かったろうに。
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ひ弱な少年は想像上の兄と遊んでいた。 そんなある日、何かをずっと隠していると感じていた両親の秘密、 実は本物の兄がいることを知る・・・ たんたんとした語りで少年が知り、紡いでいく両親の物語。 それは少年を強くし、成長させ、大人にしていく。 そして最後。 物語を完成させた少年と...
ひ弱な少年は想像上の兄と遊んでいた。 そんなある日、何かをずっと隠していると感じていた両親の秘密、 実は本物の兄がいることを知る・・・ たんたんとした語りで少年が知り、紡いでいく両親の物語。 それは少年を強くし、成長させ、大人にしていく。 そして最後。 物語を完成させた少年と両親のラストシーンは 心の琴線に優しく触れることでしょう。
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2004年にフランスで「高校生の選ぶゴンクール賞」に選ばれた作品なのだが、フランス高校生の読書力・目のつけどころの良さに脱帽する。日本の高校生もこんな作品読んだりするのかしら? まるで教科書をなぞるだけのように感じていた歴史の一部分が、実は自分の歴史の一部でもある。
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ひとりっ子だった病弱の「ぼく」には、空想上の「兄」がいた。 やがて「ぼく」は知ることになる。「兄」が実際にかつてはこの世に「いた」ことを。 1950年代のパリを舞台に、密やかに語られる、静かな物語である。美しいが、どこか硬質で、手が届きそうで届かない。モノクローナルの写真を思い...
ひとりっ子だった病弱の「ぼく」には、空想上の「兄」がいた。 やがて「ぼく」は知ることになる。「兄」が実際にかつてはこの世に「いた」ことを。 1950年代のパリを舞台に、密やかに語られる、静かな物語である。美しいが、どこか硬質で、手が届きそうで届かない。モノクローナルの写真を思い出させる。 頑健な身体を持つ両親に比べ、ひ弱である自分に引け目があった「ぼく」は、幼い頃からずっと、両親の、特に父の心の中に、自分以外の存在があることを感じていた。 ある日、学校で起きたある事件をきっかけに、少年の「ぼく」は、「兄」にまつわる両親の「秘密」を知っていくことになる。両親自身の口からでなく、ごく近しいつきあいの女性の語りによって。 そして「ぼく」は若き日の両親が辿った道を見据え、再構成していく。戦争の巨悪と分かちがたく絡み合った両親の「秘密」を。 それはつらく、しかし少年がこの先の人生を確たる足取りで歩くために必要な道でもあった。 著者の自伝的小説である。 タイトルは”Un secret”と単数形の「秘密」なのだが、実際には、多くの秘密が入り交じっているようでもある。両親が一番秘密にしておきたかったのは何なのだろうか。改姓なのか。背徳なのか。葬り去られた命なのか。巨悪が命を奪うことをどこかでわかっていながら止められなかった後ろめたさか。 それらすべてが混じり合う、大きくぼんやりした輪郭を持つ、「罪悪感」なのか。 物語は終始、「ぼく」の目から語られ、両親の直接の証言はない。 個人的には、そこがこの物語の強さでもあり、弱さでもあるように思う。 本作は、「高校生が選ぶゴンクール賞」を受賞している(ゴンクール賞は1903年に創設されたフランスの権威ある文学賞だが、1988年、その高校生バージョンが作られた)。 ある意味、この物語は両親の庇護から抜けて自立していこうとする思春期の少年の物語でもあるわけで、若い人に支持されたのはさもありなんという感じがする。 だが、父親が最後に取った悲劇的な選択を知るにつけ、両親が語る物語はまた違ったものになりえたのではないかとも思うのだ。たとえそれが、心の傷の深さから容易に語りえないものであったとしても。 子どもを持つ身からすると、少年が再構成した物語とは微妙に違うであろう視点の物語もまた聞きたかったと思う。 原文も美しいのだろうが、訳文の美しさにもまた敬意を表したい。
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読み終えた。 素晴らしかった。自分の物語を取り戻して、少年は成長する。全篇きんと冴え渡っていて、作者の言葉がクリアに響いてくる。「残ったのは骨の部分だけでした。結局、それだけが必要だったのです」
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序盤はかなり面白かったんだけど、短文を並べてるかんじなので、なかなか流れに乗れなかった。後半はアウシュビッツなどの話になって、空想より事実が多くなって物足りなかった。
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過不足ないというのが読み終わった印象。 アメリカの想像力旺盛な小説ばっかり読んでると、こういうのにたまにやられてしまう。たんたんとした語り口にのせられて、リアルさはかなりのものがある。ピークに達する。個人的なもの、ユダヤ系の話を超えて、普遍性があった。これは僕らの物語でもあるとい...
過不足ないというのが読み終わった印象。 アメリカの想像力旺盛な小説ばっかり読んでると、こういうのにたまにやられてしまう。たんたんとした語り口にのせられて、リアルさはかなりのものがある。ピークに達する。個人的なもの、ユダヤ系の話を超えて、普遍性があった。これは僕らの物語でもあるということです。
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ユダヤ人迫害をテーマにした本や映画は色々あるけど、 それぞれの作品に違った内容が描かれていて、 初めて知るようなことも多くて勉強になるなー、と感じた。
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人の心にさざなみが立つとき、それは静かに、そして次第に大きくなる。そして、その人自身がそのうねっていく大きな波にもまれていくことに気がつく。そして気がついたときには波に呑まれていることもある。語らないこと、秘密であることは、自分が生きていかなければならないとき、必要なこと。その一...
人の心にさざなみが立つとき、それは静かに、そして次第に大きくなる。そして、その人自身がそのうねっていく大きな波にもまれていくことに気がつく。そして気がついたときには波に呑まれていることもある。語らないこと、秘密であることは、自分が生きていかなければならないとき、必要なこと。その一方で、知らなければならない、という必然もそこにはある。
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翻訳がガサツ第二次大戦を挟んで展開される、ある京大とその両親の物語。空想好きな主人公の少年は、スポーツ万能で無駄一つ無い美しい肉体を持つ両親を誇りに思っていた。そんな両親から産まれたはずなのに、痩せっぽちな自分をコンプレックスに思う余り、空想の中で運動神経抜群でヤンチャな、架空の...
翻訳がガサツ第二次大戦を挟んで展開される、ある京大とその両親の物語。空想好きな主人公の少年は、スポーツ万能で無駄一つ無い美しい肉体を持つ両親を誇りに思っていた。そんな両親から産まれたはずなのに、痩せっぽちな自分をコンプレックスに思う余り、空想の中で運動神経抜群でヤンチャな、架空の兄をつくりあげ、まるで彼がいるかのようにふるまって過ごす。そんなある日、少年は自宅の屋根裏で、見覚えのない犬の人形を見つける。ほとんど著者の実体験を語る自伝的小説。エピローグで本線とは別の衝撃的な結末がサラっと書かれていてビビる。抑制がきいてある分、キレ味のない訳が気になる。少なくともあんなに簡単にカッコ内であの三文字を書いてしまうのはデリカシー疑う。
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