凍りのくじら の商品レビュー
藤子F不二雄への敬愛に満ちた、"少し・不思議"な物語。 主人公・理帆子はどこにいても"少し・不在"。 常に一歩引いた客観的な視点で、周囲に表面上のみ合わせる事しかできない高校生。 そんな彼女は図書室で一人の先輩と出会い、末期癌に侵...
藤子F不二雄への敬愛に満ちた、"少し・不思議"な物語。 主人公・理帆子はどこにいても"少し・不在"。 常に一歩引いた客観的な視点で、周囲に表面上のみ合わせる事しかできない高校生。 そんな彼女は図書室で一人の先輩と出会い、末期癌に侵された病床の母親・失踪した父親・遊び友達・クラスメイト・別れた恋人などとの関係が少しずつ変わり出す。 どこか冷めた割り切り方ばかりしていた理帆子のクライマックスでの叫びが胸を打つ。 彼女が事件を経て得るのは暗い場所を照らす柔らかい光であり、それはつまり見守ってくれる人達の優しさだ。 辻村深月の書く語は人と人との係わりに重点が置かれていて、どれも切なく暖かい。 幼い頃に夢中で見た「ドラえもん」の長編映画をもう一度観返したくなった。 「冷たい校舎の時は止まる」も「子どもたちは夜と遊ぶ」も好きだけれど、それらを抜いて現状最も好きな作品。 次回作にも期待大。
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ハマりました。 仕掛けは簡単なので、ミステリとは分類しませんが。 この人の書く「人間関係の息苦しさ」が好きです。
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こちらは別格に星10個つけたいです! それほど感動しました。 どれくらいというと、バスの中でぼろぼろ涙流してしまうほどです! 誤解を恐れず簡潔に言うなら、家族の物語です。理想的とはいえないけれど、一番大事なときに救ってくれる母親と父親。そんな姿に現実の自分と引き比べて羨ましく...
こちらは別格に星10個つけたいです! それほど感動しました。 どれくらいというと、バスの中でぼろぼろ涙流してしまうほどです! 誤解を恐れず簡潔に言うなら、家族の物語です。理想的とはいえないけれど、一番大事なときに救ってくれる母親と父親。そんな姿に現実の自分と引き比べて羨ましくて悔しくて切なさに身を千切られた結果が、涙だったのかもしれない。
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