凍りのくじら の商品レビュー
初めて読んだ辻村さんの作品。文章が瑞々しくて若い印象を受ける。そのわりに構成はしっかりしてるし人物描写はうまい。普段から周りをよく観察している人なんだろうと感じた。若い作家さんなので今後の活躍に期待!!
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不義の子で、4歳のときに母親をなくして以来、ずっと黙り続けてきた10歳の少年、郁也。 「残酷かもしれないけど、どうしようもないことだから敢えていうよ。君はこれから先、何も望んではいけないし、期待してはいけない。本当に君を必要とする人間が現れるまでの間、けして何も欲しがらず、苦...
不義の子で、4歳のときに母親をなくして以来、ずっと黙り続けてきた10歳の少年、郁也。 「残酷かもしれないけど、どうしようもないことだから敢えていうよ。君はこれから先、何も望んではいけないし、期待してはいけない。本当に君を必要とする人間が現れるまでの間、けして何も欲しがらず、苦しいことにも全部耐えなければならない。絶対だ。そしてピアノを続けなければならない。大丈夫。君の才能と、ぼくのこの約束があれば、君のお父さんは絶対に君のことを見捨てない。お父さんは君のことを必要とするようになる」 なぜなら、お父さんは音楽家だから。そして、正妻の子どもには才能がないから。 その言葉を言ったぼく=父親が子どもの頃失踪し、今は母親が死にかけている高校生の少女、理帆子。 偶然出会い、親しくなった郁也が誘拐され、助けに行った理帆子が力尽きたとき、はじめて郁也は口を開く。 そして、理帆子はその郁也に向かって言う。 「欲しいものがあるときは、それを言っていいんだよ。痛かったら泣いて、苦しかったら、助けてって言っちゃえばいいんだよ。きっと誰かが、力を貸してくれる。もういやだって逃げちゃえばいいんだよ、そうすることだって出来るんだよ」 ラストはすがすがしい終わりです。救いの前に男性には受けないかもしれない、推理小説じゃないじゃん、な展開がありますが、わたしはヤング・アダルトとしてはありかな、と思ってます。
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いろいろなことを無意味にぐるぐる考える時期って誰にでもあると思う。そういう主人公のお話。中盤少し中だるみがあるものの、クライマックスの盛り上がりがいい。 「ドラえもんの秘密道具」の盛り込み方が上手い。
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辻村さんの著書は好感と同感が持てて良いですね。文も自然で読みやすいです。過激でない、ということが、この年代からみて欠点なのかそうでないかは解りませんがw
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辻村深月、はまりそう〜! ミステリ要素の部分は特に惹かれませんでしたが人物描写や心理描写は凄くうまいです。
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主人公周辺にネガティブな要素が満載なので、ドラえもんが小説のモチーフになってるのはだいぶ救いになってたと思います
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少し不思議の略がSF。これっていい表現。話も良くって感動しました。ワカオはかなり気持ち悪くてイヤだったけど。辻村さんの他の作品も読まなくちゃと思った作品です。
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ミステリに分類できるかといえば疑問符が浮かびますが、主人公や登場人物の心情の変化は少なからず共感できる部分があると思います。読み終えたときは、ストレート過ぎて、胸の核心を突かれた気分でした。
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語り手で主人公の高校生・理帆子が読書家で藤子・F・不二雄の「ドラえもん」に思い入れ がある等共感出来る部分は多々ある。それでも文章があまりに自意識過剰で生臭く苦手な タイプの小説でどうしても感情移入がしにくい。終盤にはドラマチックな展開があり最後の 仕掛けには驚かされるし読...
語り手で主人公の高校生・理帆子が読書家で藤子・F・不二雄の「ドラえもん」に思い入れ がある等共感出来る部分は多々ある。それでも文章があまりに自意識過剰で生臭く苦手な タイプの小説でどうしても感情移入がしにくい。終盤にはドラマチックな展開があり最後の 仕掛けには驚かされるし読みどころは多いのだが年齢的にも女子高生と同じように陶酔 出来ず心が動かないまま読み終わってしまった。これをおれが自意識過剰で青臭い十代に 読んでいたら印象はまた違ったのだろうか?理帆子の「元彼」若尾が人間的に壊れていく ところは繊細な描写が効いていて、たいへん恐ろしく角川ホラー文庫あたりのおどろしい 装丁で読んでいたら主人公の不安定さも受け入れて素直に感動していたかもしれない。
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びっくりするくらい面白かった。 確かにこれは傑作だと思う。 ど真ん中過ぎて他に言葉が見つからない。 感動と感涙。 辻村深月恐るべし。。。
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